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そして、一晩、アント村に泊めてもらい、また旅に出た。
「もう、馬車酔いしたりしないんだから」
「エリーゼは、たくましくなったな」
アルーと笑いながら歩いていた。ルシードは、優しく見守っている。
乗合馬車に乗ると、人が乗ってくる。その中に、また、奴隷商の男が、女の子を枷でつないでいた。
(今は、助けられない、でも、いつか助けてあげる)
エリーゼは、心の中でそう思いガマンした。
(私は、無力だ。でも、いつか、立派な女王になる)
エリーゼは、心の中で強くそう思った。
ガタガタと馬車が進む。
(アーヌストへ、今、帰るわ)
アーヌストの二つ前の町で、泊まることにして、エリーゼは、手紙を書いていた。
『明日、城へ戻ります。お父様は、すべて知っていると思うので、書きませんが、色々ありました。
エリーゼ』
ポストにぽいっと入れた。
『牛の胃袋』と言うお店で夕食を取った。焼き鳥とサラダ、パン、スープがあった。
「大食い大会するぞ~」
がつがつと食事を食べる男が三人いた。
「あれは、何を競っているの?」
「ああ、一番食べられると、かっこいいだろ」
「そうかな~、でも、お腹いっぱいになるのは良い事だよね」
「あの~お嬢さん達、旅人?」
「はい」
声を掛けて来たのは、とんがり帽の詩人だった。
「私は、詩を歌って生きているんだ」
「そうなんですか」
「エリーゼ、初めてみるのか? まあ、仕方ないか、この世界では、芸で生きているやつもいっぱいいるの」
アルーは、食事に夢中の様だ。
詩人の歌を聴いて、みんなチップを投げるので、エリーゼもコインを投げた。次々と芸をする人が出入りする劇場に興奮していた。
「エリーゼ、楽しそうだなって……酔ってる」
アルーは、真っ赤なエリーゼを抱き上げた。
「誰だ? 飲ませたの」
部屋に連れて行き、ベッドに寝かせる。
「大丈夫? エリーゼ」
「アルー、手つないで」
エリーゼは、無邪気にそう言う。
「たくっ、このお嬢ちゃんは、こんなのばっかりじゃないか」
アルーは、手をつないだ。そして、エリーゼに向かい。
「俺は、力を失いたくないし、アント村も大好きだ。だから、言えないけど、お前の事結構気に入っているぞ」
「ありがとう、大好き~」
エリーゼが、酔って言っているので、力は無くならなかった。
「本当は、側に居ようって思ったんだ。だから、アントナイトになった。けど、困ったな、アントナイト辞めたくなった」
「え~だめ~」
「うんうん、ダメだよな」
アルーは、月を見つめて、エリーゼの手を握っていない方の手を強く握った。




