思った以上にひどかったらしい。
「……ふわぁぁ」
あれ? わたし、どうしたんだっけ? それに何だか身軽な感じがする。って、え? 何でワイシャツなの? 下は……下着? え、何々、何で。
「起きたか?」
「あぁ、うん。キミは、誰だっけ? や、待った! 思い出すから、名乗るの禁止!」
「……あんたの気に入らない大学生のガキだけど?」
「あーあーあー……何でわたし、下着? もしかして手を出したとか?」
「いや、名前を言えよ! あんたはみつき。俺は倉科な。手は出した。着替えさせるために。そんだけだよ。覚えてないのかよ? あんた、それだとモテないんじゃね?」
「はぁ? 待って思い出すから……」
確か会社の飲み会に参加したけど、大学生は身内だけで盛り上がっていたのが気に入らなくて、とにかくいつも通りに呑みまくった気がする。で、何故か帰るのに徒歩で……気づいたら自分の部屋にいた。かな?
「リバースとか、あり得なくね?」
「あー……もしかして、キミに?」
「いや、自爆。あんた自身にぶっかけただけだ。てか、いつもそんなんなのか? そりゃ、彼氏出来ないな。俺だったら断る」
「やかましい! って、あー頭痛い……わたしの服は?」
「クリーニング代は後でくれればいいよ。どうせ会社で会うわけだし? そんじゃ、そういうことで俺は帰るから。ごゆっくり」
「待って! えと、倉科くん。あの、ありがとう」
「洋太でいい。あんたのことも、みつきって呼ぶ」
年下に呼び捨てって終わってる。しかも恥ずかしいな。リバースして、下着見られておまけにクリーニング代を請求されるとか、なにそれ。色気のある展開なんてないじゃん。
「わたしに手を出さないとか、終わってるってこと?」
「は? いや、汚物に触れたこっちの身にもなれよな? 着替えさせただけで触れてないし。触れてほしかったら、酒に負けるの禁止な。ってことで、おつー」
く~~何も言い返せない。下着姿にしてもらっただけでもありがたいと思うしかないなんて、わたし終わってるじゃん。それとも大学生の男の子に手を出されないくらい魅力も色気も無いってこと? はぁ、もう一眠りしてから気を取り直そう。まずはそこから。