5
次の日、エリーゼは、目が覚めてから、辺りを見渡した。
(いつもの部屋じゃない)
少しどうようした。
「やあ、エリーゼちゃん」
アルーがこちらを見ている。
「寝顔かわいかったよ」
「なっ!」
アルーが冗談でそう言ったのか、本心で言ったのかは置いておいて、なぜ牢から出ているのか不思議だった。
「捕まったはずじゃ?」
「そうだったんだけど、ドワーフを説得しました」
「すごーい、アルー」
ルシードがつまらなさそうにこちらを見ている。
「エリーゼ様がご無事で何よりです」
「あっ、うん」
「相変わらずルシードさん、警戒されているよ」
「……」
ルシードは、落ち込んだように小さくなった。
「エリーゼ様が起きたってよ」
一人のドワーフがそう言うと、ドワーフが集まってくる。
「エリーゼ姫様、そして、そのナイトの方々、昨日は、失礼な事をしてしまい、本当にすみませんでした」
白いひげを生やしている、偉そうなドワーフが頭を下げた。
「いいのよ、私達だって急に訪ねてしまったのですから」
「エリーゼ様、なんて心の広いお方なのでしょう」
白いひげのドワーフは、エリーゼを崇めるようにそう言った。
「今日は、歓迎の宴でも開こうと思います。どうか、昨日の事は、忘れて、楽しんでくれるとうれしい」
「はい、楽しみたいと思います」
ドワーフ達は、大きな鍋に食材を入れてかき回している。
「今日のメインのスープです」
「そう」
エリーゼは、手伝おうとして、棒を握ったが、動かせなかった。どうやら、ドワーフは力持ちらしい。
(そうよね、よく考えたら、あんなに小さい体の人達が、地上の物を地下に運んでいるんですもの、力持ちに決まっているわね)
一人納得していた。
「エリーゼ様、こっちの部屋は遊戯場になっています。ナイトの方々と遊んでいたらいいのではないですか?」
つまり、邪魔だと遠まわしに言っているのだと気が付いた。
「そうね、アルー、ルシード」
二人は、ゆっくり動いて現れた。
「どうしたの、エリーゼちゃん、僕達暇でさ~」
「そうだと思ったの、だから遊戯場に行きましょう」
「いいけど、ドワーフの事だから、すべて小さく作っているんじゃないかな?」
「それじゃあ、遊べないわね。でも、とりあえず行ってみましょう」
「うん」
アルーは、手を頭の後ろで組んで、欠伸をした。遊戯場に着くと、やはり、何もかも小さかった。
「これじゃあ、遊べないわ」
「天井も低いしね」
ドワーフの住処は、部屋の部分だけ、少し天井が低い。結局、仕方がないので、ドワーフを見つめているだけになってしまった。
(うう、何かしたい)
エリーゼは、心の中でそう思うが、何もできない。
「エリーゼちゃん、パーティの主役がそんな顔していては、ダメだよ」
アルーはそう言って、ポンッと花を出した。
「すごい!」
「手品、あるところで習ったのさ」
アルーは笑顔を作るように言いたかったのだと思い、エリーゼは笑顔を作ってドワーフをみつめた。
ドワーフ達は、急いで、飾りを家に巻いたり、キャンプファイアーをするのか、木を組んでいる。
(なんだか、ずいぶん気合が入っているのね)
エリーゼは感心して見ていた。




