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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
カール公爵の反逆
32/33

 食堂に着くと、ステーキが焼かれていた。

「おお、うまそう」

 アルーは、テーブルの近くのイスに座り、嬉しそうにしている。

「エリーゼは、こっちのメイドとか騎士が使う食堂は初めてか? 俺は、初めてここでご飯を食べた時、びっくりしたぞ」

「どうして?」

「食材が豪華だからさ」

 アルーがおどけてそう言った。アルーは、ルシードをふった事を気にしていると思って、わざとふざけている様だった。

「考えるだけ無駄だよ、ルシードさんは、戻ってこないって」

「そうだよね」

 エリーゼは、苦笑いを浮かべる。

 アルーは、出されたステーキにナイフを入れると、肉汁があふれ出てきた。フォークをぶすりとさして、口に運んだ。

「うん、うまい」

 アルーの側にいれる。それだけで幸せだった。

(これ以上を望んではいけないのね)

 エリーゼは、胸に手を当て、深呼吸をした。

「私の分もステーキちょうだい」

「は、はい」

 料理人は、少し戸惑ってそう言った。


 その日のラジオは、カール公爵の事ばかり流れていた。

『公爵の地位を剥奪されたようです。カールさん、カールさん』

 インタビュアに囲まれて、カールも困惑しているだろうと思った。なぜそう思ったのかと言うと。ラジオには、リポーターが、色々な人や物にぶつかる音が入っていたからだ。

『カールさんが、差し押さえられた豪邸から出てきます』

 後からわかった事なのだが、カールは、爵位をちらつかせて、多大な借金をしていた。爵位のない今は、ただの男、お金を払えと迫られているようだ。

「カールさん、いい気味だわ」

 エリーゼは、部屋で、アルーとラジオを聞いていた。

「まあ、そうだな」

 アルーもカールの事は、同意見の様だ。

『カールさん、一言~』

 リポーターがマイクをカールに向けたのか、ザッザッと音がする。

 バチンとラジオの電源を切った。

「カールの事は、もういいや、私、久しぶりに書庫に行こうと思うの」

「ああ、わかった」

 アルーは、見送ってくれた。

 エリーゼは、書庫の中で、クロックの三部作を取った。

(これが、私たちの始まりだったのよね)

初めは、山に登って、アルーに会った。盗賊に間違われたのではなく、アントナイトの村を荒らしに来たと間違えられたのだった。

(なつかしい)

 次に、酒場で情報をもらって、家出して。

 エリーゼは、フフッと笑った。そして、アントナイトの本を取った。

「これ、アーノルドが書いた本だったんだ」

 著 アーノルド・アントと書いてある。


 エリーゼは、その後、部屋のベットに入り、ぐっすり眠った。



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