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そして、城に着くと、王様が心配していた。
「エリーゼ、無事だったか」
「当然ですわ」
エリーゼは、こんなハイキングごときで心配されるほど、やわな女じゃないと言いたかった。
「ルシード、後で報告に来なさい」
「はい」
エリーゼの服装は、王様に会う前に、馬車の中でスカートに着がえていたので、何も問題はなかった。
「セリーヌ、湯あみにしましょう、とても汗をかいたから」
「そうですね」
二人で、風呂場へ向かった。
「く~足がいたい」
湯につかりながらエリーゼは、足をもむ。アーヌスト城の風呂は、ライオンの口からお湯が出ていたり、噴水のような物もある、立派な風呂である。
「筋肉痛になるわね」
セリーヌがエリーゼを台に寝かせて、足をもむ。
「ああ、気持ちいいけど、明日は最悪そう」
「これも、あまり運動をしたがらない、エリーゼ様がいけないんですよ」
「そんな~」
楽しく話しながら、風呂を満喫した二人。各部屋に戻り一度眠った。
夕食の時間、足を引きずりながら、食卓へ向かった。
「こんばんは」
「おお、エリーゼ、ルシードから聞いたぞ。盗賊と間違われて、襲われたんだって、大丈夫だったのか?」
「あっ、そんな事もありましたわ」
「本当に大丈夫なんだな?」
「大丈夫です。あっちも間違えただけですから」
「王族と言ったら去って行ったそうじゃないか」
「そうみたいですね」
彼とは、二度と会わないから、どうでもいいことだと思った。