表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/147

第三十八話 【間宮と朝倉】


初めて出会った時、あの人はキラキラと輝いていた。





魔法商女、と言う胡散臭い肩書きした同い年位の女の人と、それよりもずっとずっと歳上の男の人がある日私の前に現れた。

なんでだか分からないけど、魔法商女の女の人は凄くかっこ良く見えて、それが理由で間宮智恵は魔法商女になった。

スマイリーネゴシエーション、って言うかっこ悪い魔法もその日のうちにマスターして、少しでもあの人に近付こうと頑張った。

周りの人は、私の事を朝倉以上の逸材だ! なんて持て囃したけど、私には朝倉京子の輝きに追いつけるだなんて思えなかった。

真っ白なサイコロを創り出す魔法、だなんて聞いて、「京子さんの輝きに相応しく無い!」なんて憤慨して【Un de blanc comme neige】と言う名前を提案した。

京子さんは嫌そうな顔をしたけれど、先生の勧めもあってその名で呼んでくれるようになった。

私も、京子さんみたいに早く魔法を操ってみたいと意気込んだ。

それから、私の周りの人達は大きく変わって行った。

最初は沢山居た私の事を持ち上げてくれる人もどんどん数を減らして、最後には先生しか残らなかった。

そんな時、酷い噂が立ち上り出した。

間宮智恵の醜態は、教えの悪い師の所為だ、と言うものだった。

私は先生に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

そしてそれ以上に、京子さんが悪く言われる事が苦しかった。

私の覚えが悪いからあの人が侮辱される。それを思うと何も喉を通らなかった。

あの輝きを、私の所為で汚す事になるならばいっそ……

そんなネガティブな感情ばかり渦巻いていた頃、あの人は私に手を差し伸べてくれた。

いつもそっけない態度で突き放していたあの人が、私の背中を押してくれた。

そして私は、【La derniere balancer】を発動させる事が出来た。

私から離れて行った大勢の人もまた近くに来てくれた。

私は思った。

皆に証明することが出来たんだ! 京子さんの凄さを、京子さんの優しさを! なんて。

それだけが、嬉しかった。

それなのに。

あの人は私の前からいなくなった。

私は、何も考える事が出来なくなった。

先生もそんな私を案じてか、仕事を一旦休ませてくれた。

私はもう魔法を発動させる事が出来なくなっていた。

それから数ヶ月、私は決心をした。

私が、あの人になるんだ。

あの人に教わった全てと、私が見たあの人の全てと。私がそれになるんだ。

私は京子さん、いえ——

——朝倉さんに成る事で、再び魔法商女として立ち上がった。

もう朝倉さんに憧れるだけの間宮智恵は止めよう。

朝倉さんにも負けない、誰にも負けない頂点の魔法商女になる。

そのために、私は…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ