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「エリーゼ様、エリーゼ様!」
メイドのセリーヌが起こしに来た。
「昨日は、大活躍でしたね」
「ええ」
髪の毛をセリーヌに、くしでとかされていた。エリーゼの長い黒髪もサラサラになって行く。
「久しぶりに良いベッドで寝たわ」
「旅をしていらしたのでしょう、あの、アルーと言う方、ステキですね」
「そう、アルーは、とても頼りになる私のナイトなの」
「へ~、ルシードさんよりは良さそうね」
「ルシードも悪い人じゃないのよ」
セリーヌは、ルシードが嫌いな様で、少しイラッとした顔をした。
「エリーゼ様は、モテますね」
「でも、アルーとは、恋仲じゃないからね」
「はいはい、エリーゼ様は、恋のうわさを流されたくないのでしょう? だから、遠慮がちに語っている、当たり?」
「そ、そうよ」
まさかアントナイトだから恋仲に成れないとも言えなかった。
「エリーゼ様、好きになったら直球ですよ、でも、時に、変化球です」
「うん」
エリーゼは、少し悲しい気持ちで頷いた。
食事に向かうと、お父様は、エリーゼを抱き寄せた。
「しばらく会わないうちに、大人になったね」
「はい」
出された料理は、白身魚のポワレ、ヴィシソワーズスープ、焼きたてのパン、アボカドサラダが並んでいる。
「いただきます」
フォークを使って魚を食べていると、王妃と目があった。
「エリーゼ……」
何か言おうとしてやめたようだ。
食事を平らげると、部屋を出た。
「アルー」
アルーは、ひょこっと現れた。
「お呼びですか?」
「もちろんよ、アルー、カール公爵をお父様の前に来させる方法を一緒に考えてくれないかしら?」
「エリーゼ、僕言ったよね、アントナイトは、あくまで情報を与えるための騎士、それ以上の事は、しないって」
「えっと、そうなの?」
「どうすればいいか、自分で考えてごらん」
エリーゼは思った。私は、試されているのだと。アントナイトにふさわしい人物なのか、そうではないのか、それは、これからも、王族である限り試され続けるのだろう。
(考えるのよ)
そうだ! 手紙を書こう。
エリーゼは、筆を持ち、『至急、部屋に来い ファルド』と書いた。
「これをカール公爵に届けて」
ポストに入れて、部屋に戻った。
「エリーゼ、手紙を出して、どうするつもりだったの?」
「決まっているわ、お父様の前で、『この人は、戦争をするつもりよ』って言うのよ」
「……大丈夫かな?」
アルーが心配そうに言う。




