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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
ドワーフの穴
14/33

 そして、夜になり、宴が開かれた。

「エリーゼ様、踊りませんか?」

 そう言ってくるのは、ドワーフだった。

「いいわよ」

 半ば、エリーゼが持ち上げると言ったらいいのか、そう言うダンスになってしまっていた。

 火の回りをぐるぐるとペアで回る。エリーゼは、たくさんのドワーフと踊った。

「エリーゼ様、俺と踊ってくれますか?」

 ルシードが真剣な顔でそう言ってくる。いつものようにふざけた雰囲気じゃないので、少し戸惑った。

「えっと、いいよ」

「本当ですか?」

 ルシードは、心の底から嬉しそうに言った。エリーゼにとっては、何でもない事だった。ドワーフと踊るのとほとんど変わらないと思っていたのだが、ルシードにとっては違うようだ。

(ダンスなんて減るものじゃないし、こんなに喜んでくれる人と踊らないわけには行かないよね)

 エリーゼは、ルシードの手を取り踊った。

 ドワーフは、笛や、太鼓を鳴らしてその場を盛り上げる。向かい合って踊っていると、ルシードの顔が良く見える。

(顔は良いのに、残念なのよね)

 一曲が終わり、ドワーフも入れ替わった。

「アルー」

 アルーの元へ向かうと、少しいじけているようにも見える。

「エリーゼちゃん、ちょっと来て」

 アルーに連れて行かれた所は、月が良く見える庭だった。

「夜空がきれい」

 一面の星空を木の間から覗く、そんな場所だった。

「キレイだろ」

「うん」

 アルーは、自然と近づいて来て、手を握ってきた。

「踊りませんか? お姫様」

「ええ」

 エリーゼは星空の下と言うシチュエーションで踊っているからなのか、とても、うっとりした気分になった。

(何だか、頭がボーとする)

 アルーの顔も、かっこよくて、少しドキドキした。

(この気持ちは、何?)

 初めての気持ちに戸惑っていた。そして、エリーゼが思ったのは、一時の気の迷いだろうと言う結論だった。

「ありがとう、アルー、とても楽しかったわ」

「そうか、女の子を楽しませるのも、僕の役目だからね」

 頭を下げた。アルーがモテる理由が何となくわかった気がした。

(こんな人じゃ、好きにならないわけにはいかないよね)

 エリーゼは、アルーと目が合い、そらしてしまった。


  ☆ ☆ ☆


 ドワーフの所へ戻ると、食事会になっていた。

「エリーゼ様、どこに行っていたのですか?」

 ルシードが心配そうに訊いてくる。

「う~ん、内緒です。ところで、私の分は?」

「当然あります」

 エリーゼとアルーの分として用意された物は、他のドワーフの物より二回り大きな皿だった。

「うん、この位なら、丁度いいや」

 エリーゼは、スープを冷ましながら食べた。

「この、にんじんおいしい、じゃがいももおいしい」

「ドワーフは、野菜も育てているんじゃよ」

「そうなんですか」

 エリーゼは、一口一口、かみしめて食べた。


  ☆ ☆ ☆


 その日の夜、ルシードとアルーに挟まれて眠った。

「ナイトは、一時も離れない覚悟です」

 ルシードが、一緒に寝るとしつこいので、アルーに隣に寝てもらったのだ。


 次の日、旅立ちの日が来た。

「ドワーフさん達、よくしてくれて、ありがとうございます」

 エリーゼは、深々と頭を下げた。

「さあて、次は、どこに行こうか?」

「アルー、ドワーフは、アントナイトがどこにいるか知っていると言っていたわ、もしかして、もう情報を仕入れたのでしょう」

「わかっちゃったか~」

「当然です。あなたは、とても優秀ですから」

「買いかぶり過ぎですよ、僕は、優秀なんかじゃないですよ」

 アルーは、風のように笑いながらそう言う。

(アルーってつかめない人だな~)

 アルーを見つめてそう思っていた。

「次は、僕と初めて会った山に向かいましょう」

「えっ? なんで?」

「そこにアントナイトがいるのですよ」

「そう」

 アルーの言った目的地は、アールサン山だった。山は、ここから東にある。大分馬車で進まないといけないのだ。

「また、乗合馬車?」

「そうだよ、エリーゼちゃんの嫌いな、乗合馬車だよ」

 アルーは、呑気にしている。

「アルーは、慣れているのようね」

「うん」

 エリーゼは、アルーが一体どんな生活をしてきて、情報屋になったか少し気になっていた。

(もしかして、何か特殊な家の出なのかしら?)

 エリーゼは、歩きながら、悶々と考えていた。


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