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その頃、アルーは、馬の上に乗っていた。
(たくっ、エリーゼ、投げるのうまいじゃないか)
エリーゼは、うまくアルーを馬車の上に投げていたのだ。
(今、出て行くわけにもいかないし、しばらく様子を見る事にしよう)
アルーは、アリの姿で、馬車の中に入った。
「ラカシアの王は、喜ぶだろうな」
「でも、アーヌストの王国の方々に、これがばれてしまったら、戦争は起こせないでしょうね」
「大丈夫、ばれてないさ」
カール公爵は、もう地位が手に入ったような態度だった。
(いまから、あんたは、罪人になるんだよ)
アルーは、心の中でそう思っていた。
「ラカシアまで、後、十五キロか、早くついてくれたらいいのにな~」
カール公爵の向かいに座っている、ひげの生えたおじいさんがそう言う。
(そろそろ、出ていくか)
アルーは馬の上に乗り、着地して、体を大きくした。
「とまりなさい」
馬車の前に立ちはだかった。
「何だ!」
「人を引いてはいけませんよ、今すぐ止めなさい」
馬車は、止まり、カール公爵が降りてきた。
「カール公爵、アーヌスト王国の騎士です。あなたに罪があると、エリーゼ姫から聞きました。もう一度城で話をしたいと、ファルド様が言っておりましたので、伝えに参りました」
「あの小娘」
カール公爵は、悔しそうにそう叫んだ。
「私が、このままラカシアに向かえば問題なかろう」
「あなたの罪をエリーゼ様の口から言われれば、あなたは、ラカシアからもいらないものでしょう」
アルーは、目を光らせてそう言うと、カール公爵は、慌てて。
「そうなのか、大変だ。せっかく築き上げた地位が~」
カール公爵は、崩れ落ちた。
「待てよ、まだ、挽回のチャンスはある、小娘の言う事よりも私の言う事が尊重される状況を作り出して、戦争を仕掛ければ……」
カール公爵は、目を血走らせてそう言う。
「まだ、そんなことを言うの? 無駄だと思うけど」
アルーが言うが、カール公爵は、聞き耳を持たない。
「とりあえず、アーヌストの城に戻ろうか」
「そうしよう」
アルーも馬車の従者席に座って、アーヌスト王国へ引き返して行った。カール公爵は、作戦を練っている様だった。
(うまく行くわけがないのに……)
アルーは、カール公爵の欲深さに呆れていた。




