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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
ただいまアーヌスト王国
24/33

 そして、大会が始まる前、子供達が大勢並んでいた。高級そうな服を着た子もいたが、ボロボロの服を着た子も多かった。

 カール公爵も観に来ていた。カール公爵は、髪は茶髪で、きれいに整えられている茶色いひげが印象的な、五十代の色男。

「アルー、カール公爵をマークして」

「わかった」

 アルーは、アリほど小さくなって、公爵の近くへ行った。

(これなら、ばれないで情報を集められる)

 エリーゼは、パンを食べる子供達を見下ろして、手を振っていた。

「みんな、がんばってね」

 エリーゼは、優勝するのは、街の子供だとわかっていた。だが、それは、問題ではないのだ。一人でも、お腹いっぱいになって欲しいそれだけだった。

 ラジオのリポーターが、行列を見て、エリーゼをほめていた。

『こんなにたくさんの人のパンを用意してくれるなんて、エリーゼ様は、太っ腹ですね』

 物珍しさから、大人も大勢集まっていた。屋台が出て、繁盛していた。

(すごい、すべてうまく行っている)

『では、まず、一組目、メアリーちゃん、トム君、レスリーちゃん、ジョン君、フランソワ君です』

 受け付け順で、五人一組で、競い合う、最終的に一番食べた子が、優勝だ。

『フランソワ君、もう三〇個目だ~』

 フランソワと呼ばれた子は、体が大きく、とてもよく食べそうだった。

(彼が優勝かしらね)

 エリーゼは、暖かい目で見つめていた。

 パン二つでお腹いっぱいになってしまう子がとても多かった。それは、普段食べていないのに、急にたくさん食べられないからだろうと思い、余ったパンを配ってあげようと思った。

 エリーゼは、カール公爵を一瞬見た。涼しそうな顔で笑っていた。

(あの人、すごいペテン師ね)

 エリーゼは、心の中でそう思った。

『拍手です』

 放送で、そう言ったので、すかさず拍手をしてごまかした。


   ☆ ☆ ☆


 そして、大食い大会は終わり、エリーゼは、フランソワ君に、花を贈っていた。

『優勝のフランソワ君にインタビューします』

 エリーゼは、にっこり微笑み、立っていた。

「毎日たくさん食べているから、あの位楽勝だよ」

 フランソワは、迷惑そうにそう言っている。

(この子は、苦労知らずなのね)

 エリーゼも、この子の態度は、少し気に喰わなかった。しかし、市場は、賑わい、親子連れの人達は、楽しそうである。

(うまく行った)

 エリーゼは、生まれて初めて、自分の意見でしたことをみんながほめたたえるので、うれしくなった。


  ☆ ☆ ☆


 そして、その夜、眠ろうと思いベッドに入った。

「エリーゼ」

「う~ん、アルーの声……」

「そうだよ、アルーだ」

 少し目をパチクリした。アルーが目の前に立っていたからだ。

(ドアを閉め忘れたわけでもない……)

「よば……」

「夜這いじゃないから」

 アルーは、困った顔してそう言った。

「カール公爵の陰謀がわかったぞ」

「えっ、本当!」

「この国を売るっていうのは、この国を隣のラカシア王国に戦争で負けさせて、付属国にする事だったんだ」

「えっ、でも、それじゃあ、カール公爵も不利なのでは?」

「あいつは、ラカシアに情報を漏らしている。つまり、スパイだ。そして、ラカシアで、公爵の力をさらに強めようと思っているらしい」

「……この国を戦争で負かす」

「カール公爵なら、兵士に毒を盛ったり、戦略をばらしたり、たくさんの死者を出す方法で戦いを混乱させるかもしれない、どうする、エリーゼ」

「直接言うわ」

「ばかか、直接言っちまったら、情報が漏れたことがばれちまう」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「カール公爵に自白させるんだ。王の前で」

「そんなことできるかな?」

「やってみろ」

 そう言ってアルーは、アリほど小さくなって、出て行った。

(あら、便利)

 ドアのすき間から、出て行ったのだ。

 エリーゼは、一生懸命、カール公爵を自白させる行動を考えた。

(やっぱり、ガツンと言ってやるべきよ)

 エリーゼは、そう思い眠った。


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