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しばらく歩いて、乗合馬車の乗り場が見えて来た。
「休もうよ~」
エリーゼは、旅と言う物に、ひどく疲れていた。
「エリーゼ様、大丈夫ですか?」
「疲れたんだろ、知らないところばかり行くから、どこかゆっくり休める所で寝ないと、その疲れはとれないだろうな」
アルーは、エリーゼの様子を見てそう言った。
「少し、熱があるかもしれないな」
アルーが額をくっつけて来た。
「うん、少し熱い、次の町で休むべきだな」
アルーは、持っていた瓶を開けて、エリーゼに渡した。
「とりあえず、疲れた時の葛根湯と言う薬だ」
「ありがとう……って、にがい!」
「薬はね、昔から苦い物って決まっているの、ガマンして飲んで」
「うん」
エリーゼは、グイッと飲み干した。
「偉い、偉い」
アルーがエリーゼの頭をなでる。
ルシードは、イライラしている様だった。エリーゼが、アルーに懐いているのが、気に喰わないのだろう。
(だって、ルシードは、少し苦手なの)
今まで、少しだけ一緒にいる用事ばかりだったので、ガマン出来たが、四六時中一緒にいる今の状況では、ガマンしきれないのだ。
いつの間にか、乗合馬車が入って来ていた。
「三人乗ります」
ガタガタ揺れる馬車に気分が悪くなっていると、アルーが背中をさすってくれた。
「苦しいかもしれないけど、がんばれ」
アルーは優しく声をかける。
ルシードは、ただ、見ているだけだった。
☆ ☆ ☆
二十分後、小さな村に着いた。
「エルドール村だ」
野菜がたくさん育っている、大きな平地。とても、日当たりが良く、野菜が笑っている様だった。
「ここなら、ゆっくり休める。三日位、ここに泊まろう」
「うん」
エリーゼは、熱があり、ふらふらだった。
「エリーゼ様……」
ルシードは、抱き上げようとしたのか、手を差し伸べて来た。しかし、エリーゼが手を取ったのは、アルーの方だった。
「エリーゼちゃん、肩しかかせないけど、がんばって」
「うん」
ルシードは、もどかしそうにしていた。
(ルシード、怒っているかな?)




