第1話 少年と魔法
この世界には2つの種族がある。
天人と地人と呼ばれる者たちだ。
そしてとある神が言った。
『強者は天に、弱者は地に』
そう、この世界はとある神が作り上げた天と地の2つに分断された世界の話
僕の名前はクラン。ごく普通の地人の家庭の子供だ。
地人の家庭とは我々の生活とほとんど変わらない。
まぁ違うところを挙げるならば"魔法"と呼ばれるものを使うというくらいだろうか。
魔法と聞いて難しいと思う人もいるかもしれないが、我々の使っている"電気"とほとんど同じとして考えてくれ。
そしてその魔法は威力や規模によって階級に分けられている。
一番低い階級から、初級、中級、上級、超級、帝級、神級の6つに分かれている。
ただし、初級や中級程度なら誰でも使えるが、超級から上は天人にしか扱えないとされている。
そう、地人の中で一番強いとされている"地帝"と呼ばれている者でもせいぜい上級までが限界だ。
だが、天人は違う。天人とは言うならば人間を超越した者。
これだけを聞くならばまだいいが、実は魔法を扱うには"適応性"と呼ばれるものによって決まっている。
適応性が高ければ高いほど高位魔法が使えると言うことだ。
ただし適応性は数値で表される、すなわち努力次第で適応性は上げることができるのだ。
だが地人と天人では産まれた時から圧倒的な差がある。
地人の一般的な適応性は10前後といわれている。
あの地帝でさえも50程度だと言われている。だが、天人は違う。
天人は皆が産まれた時には既に100前後の適応性を持って産まれるとされている。
これが"地人と天人の差"と呼ばれるものだ
そして地人の家庭に生まれたクランは今、この前お父さんが言っていた魔法を試そうと一人森に来ていた。
「はぁ、森の中って初めて来たけど、けっこう暗いな〜」
そう、できれば家でやりたかったが、もし失敗したりして家を破壊してしまったりしたら…と考えるだけで寒気がしてしまう。
そう、クランの親、とくに父親はこの村でも鬼と呼ばれるほどの怖い人なのだ。
そして家から歩いて10分ほど経ったところで
「この辺でいいよね、
まぁ最初から魔法ができるとは思えないし。まずは的にでも向かって試してみるか」
と言って、トコトコ歩いて的を探しているが、あまりいいものが見つからない、
「んー、なかなか見つからないなぁ〜。」
と思って歩き続けていると、
「よし、もう見つかんないから木に向かってやろう!最初だし、火事とかにはならないだろう」
と言って、的探しを断念し木に向かって打とうとしていた。
「よし、まずは詠唱だったっけな」
すぅーーー、はぁぁ、と深呼吸をして
「よし」
「炎よ我の手に宿り敵を打てファイヤーボール!!」
するとクランの手には炎が宿っていた。しかし炎はすぐにクランの手から消えてしまった。
「はぁ、やっぱり最初からは無理だったかぁ、
まぁ失敗は誰でもあるよね!次だ次!」
そう自分に言い聞かせ、クランはひたすら魔法の練習をするのだった。