ペンギン三兄弟 〜 21話 お菓子の家 の巻
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
もしも三兄弟がヘンゼルとグレーテルの話だったら...
ある日の夜、ドンゼルとチャンテルの仲良し兄妹は、森の奥へ置き去りにされてしまいました。
夜が明けて、ドンゼルとチャンテルは、しばらく森の中をさまよっていましたが、
やがて、お菓子でできた家を見つけました。
チャンテル「ドンにいちゃん、お菓子の家よ。おいしそう!」
ドンゼル「お腹すいたし食べちゃおう!」
2羽は、パクパクとお菓子の家を食べ始めました。
そのとき、お菓子の家のドアが開いて、
おばあさんが顔を出しました。
『私の家を食べているのはだれだい?』
ドンゼルとチャンテルは、びっくりしました。
『さあ、かわいい子どもたち。おうちへおはいり。おいしいごちそうがたくさんあるよ』
ドンゼルとチャンテルは、言われるままに家に入りました。
するとそこには先客がいました。
ドンゼル「きみはだあれ?」
ゴン王子「ボクはゴン王子。ここはごちそうが
たくさんあって最高だよ」
チャンテル「あなたも迷子なの?ずいぶん色白の王子ね」
3羽は、ステーキやらハンバーグやらお寿司やら、ケーキにプリンにアイスクリームと、ごちそうをたくさん食べました。
ドンゼル「お腹いっぱいで眠くなっちゃった」
やがてお腹いっぱいになった3羽は、いつの間にか眠ってしまいました。
翌朝、目が覚めてみると、3羽はそれぞれ、檻の中にとじこめられていました。
チャンテル「これはどういうこと?」
『アッハッハ、うまくだまされたね。おまえたちを、1羽ずつ丸焼きにしたら、さぞかしおいしいだろうねえ』
おばあさんは、子どもたちを食べるとっても悪い魔女だったのです。
『でもまずたくさん食べさせて丸々に太らせよう』
それから魔女は、毎日毎日食べ物をたくさん運んできました。
ドンゼル「ぼくたち食が細いから、たくさん食べられないよ」
あまり食べないドンゼルとチャンテルに比べて、
ゴン王子は、パクパクと豪快に食べ続けました。
チャンテル「ゴン王子、そんなに食べて太ったら、すぐに食べられちゃうわよ」
ゴン王子「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
ゴン王子は、2羽にウィンクをして、ひたすら食べ続けました。
そして1週間もたったころ、
「おやおや、おまえはすっかり丸々太ったな、そろそろ食べごろじゃないか」
魔女は、ゴン王子の檻の鍵を開けました。
ゴン王子は檻から出た途端、
バッコーン!
と、魔女の顔にパンチを一発お見舞いしました。
強烈なパンチをくらった魔女は、そのまま倒れて死んでしまいました。
ドンゼル「ゴン王子すごい!」
チャンテル「カッコイイ!」
2羽は、ペチペチと手をたたいて喜びました。
ゴン王子「このくらい、軽いものさ」
ドンゼル「でもあんなに食べてばかりいたのに、どこにそんな力が」
ゴン王子「毎晩檻の中でトレーニングしてたのさ。ほら見て」
ゴン王子は、腕を曲げて見せました。
そこには、大きな力こぶが盛り上がっていました。
めでたしめでたし