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アントナイト~蟻ほどの騎士~  作者: 花言葉
ドワーフの穴
11/33

 そして、数時間が過ぎ、アルーは全く口も開かず、何もしなかった。そのまま裁判に持ち込まれてしまった。

「罪人、人間三名」

 三人は、手に枷をされて、つながれていた。

(アルー何とかしてよ)

 エリーゼは助かりたいと強く願った。

「お前達は、財宝を狙い、入って来たと言うのは本当か?」

「いいえ、私達は、財宝何て狙ってないわ」

 エリーゼが答えたのだが、ドワーフは眉をひそめ。

「ドワーフを、そのような嘘が通じる、ダメな種族だとバカにしているのだろう? そうなんだろう?」

 怒って木の棒を折った。

「やばい、やばい」

 アルーが楽しそうにそう言う。

(今、楽しんでいる場合じゃないでしょう)

 エリーゼは、心の中で、頼りにしていたアルーが全く使えない事を知り、軽い絶望に陥っていた。

「三人の極刑を命ずる」

「待って、主犯は私なの、この二人は、ついて来ただけ、殺すなら私だけにしてくれないかしら?」

 エリーゼがそう言うと裁判官は考えて。

「一人ずつ話を聞こうではないか」

 チャンスだ。ドワーフが耳を貸してくれると言い出したのだから。

「お願いします」

 アルーとルシードは、また牢に閉じ込められた。

「人間、名はなんという?」

「エリーゼです」

「そうか、エリーゼか、それで、なぜ財宝を狙った? お金が無いのか? それとも、遊ぶためか?」

 ドワーフは、低い声を出して脅すようにそう言ってきた。

「私の目的は、『アントナイト』を探すことです。決して、財宝が欲しかったわけではありません」

「それを信じろと言うのも難しい。アントナイトの村は、こことは、正反対の所にあるからな」

「……アントナイトを知っているの?」

「ああ、もちろん、とても仲が良い」

 ドワーフは、知っていると言った。アントナイトは、ただのおとぎ話ではなく、本当にいるようだ。

(アントナイトに会えるかもしれないわ)

 少し気持ちが明るくなったが、今は、命の危険があることを思い出して、裁判に集中することにした。

「あの、私達がウソをついていると、なぜわかるのですか?」

「今までの人間もウソをついていたからだ」

「つまり、前に来た人に、財宝を取られたのですか?」

「ああ」

 ドワーフは、言いたくなさそうにそう言った。

(財宝を取った人がいたのね……。これでは、私達が不利だわ)

 エリーゼは、頭を使う必要がありそうだと思い考えた。

(まず、その人間との違いを考えなくちゃ)

 エリーゼは、アーヌスト王国の姫と言う立場を利用しようと思った。

「私は、アーヌスト王国の姫なの、証拠は、この王室印よ」

 服のはしから、王室印を取りだした。

「こ、これは、真の」

「姫は、アントナイトを手に入れる試練が与えられるの、あの二人は、お付きです。信じていただけたでしょうか?」

「わかった。姫だと言う事は、信じよう、だが、後二人にも話を聞いてみないとわからない」

「どうぞ、私が姫だと言う事を頭に置いて、話を聞いてください」

 エリーゼは、一度、手枷と足枷を外させた。

「こりゃあ、お姫様に失礼な事をしたな」

 おじさんのドワーフがそう言って、どこかへ案内された。

「みんな、人間さんだ。腹減っていると思うから、何か食べさせてあげなさい」

「おじちゃん、その大きい人の名前は?」

「エリーゼと言うらしいぞ」

 エリーゼの、膝より、少し上位の大きさの人達が、今度は楽しそうな顔をして集まってくる。

「あ、あの……」

 ぐ~ぎゅるるる~とエリーゼのお腹が鳴った。

「ほら、腹減っているだろう」

「そうね、さあ、お肉の入ったスープを飲みなさい」

 小さなカップにあふれそうなくらい、スープを入れて、エリーゼに渡してくるドワーフ達。スープは、一口で食べきれる量なので、パクパクとどんどん食べ進んだ。

「よーく食べているね」

 おばさんのドワーフが驚いてそう言う、ドワーフの街は、まるで、ミニチュアのおもちゃのようにちいさくてかわいい。

「エリーゼさんの寝る部屋を用意しなくては」

「そうだな」

 ドワーフ達は、慌てている。

「あの……、入口に置いてある、毛布があれば大丈夫だから」

「そうか、誰か取りに行けよ」

「はい、いきます」

 若い男のドワーフが飛び出して行った。

 そして、エリーゼは、わらを敷いてもらい、そこで眠ることにした。

(明日に成れば、すべて解決していますように)


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