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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
あなたが私のアントナイト
18/33

 アールサン山に着くと、前来た時よりも枯葉が散っていた。

「山登りなんて久しぶり」

「あの時は、セリーヌと言うメイドと一緒だったが、今日は、アルーが一緒、なかなか二人きりにはなれないものですね」

 ルシードがそう言ってふざけている。

「ここから先、この山のふもとに、アント一族が住んでいる。ただし、他人には、絶対に教えてはいけない」

「う、うん」

 山のふもとに着くと、小さな村があった。

「アルー、ここ?」

 エリーゼが、アルーに近づこうとしたその瞬間。

「アルー」

 かわいい女の子が手を振っている。

「おう、レイクティア元気にしていたか?」

「もしかして、アルーの恋人?」

「いや、ただのお隣に住んでいる幼馴染だよ。一応言っておくけど、僕、アント一族の者なんだよね」

「「ええ~」」

 ルシードと二人で驚いていると、次々と人が出てくる。

「あなたが新しい主候補?」

 ルシードに向かってそう声をかけるおばさんがいた。

「そっちはおまけだよ、こっちのお嬢さんが主候補ね」

 アルーはウインクしてそう言った。

「まあ、女の子なの?」

 おばさんは困ったような顔をしていた。

(なんで? 女だとだめなのかしら?)

「一体、何事だ! 騒がしい」

 後ろから、白い髪の毛の老婆が出てきた。首にじゃらじゃらとした飾りをつけている。

「ばばさま」

 みんな、頭を下げて、ばばさまを囲む。

「う~ん、さては、人間が迷い込んだのか? それとも、新しい主候補でも連れて来たのかい?」

「主候補を連れてきました。ばばさま」

 アルーは、大きな声でそう言った。

「そちらの男、どこの国の王子だ」

「俺は、エリーゼ様に仕えるナイトです。主候補だと言うのなら、こちらにいる女性ですよ」

「なっ、なんだと!」

 ばばさまは、驚いて大声を上げた。

「今まで、アントナイトは、男にしか仕えない騎士だったと言うのに……」

「!」

 エリーゼは、全く知識がなかったので、主は、男しかなってはいけないと言う事を知らなかった。

「アルー、じゃあ、アントナイトに私は最初から選ばれないって事?」

「いいや、そんな事は無い、この子は、アーヌスト王国の姫だ。アントナイトを受けられるのは、王族と言う決まりしかなかったはずだぞ」

「確かにそうだが……」

 ばばさまは、言葉に詰まる。それも無理はない、アントナイトの村での、暗黙の決まりで、女は、主にしなかったのだ。

 ばばさまは、眉間にしわを寄せて。

「そこの女、来なさい」

「はい」

 ばばさまのとても小さな歩幅に合わせて付いて行くと、王座のようなイスが置いてあった。ばばさまはそれに座った。

「それで、アーヌスト王国の姫、名はなんという」

「エリーゼ・アーヌストと申します」

「そうか、エリーゼか、いい名だ。アルーをアントナイトにしたいのだな?」

「えっと、アルーがアントナイト?」

「まさか、教えずにつれてきたのか、あの男」

 ばばさまは、体を小さくさせて見せてくれた。ぐんぐん縮んで、点の様になってしまった。

「どうだ。これが、アント一族の力だ」

「すごい、本物だ」

 ばばさまは、すぐに大きくなり、杖を持って立ち上がった。

「どうじゃ」

「服ってどうなっているんですか?」

「縮むのじゃ、アント一族は、服を縮ませる力を生まれ持って備えているんだ。王族に仕える者として生まれてくるのだから、正装するのは、生まれた時からの運命なのかもしれないな」

 ばばさまも、なぜ縮むのかは、わかっていないらしい。

「それで、嬢ちゃん、アントナイトを仕えさせる条件の中に、恋仲になってはいけないと言う決まりがあるんだ」

「もし、破ったら?」

「簡単だ。アルーが首になるだけだ」

「……それって、一生会えなくなるんですか?」

「い、いや、会うのは良いんだ。だが、アルーは、アントナイトの力を失い、この村にも二度と戻れなくなる」

「どこで恋仲と決まるのですか?」

「心の底から恋しいと思い告げる愛の言葉じゃ、『愛している』もしくは、『好きだ』と心から言うと、力がなくなるんだ」

 エリーゼは、考えた。愛を伝えなければ側にいてくれるのだ。国のためなら、簡単な事だろうと。

「いいわ、うける」

「アントナイトの主にふさわしいか、いくつかテストを受けてもらう所だが、まず、儀式からだな」

「儀式?」

「アルーとの相性を見るのだ」

 そこでアルーを呼ばれた。

「はい、ばばさま、呼びましたか?」

「ああ、わかっているな、相性を見る儀式がある事」

「はい」

「何をするの?」

「祠に行って、石に触れるのじゃ、そして、光ったら組んでも大丈夫と言う事だ」

「それだけ?」

「量られる物は二つだけじゃ、エリーゼの王族としての器量とアルーとの信頼関係が築けているか」

「わかりました」


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