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「ルシード、後は、アルーに任せましょう」
エリーゼは、冷静にそう言った。
「俺達のできる事は、何もないか」
ルシードは、そう言い、エリーゼの手を取った。
「エリーゼ様、この騒動が終わったら、俺と結婚してくれませんか?」
「ええ!」
「急に言ったので、びっくりなさるのは、わかります。でも、俺は、ずっと心の中で思っていました。エリーゼ様が、大好きです」
――大好きです。
決して、アルーには、伝えられない思い。
「アルーが気になっているのですね、でも、彼は、アントナイトです。決して恋仲になれる相手ではありません。そんな相手を追いかけて、辛い思いをするエリーゼ様を見たくないのです」
「そうよ、私は、アルーが大好きよ、愛しているわよ。でも、伝えたら、アルーの力は消えちゃう」
エリーゼは、涙を流してそう言った。
「エリーゼ様」
ルシードは、ギュッとエリーゼを抱き寄せた。
「アルーを忘れさせてあげます」
「いや、いいの、私が、ガマンすればいい事だから」
「そんな、エリーゼ様」
「近寄らないで、私の心は、アルーの物よ」
ルシードを振り払いそう言った。
(私、わかった。アルーが大好き)
少しうれしくて、少し悲しかった。エリーゼの初恋だったのだ。




