*ダリア視点
私は聖女じゃないの?
こんなに頑張ったのに?
でも皆んな私が聖女だって言ってたわ。
聖火だってあんなに喜んでたじゃない!
そうよ!絶対私は聖女だわ。
私を産んだお母様は、ずっと私を特別なお姫様なんだって言ってたもの。
「ねえ、今日ダンディーラー様は?プレゼントは来てないの?」
「はい。何も伺っておりません。」
「他の人達は?手紙も?ウィルフレイ様はどこ?」
「本日は誰もお越しになっておりません。」
淡々と話す侍女に、悲しくて涙が出る。
王妃様が私の侍女達を追い出してから、優しい皆んなとお話し出来なくなった。
意地悪ばかりする王妃様を、もうお母様なんて思えない。
どうして私ばっかり。
私が市井で育ったから?
本当のお父様の身分が低いから?
でも私は王女なのに。そんなの酷い!
ずっと泣いてたから暗い気持ちになっちゃった。
ウィルフレイ様はどこかしら?
心細い。一緒にいてほしい。
静かな部屋にいると、いつもより使用人達が忙しく働いていることに気付いた。
「ねえ、今日は何かあるの?」
私は恐る恐る部屋から出て、近くを通りかかった下級使用人に声をかける。
「王女殿下!えっと、それは...」
「ああ、大丈夫よ。私は身分なんて気にしないわ。私も身分の低い王女だって、王妃様には嫌われてるし...」
自分で言うと、とても苦しい。
「王女様...」
「殿下、ここにいてはいけません。さあ、お部屋に戻りますよ。」
侍女に見つかり、元来た道へ背中を押される。
さっきの下級使用人は、走ってどこかに行ってしまった。
「皆んな酷いわ。私には何も教えてくれないの?」
悲しみで胸がいたい。
視界がぼやけ、涙が溢れ出した。
「はあ。殿下、今日は王妃様のお茶会があるのです。大切なお客様もいらっしゃるので、殿下にはお部屋にいていただきたいのです。」
そんな!
私お茶会があるなんて聞いてないわ...
「私は行ってはいけないの?」
「王妃様のお茶会です。陛下も王子殿下も参加なさいません。」
「でも...」
大切なお客様が来るって...
それなら私の聖火が必要なんじゃないの?
王妃様はそれほど私に参加してほしくないのね。
私、王妃様に嫌われてるし。
お父様やお兄様に相談した方がいいかしら。
こんな時にウィルフレイ様がいてくれたら...
また涙が溢れてきた。泣きすぎて鼻が痛い。
ウィルフレイ様、どこにいるの?
助けて。
「はあ。」
隣にいる侍女の溜息が聞こえた。
「ごめんなさい。部屋に戻ります。図書室に寄ってから行くので1人でいいです。」
私は侍女から離れると、助けを求めにお父様の下へ向かった。




