パーティから追放された日
「アルゼスト。お前、明日から来なくていいよ」
クエストを無事に終わらせ、酒屋で飯を堪能していた時の出来事だ。
ツンツン頭で威圧的な表情をしているコレオが唐突にそういったのだ。
「えっと……それはどういう意味だ?」
「だから、オレらのパーティから出て行けってことだよ」
なん……だと……
「お、おい。冗談はよせよ。もう3年も一緒だったじゃないか。今さら何言ってるんだよ……」
「これはもう決定なんだよ。皆とも話し合った結果だ」
そんな話、俺は聞いて無いぞ……
「ごめんなさい。ボク達も悩んだんですけど、やはりアルゼストさんがこのパーティに居ると効率が落ちちゃうんですよ」
優しそうな雰囲気をしたマテウスが気まずそうな表情でそう言った。
「てゆーか。アタシ前から思ってたんだけどさ、盾いらなくねー? って思ってたわけよ」
色っぽい格好をしたリアーヌが気だるそうに言った。
今のこの場に居るのはコレオ、マテウス、リアーヌ、そして俺ことアルゼストの4人だ。いつもはこの4人でパーティを組んでクエストを受けて、魔物退治をしている。
「つーかよぉ。オレらも強くなったんだし、もう盾役とか無しで余裕で倒せるじゃん」
「たしかに……2人もだいぶレベルが上がってきたことだし、火力も十分確保できたと思います」
「でしょでしょ? アタシだって調子がいい時は一撃で倒せることもあるし、魔物が近づいてくる前に殲滅も楽勝っしょ」
確かにその通りだ。盾役である俺が近づく前に魔物を倒す場面が増えてきたのは事実だ。
「だろ? ならオレら3人でもやっていけるって訳よ。分かったかアルゼスト」
「…………」
俺は反論できずに黙ることしか出来なかった。
「てゆーか。1人だけ何もして無いのに報酬持っていくのってどうよ?」
「だよなぁ? アルゼストが居ると報酬を4等分しなきゃならないけど、オレらだけなら3等分で済むもんな?」
「その通りですね」
「ねー」
俺は……俺はそんなにも役立たずなのか……?
「んじゃ、そういうことで。ここの支払いはオレがやっとくから。それが手切れ金代わりな」
「すいません。ボクも明日の準備があるので……」
「ばいばーい」
3人が席を立ち、俺から離れていった。
この3年間一緒だったパーティから追放された瞬間だった。