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次の日、ルシードは、アルーに何か言っていた。
「だから、エリーゼが、酔っていたから連れて行っただけだって」
「本当か?」
「ルシード、もしかして、アルーと私の仲を疑っているの?」
「そうなのか、言ってなかったっけ、恋仲になると力を失うって」
「ええ~」
ルシードは、心底驚いていた。
「それじゃあ、アルーとエリーゼ様が付き合う事などありえない事だったのですね」
「そうだよ」
「それなら、遠慮なんかしなければよかった」
アルーが、ルシードを睨む。
「遠慮していただと」
「エリーゼ様が、アルーを好きなのかと思っていたのですよ。恋仲に成れないのなら、遠慮なんかせず、振り向かせればよかった」
「アルーの事を好きなわけがないでしょう」
エリーゼは、フォークをスープの中に突っ込んだ。
(やばい、明らかに動揺しちゃった)
アルーと目が合ったが、ふいっとそらした。
(やだ、アルーの事好きになっちゃいけないのに)
ルシードは、つまらなさそうに二人を見つめていた。
☆ ☆ ☆
馬車の発車時刻になり、走っていると、昨日の詩人さんがいた。
「三人共、間に合ったね」
そして、詩人さんは。
「あんた達、三角関係で旅なんて、良く出来るよね」
「えっと……」
「がんばれよ、二人共」
エリーゼは、真っ赤になった。
(周りの目から見れば、これは、三角関係に見えるのね。なんだか、恥ずかしいような気もする)
乗合馬車は、アーヌスト王国を目指し進んだ。




