第九話 自覚 不安 でも……
九条「本日よりここ九条経営取引コンサルタント社、伽耶岬支部に2名の魔法商女が配属される事になりました」
あれから一ヶ月が過ぎた。
独自の魔法を身に着けるには至らなかったが、間宮の指導もあって真希は立派に魔法商女としての役割を担えるまでに成長していた。
あの後、朝倉が現れることも無く、間宮とのわだかまりも次第に薄れ、今では立派に補佐を勤めている。
そんな真希の前に現れたのは新たな魔法商女だった。
九条「稲村明美さん。彼女は本部に所属しているのですが、各支部を転々としている派遣魔法商女と言う形態をとっています」
九条の言葉に続き、一歩前に進み出て一つ礼をする。
九条「魔法商女としての実績は多く、間宮さんと同様最前線で活動してもらいます」
稲村「ご紹介に預かりました、稲村と申します。派遣と言う形式の都合で長くここに留まる事は出来ませんが、精一杯務めさせていただきます」
稲村はハキハキと、そして淡々と自己紹介を終え、また一つ礼をして一歩退く。
九条「柿谷みささん。厳密にはまだ魔法商女ではありませんが、円さんと同じく魔法商女の才能を認め、魔法商女見習いとして我が社と契約していただきました」
柿谷「どうも、柿谷です。元気の良さと明るさが私の長所です! 魔法商女? についてはまだイマイチ良く分からないんですけど、とにかく皆さんにご迷惑をかけないよう精一杯努力します!」
右手を高く上げ、九条の紹介にも食い気味に自己紹介をする。
九条「柿谷さんの指導係は円さん、貴女にお願いします」
真希「私ですか⁉︎ で、ですが私はまだ……」
指導係。それは間宮が真希の為に担っていた役割で、それは真希の中ではまだ大きな存在であった。
自分がまだ指導されるべき立場であると言う認識が、真希には残っていたのだったが。
九条「間宮さんから教わった事、間宮さんを見て感じた事、何でもいいんです。貴女が間宮さんから学んだ事をそのまま彼女に教えてあげてください」
此処、伽耶岬支部にはそもそも人手が足りていない。間宮が二人を指導する事も考えられたが、実は間宮から九条に進言していたのだ。
彼女に任せてみては貰えないか、と。
柿谷「円先輩ですね!よろしくお願いしまーす‼︎」
真希「よろしくお願いします……」
新たな同僚と、魔法商女としての新たな不安。それらは確かに真希の心に重くのし掛かり、そして覆い被さるように影を落とし込んだ。
しかし、それはかつてのように濁りを生むこと