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2-2

 ウィルのエスコートで教室に入るとすでに3人のクラスメイトが席に座っていた。

3人の目が一斉にこちらへ向く。

なんだろう、すごく凝視されている。


「初めまして。リルメリア・アルトです。これからどうぞよろしくお願いします。」

初めが肝心。視線で居心地が悪い中、私は軽く腰を落とし笑顔で挨拶をした。


「僕は、ウィルフレイ・リングドン。みんなよろしくね。」

3人の顔が赤い。ウィルの笑顔は男女共に効果があるようだ。




「えっと。リズベル・フロイです。よろしくお願いします。」

窓際に座っていた女の子が、肩ほどの茶色の髪を揺らして緊張気味に頭を下げる。少し鼻に散ったそばかすが可愛らしい。



「はい!はい!俺は、ロイド・ザフ!こっちがニルフ・ザフ!ちなみに12歳!」

今度は赤髪の男の子が元気よく立ち上がる。彼の隣に座っているもう一人の男の子とは顔がそっくりだ。ニルフと紹介された子が無言で頭を下げる。顔はそっくりなのに性格は正反対のようだ。



 今年魔法科に入学したのは6人。残念ながら今年は少ないそうだ。

基本的に1年生はこの教室で基礎魔法学を学び、他の時間は自分の属性に適した先生に教えを乞うことになる。


 アルグリア学院は魔法科も普通科も10歳から18歳までに入学を認められれば、誰でも入学出来る。そして6年の間に卒業資格を得ることが出来れば、無事学院を卒業出来る仕組みだ。



 私たちは簡単な自己紹介を終えた後、一緒に魔法科の教室を見て回ることにした。


 魔法科は演習場や実験室など、とにかく部屋数が多い。最初の内は覚えるのが大変そうだ。

授業外活動もあり、他の学科と合同でクラブや委員会なども存在する。



「明日から基礎学の授業が始まるんだって。」

私の前をキョロキョロと忙しなく歩くリズベルが教えてくれた。


「みんなはクラブとか委員会はどうするんだ?俺たちはコレコレ。ダンジョンクラブ‼︎」

そう言ってロイドがクラブの勧誘パンフレットを掲げる。隣のニルフは割と無反応だ。



「ダンジョンクラブってなにするの?」


「捕まえた魔物を演習場の一つで飼ってるんだってさ。で、特性とか弱点とかみんなで研究するんだ!」

リズベルの質問にロイドが興奮気味に答える。


クラブか。楽しそうだけれど、私はリヴァン先生との研究もあるし、週末はマレーゼ先生の授業もある。



「ウィルはどうするの?」

ふと気になって横のウィルに尋ねた。



「僕は家の仕事もあるからな。クラブと委員会はちょっと保留かな。」


「ウィルもアルトも貴族だろ?家の仕事かー。俺たちも王都に来るまでは、親に散々家の仕事手伝わされたからさ。学院ではやりたい事やりまくるんだ!」

 ロイドとニルフの家は地方で宿屋を経営しているらしい。2人とも魔力が高く、小さい頃から近くの山で魔物狩りをしていたそうだ。今は学院の寮で生活している。地方から来ている学生も多く、寮生活は楽しいらしい。リズベルも寮生活らしく、今度遊びに来てと誘ってもらえた。




 5人で教室や上級生の活動を見学しながら歩いていると、午前中の授業終了を知らせる鐘が鳴った。



「今日はもう終わりにしようか?明日から授業も始まるしね。」

ウィルがみんなに提案する。


「そうだな。俺らも一回寮に帰りたいし。」


「じゃあみんなまた明日ね。」

リズベルにまたねと言われて笑顔で返す。



 私も帰ろうと馬車の待つ校門へ歩き出すとウィルがそっと手を差し出してくれた。

何だかこれが当たり前のようなウィルの仕草に私は少し笑ってしまった。









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