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第十二話 RE——

「じゃあ行ってきます!」

 伽耶岬支部に元気良い声が駆け抜ける。

 柿谷、朝倉両名が稲村明美と接触してから二週間。再び真希と柿谷の二人が手を組んで取引仲介に臨む日がやって来た。

 二週間が経って変わった事は良くも悪くも、何も無かった。柿谷の心は折れる事なく経済学を学び続け、真希の固有魔法は未だ発現しないまま。朝倉もそれまで通り教鞭をとって、九条が纏めた本件に二人が取り掛かる事に決定した。

 朝出運輸と通販サイトREtechの契約に際する運賃交渉と専属便の新規契約と二点。そして朝倉と相談した結果生まれた八割近い確率でやって来る魔女の対処も合わせて三点。

 朝出運輸は伽耶岬市に本店を置く運送会社で、規模こそ大きく無いものの主に通販サイトとの契約を取り付け安定して業績を伸ばす古参運送会社である。

 REtechは丁度一年前に設立され、同時に朝出運輸と契約した工具や家電などを主に取り扱う『ネットのホームセンター』を自負する伽耶岬の小さな企業であった。

 そのREtechの業績向上に伴い、朝出運輸から運賃の値下げと専属便の契約を提案した事が発端である。

 本来ならば魔法商女を中立に置く必要も無いはずなのだが、それでも依頼が持ち込まれた事もあって九条も朝倉も揃って不審な匂いを感じ、受ける事となった。

 その不審な匂いと言うのが魔女の可能性である。

 互いに損の出にくい本件を魔法商女に依頼すると言うのは通常ならば無駄に近い。

 何故ならば魔法商女は中立に立つ存在であり、互いに寄り添う形で一つの方向へ向かうこの件にはあまりにそぐわない物だからだ。

 よって依頼の理由は『魔法商女をどうしても呼び付けたい』というものである可能性が高くなる。そうなった時、先日の稲村の行動が気にかかったのだ。

 よって九条の提案ではこの件は朝倉を責任者として三人で参加する予定だったのだが、もう一軒不穏な依頼が急遽舞い込み朝倉と二人がそれぞれで対応する手筈となった。


 出発から二時間、二人はREtech本社に到着した。

 玄関で出迎えていたREtech代表の大仁田に案内された応接室で、早速朝倉の予感が的中する事になった。

「今回REtech社の担当をさせて頂きます桜田と申します。よろしくお願いします円真希さん、柿谷みささん」

 不本意な事だが約四ヶ月ぶりに、二人は再び魔女と対峙した。

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