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プロローグ
夜、眠れない時に、お父様がしてくれたおとぎ話。それは、『アントナイト』のお話だった。その騎士は、アリほどに小さくなれると言う。
「いいかい、エリーゼ、私が王に成れたのは、アントナイトのおかげなんだよ」
「本当? その『アントナイト』って言うのは、すごいの?」
「ああ、もちろん、『アントナイト』を得た者は、富と名声を手に入れることが出来るからな」
「すごーい」
「でもね、アントナイトをめぐり争いが起こった事もあったんだよ」
「アントナイトって、本当は、危ない物なの?」
「アントナイトは、権力を与えすぎてしまったのだよ。でも、その者は、破滅した。だがな、アントナイトは、毒になるばかりではなく、その人の本当のピンチを救ってくれる事もあった。困った時は、アントナイトを探しなさい、きっと助けになってくれるから」
「うん、私もアントナイトを探すね」
エリーゼは、うれしそうに笑った。