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第十一話 魔法の祖



柿谷みさの魔法訓練が始まった。

と言っても真希が教えられる魔法は最初に教えられた一つだけ。未だに独自の魔法を成功させたことは無い。


本来、スマイリーネゴシエーションと言う物は魔法商女の魔法の中でも異質な物である。

その本質は魔法商女の影響力を高めると言う物で、未熟な魔法商女が魔法を使う為に必要な前提条件。いわば手品のタネの様な物だった。

魔法と言う物は、一般的には存在しない、架空の物と言う認識である。ただ手放しに間宮の最後の天秤を発動したとして、それは大きな動揺や猜疑心を生むだけで本来の狙いとはズレた結果を生むことになる。そのズレを修正すると言うのが本来の目的であった。

その結果、魔法商女と言う存在を意識に肯定させる空間を作り出す。と言う魔法が出来上がった。魔法商女の基礎魔法と呼ばれてはいるものの、影響力と言う点において何よりも勝る魔法である。

しかし、いつの日かその魔法は現在の「発動主において、空間にある全ての取引関係者が笑顔で取引を終える様になる」と言うもう一つの側面を植え付けられたスマイリーネゴシエーションと言う魔法になった。

そのままでは魔法商女の傲慢な力によって依頼社とその取引相手が望まぬ形での決着を迎えることが多かったため、誰かが書き足した魔法商女への枷であると言われている。


スマイリーネゴシエーションを習得する事は、魔法商女になると同時に、取引の一切を背負う責任があると言うことだった。


独自の魔法を作り出すのはその責任を果たす為の力が必要だからだ。



目を瞑り、今まで何度も見てきた光景を思い返す。


力強い言葉を。


全てを背負う背中を。


巨大な天秤を従えた、勇敢な魔法商女の姿を。







九条「では円さん、柿谷さん。行ってらっしゃい」


今回の依頼は経営統合のポストの内訳、ラインの提供割合等の取り決めだった。

その為に真希が訪れた場所は、“爽守スチール”と言う鉄鋼工場。以前魔法商女として始めて取り仕切りをした護澤鉄鋼と盛沢鋳造の経営協力会議の場にも出てきた名前だ。

現在業績を大きく伸ばしており、“自動車部品産業”に参入するため、佐和森電工と経営統合をする事となった。

その時、現役員のポストや貸出ラインについての取り決めについて第三者から見た意見や提案、要するに一つの指標としての案を求められた。

若い企業同士の経営統合においては不和が起こりやすいのである。



真希は今回の依頼に対して一つの決心を決めていた。



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