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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
あなたが私のアントナイト
21/33

 そして、一晩、アント村に泊めてもらい、また旅に出た。

「もう、馬車酔いしたりしないんだから」

「エリーゼは、たくましくなったな」

 アルーと笑いながら歩いていた。ルシードは、優しく見守っている。

 乗合馬車に乗ると、人が乗ってくる。その中に、また、奴隷商の男が、女の子を枷でつないでいた。

(今は、助けられない、でも、いつか助けてあげる)

 エリーゼは、心の中でそう思いガマンした。

(私は、無力だ。でも、いつか、立派な女王になる)

 エリーゼは、心の中で強くそう思った。

 ガタガタと馬車が進む。

(アーヌストへ、今、帰るわ)

 アーヌストの二つ前の町で、泊まることにして、エリーゼは、手紙を書いていた。


『明日、城へ戻ります。お父様は、すべて知っていると思うので、書きませんが、色々ありました。

                               エリーゼ』

 ポストにぽいっと入れた。

『牛の胃袋』と言うお店で夕食を取った。焼き鳥とサラダ、パン、スープがあった。

「大食い大会するぞ~」

 がつがつと食事を食べる男が三人いた。

「あれは、何を競っているの?」

「ああ、一番食べられると、かっこいいだろ」

「そうかな~、でも、お腹いっぱいになるのは良い事だよね」

「あの~お嬢さん達、旅人?」

「はい」

 声を掛けて来たのは、とんがり帽の詩人だった。

「私は、詩を歌って生きているんだ」

「そうなんですか」

「エリーゼ、初めてみるのか? まあ、仕方ないか、この世界では、芸で生きているやつもいっぱいいるの」

 アルーは、食事に夢中の様だ。

 詩人の歌を聴いて、みんなチップを投げるので、エリーゼもコインを投げた。次々と芸をする人が出入りする劇場に興奮していた。

「エリーゼ、楽しそうだなって……酔ってる」

 アルーは、真っ赤なエリーゼを抱き上げた。

「誰だ? 飲ませたの」

 部屋に連れて行き、ベッドに寝かせる。

「大丈夫? エリーゼ」

「アルー、手つないで」

 エリーゼは、無邪気にそう言う。

「たくっ、このお嬢ちゃんは、こんなのばっかりじゃないか」

 アルーは、手をつないだ。そして、エリーゼに向かい。

「俺は、力を失いたくないし、アント村も大好きだ。だから、言えないけど、お前の事結構気に入っているぞ」

「ありがとう、大好き~」

 エリーゼが、酔って言っているので、力は無くならなかった。

「本当は、側に居ようって思ったんだ。だから、アントナイトになった。けど、困ったな、アントナイト辞めたくなった」

「え~だめ~」

「うんうん、ダメだよな」

 アルーは、月を見つめて、エリーゼの手を握っていない方の手を強く握った。


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