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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
あなたが私のアントナイト
19/33

 その夜、祠に足を踏み入れた。辺りは、暗くて、水が満たしてあり、真ん中に玉が置いてあった。

「あの、丸い石?」

「ああ」

「では、手をのせるが良い」

 エリーゼは、心の中で強く祈った。光ってくれと。

「光った!」

 青かった玉は、赤く光っている。

「アルーとの関係は良いとしよう、でも、まだまだ試験はある。エリーゼ少し休むが良い」

 ばばさまにそう言われて、宿に向かった。部屋は、質素だったが、木のベッドがあり、眠るのにはよさそうだ。

「エリーゼ様、どうでしたか?」

 ルシードが心配そうに訊いてくる。

「大丈夫だった」

「さすが、エリーゼ様」

 そこにアルーが入って来て、ふざけた様子で。

「よろしくね、エリーゼ」

「うん」

「僕の能力見て置く?」

「うん」

 アルーがぐんぐん小さくなって、点位の大きさになった。

「すごいな」

「私もばばさまに見せられた時は、驚いたわ」

「服はどうなっているんだ」

「縮むのだそうよ、理由はわからないけど」

「小さくなれるっていうのは、何もアリのサイズだけではないんだよ、一〇〇センチぐらいの子供サイズにも慣れるし、五〇センチ位の背にもなれるんだ」

 アルーは、体をぐんぐん小さくさせたり大きくしたりして見せた。

「すごーい」

「そうだろ」

 調子に乗っていると、アルーは深刻な顔つきになった。

「アントナイトの本当の使い方は、情報収集なんだ。体を小さくして、ドアのすき間から、会議室に潜入したりして、内容を主人に伝える。その情報を生かすか殺すかは主次第、アントナイトには、何の権限もないのさ」

「つまり、アントナイトは、世界を救う魔法の騎士ってわけじゃないのね」

「ああ、そうだ。でも、考えて見ろ、情報を手に入れるってどういう事か」

「……そうね」

(もし、こちらに不利なことを話していたら、防げるのよね?)

「いいことよね」

「アントナイトは、あくまで、万能じゃない、主人の力が一番大事なんだ」

「そ、そう」

(私に、しっかり使いこなせるかしら?)

「そんで、その見極める力を確かめる試験がこれからある」

「ええ~」

「でも、大丈夫、エリーゼのこと信じているから」

「そういえば、エリーゼって呼び捨てで呼んでいるな」

 ルシードが不満そうに言った。

「これからは、バディなんだ。相棒は呼び捨てに決まっているだろう」

「そ、そうだね」

 エリーゼは、少し戸惑っていた。

(バディか……)

 これからは、アルーを好きになっても伝えては、いけないのだ。それが国のためになるのだから。

(私は、アルーが好きなのかな?)

 少し、アルーを見つめた。

(確かに、格好いいし、優しいし、気が効くし、ピンチの時は側にいてくれるし、好き? まさかね?)

 でも、実は、エリーゼは、そう思い込もうとしていることに気が付いていた。

(まさか、アルーの事好きなわけないわ)

 エリーゼは、心の中で、冷や汗を流した。

(アルーのためにもそうでいなくちゃ)

 ルシードとアルーが何か話していたが、全く聞こえなかった。

「それで、エリーゼはどう思う?」

「えっ? 何?」

「聞いてなかったの? ルシードさんをこれからどうするかって事」

「ルシードが何かしたの?」

「一応、この村の記憶だけ消してもらった方がいいかって事」

「あっ、そうね」

「エリーゼ様とアルーだけの秘密にする何て嫌です」

「エリーゼ、どうする?」

「ルシードは、口が固いから消さなくてもいいんじゃないかな? 一人くらい知っている人がいた方が、もしもの時、いいじゃない」

「エリーゼがそう言うなら」

 アルーは渋々認めた。

「それじゃあ、おやすみ、僕は、隣に住んでいるから」

「ええ~どんな家?」

「質素な家と言う言葉がぴったりな家だ」

「遊びに行っていい?」

「だめだ」

「何で? 見せられないものでもあるの?」

「ああ、そうだよ」

 エリーゼは、アルーの言い方が切なかったので、家に行くのはあきらめた。

「おやすみ」

 エリーゼの部屋から、二人が出て行った。そして、明かりを消して、木のベッドに寝転んだ。

(『恋仲になってはいけない』か……)

 エリーゼは、少しさみしい気持ちで天井を見つめた。


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