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町宿に着くと、エリーゼは、ベッドに寝かされた。
「よく眠ってね」
「うん」
エリーゼは、夢の中だった。
「もし、アントナイトが見つかったら、アルー、お前に騎士を変わって欲しいと思っている」
ルシードの声がする。
「何で? 僕は、情報屋なんだよ。騎士ではないし、力もない。君の代わりなんて勤まらないよ」
アルーの声がする。
「もう少しだけ考えてごらん、ルシードさん、あんたエリーゼちゃんに本音をぶつけたことがある?」
「……」
アルーは部屋から出て行った。
「エリーゼ様、こんな状態になっても、俺は、何もしてあげられない」
エリーゼは、頭がボーとする中で、ルシードに向き合った。
「ルシードは、私が可愛いお姫様だから好きなんでしょ」
「確かに、エリーゼ様は、かわいいです。ですから、どんな時でも側に居たいと思ったのです」
ルシードは、エリーゼを寝かせ、子守唄の様に。
「あなたは、私が下級騎士のころ、よく騎士小屋に迷い込んでいた。「迷子なの?」って訊くと、「ううん、遊びに来たの」と答えましたね。その時、あなたの腕は震えていた。そう、迷子だったのでしょう。それなのに、「お兄さん、ケガ痛そうね」とケガの手当てをしようとしてくれました。その時からずっと好きなのですよ。付き合いたいと言うよりも、幸せにしたい、幸せになって欲しいと思っていたのでしょうね」
ルシードは、そう言って離れようとした。
「待って、ルシード、私が悪かった。あなたは、下心だけしかないと決め付けていたわ。私、ルシードの事誤解していた」
袖をつかんでそう言った。
「よかった。エリーゼ様に必要としてもらえた」
ルシードは、うれしそうに、泣きそうな顔をして笑った。
「ルシード……」
じーっと見つめると、ルシードが真っ赤になり。
「あの、そんな潤んだ瞳でみつめられると……わかっていますよ、お疲れで熱があるんですよね」
もう一度、ジーと見つめる。
「キス位しても怒りませんよね」
ルシードにあごを優しくつかまれた。
「あー、ルシードさん、何しているんですか! エリーゼちゃんは、熱があるんですよ、抵抗できないからって、そんなことしちゃう?」
「なっ、アルー」
「僕は、別にいいんですけど、エリーゼちゃんが可愛そうだと思いましてね」
アルーは、おかゆを作って来たらしく、枕元に置く。
「エリーゼちゃん、ご飯食べれる?」
「う、うん」
ぼーと、アルーを見つめる。
「確かに、この眼で見られるのは、辛いかも……」
アルーは、大きめのスプーンをエリーゼの口へ運ぶ。
「どう? 食べられそう?」
「うん」
「アルーは、医者とか、薬師でもしていたのか? 妙に気が利くよな~」
ルシードが負け惜しみのようにそう言うと。
「ああ、ただの旅人だよ、旅って言うのは、自分の健康管理ができないとすぐ死ぬよ、一人旅だったから、特にそう思った」
「そうか」
アルーのリュックは、二つ、斜め掛けのいつでも取り出せるようになっている物と、普通のリュック。
「そういえば、アルーは滅多にリュックを降ろさないよな」
「色々、入っているからね」
アルーは、楽しそうに言う。
エリーゼは、アルーにおかゆを食べさせてもらい眠った。




