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そして、数時間が過ぎ、アルーは全く口も開かず、何もしなかった。そのまま裁判に持ち込まれてしまった。
「罪人、人間三名」
三人は、手に枷をされて、つながれていた。
(アルー何とかしてよ)
エリーゼは助かりたいと強く願った。
「お前達は、財宝を狙い、入って来たと言うのは本当か?」
「いいえ、私達は、財宝何て狙ってないわ」
エリーゼが答えたのだが、ドワーフは眉をひそめ。
「ドワーフを、そのような嘘が通じる、ダメな種族だとバカにしているのだろう? そうなんだろう?」
怒って木の棒を折った。
「やばい、やばい」
アルーが楽しそうにそう言う。
(今、楽しんでいる場合じゃないでしょう)
エリーゼは、心の中で、頼りにしていたアルーが全く使えない事を知り、軽い絶望に陥っていた。
「三人の極刑を命ずる」
「待って、主犯は私なの、この二人は、ついて来ただけ、殺すなら私だけにしてくれないかしら?」
エリーゼがそう言うと裁判官は考えて。
「一人ずつ話を聞こうではないか」
チャンスだ。ドワーフが耳を貸してくれると言い出したのだから。
「お願いします」
アルーとルシードは、また牢に閉じ込められた。
「人間、名はなんという?」
「エリーゼです」
「そうか、エリーゼか、それで、なぜ財宝を狙った? お金が無いのか? それとも、遊ぶためか?」
ドワーフは、低い声を出して脅すようにそう言ってきた。
「私の目的は、『アントナイト』を探すことです。決して、財宝が欲しかったわけではありません」
「それを信じろと言うのも難しい。アントナイトの村は、こことは、正反対の所にあるからな」
「……アントナイトを知っているの?」
「ああ、もちろん、とても仲が良い」
ドワーフは、知っていると言った。アントナイトは、ただのおとぎ話ではなく、本当にいるようだ。
(アントナイトに会えるかもしれないわ)
少し気持ちが明るくなったが、今は、命の危険があることを思い出して、裁判に集中することにした。
「あの、私達がウソをついていると、なぜわかるのですか?」
「今までの人間もウソをついていたからだ」
「つまり、前に来た人に、財宝を取られたのですか?」
「ああ」
ドワーフは、言いたくなさそうにそう言った。
(財宝を取った人がいたのね……。これでは、私達が不利だわ)
エリーゼは、頭を使う必要がありそうだと思い考えた。
(まず、その人間との違いを考えなくちゃ)
エリーゼは、アーヌスト王国の姫と言う立場を利用しようと思った。
「私は、アーヌスト王国の姫なの、証拠は、この王室印よ」
服のはしから、王室印を取りだした。
「こ、これは、真の」
「姫は、アントナイトを手に入れる試練が与えられるの、あの二人は、お付きです。信じていただけたでしょうか?」
「わかった。姫だと言う事は、信じよう、だが、後二人にも話を聞いてみないとわからない」
「どうぞ、私が姫だと言う事を頭に置いて、話を聞いてください」
エリーゼは、一度、手枷と足枷を外させた。
「こりゃあ、お姫様に失礼な事をしたな」
おじさんのドワーフがそう言って、どこかへ案内された。
「みんな、人間さんだ。腹減っていると思うから、何か食べさせてあげなさい」
「おじちゃん、その大きい人の名前は?」
「エリーゼと言うらしいぞ」
エリーゼの、膝より、少し上位の大きさの人達が、今度は楽しそうな顔をして集まってくる。
「あ、あの……」
ぐ~ぎゅるるる~とエリーゼのお腹が鳴った。
「ほら、腹減っているだろう」
「そうね、さあ、お肉の入ったスープを飲みなさい」
小さなカップにあふれそうなくらい、スープを入れて、エリーゼに渡してくるドワーフ達。スープは、一口で食べきれる量なので、パクパクとどんどん食べ進んだ。
「よーく食べているね」
おばさんのドワーフが驚いてそう言う、ドワーフの街は、まるで、ミニチュアのおもちゃのようにちいさくてかわいい。
「エリーゼさんの寝る部屋を用意しなくては」
「そうだな」
ドワーフ達は、慌てている。
「あの……、入口に置いてある、毛布があれば大丈夫だから」
「そうか、誰か取りに行けよ」
「はい、いきます」
若い男のドワーフが飛び出して行った。
そして、エリーゼは、わらを敷いてもらい、そこで眠ることにした。
(明日に成れば、すべて解決していますように)




