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招魔の祈り ~law distorters~     作者: 平山コウ
1.~異端の少年~
13/71

【1】ー12  望まぬ力…のちに編入生


「……くそぅ」

「…………治癒、覚えたほうがいい、かも」


 自習の時間が終わり、本日の下校時間。

 アミナが心配そうな目を向ける先にはいつものようにレヴァン。軽い電撃を受けて今の今まで地面に倒れ伏していたのだった。


「…………帰ろう?」


 アミナの言葉に頷いて、レヴァンはよっと立ち上がる。攻撃を受けたにしては軽快なその動きにアミナは軽く目を見張っていたが、レヴァンはそれには気がつかなかった。

 それぞれ学校の更衣室で制服に着替えてから、荷物を置いたままなので教室へと向かった。


「そういえばフロルは?」

「…………教官から、呼び出し」

「そっか。めずらしい」


 何かを考え始めたレヴァンだったが、ま、いっかとすぐ考えを放棄した。アミナは不思議そうな顔をレヴァンに向けた。


「いや、なんでもないよ」


 そう言って一人で教室へすっと入っていってしまう。アミナはその後ろを追いかけるようにして教室へと入った。すでに誰もいない教室で、それぞれ自分の荷物が入ったロッカーの方へと向かう。

 鍵をガチャガチャと開けてから、レヴァンは中にあるものを取り出した。カバンとほんの少しの教科書と、


「……」


 あとはノートの切れ端。

 そこに走り書きされていた内容を読んで、ため息をつく。その後、レヴァンは口を開いた。


「あー、悪いアミナ。先に帰ってくれないか?」

「…………?」

「ちょっと用事ができてさ。埋め合わせするから」


 眉をひそめながらもしぶしぶ了解してくれる少女に、レヴァンは手を合わせて謝罪の念を送った。


「…………ん。また、明日」


 小さく手を振ってからアミナが教室を出て行ったのを確認してから、レヴァンもふーっと息を吐きながら立ち上がる。そのままどことなく重い足取りでレヴァンもまた教室を出たのだった。






 場所は屋上。朝降った雨が、今ぐらいの時間になるとちょうどいいくらいの気温を保ってくれていた。少し強めに吹く風も、許容範囲内。思わずのんびり昼寝をしたくなるような好条件だ。

 放課後に屋上に呼び出されるというシチュエーションは期待を持ってしまう者もいるのだろうが、レヴァンの心中は空が全く見えないほどの曇天だった。こういった呼び出しは最近レヴァンにはよくあることだった。


「来たか」


 さらに深く肩を落としてから、レヴァンは声がした方を向く。屋上入口からすこし離れたところ、そこには複数の男子生徒がいた。学年はよくわからない。


「わざわざ来てもらって悪いけどさぁ……」


 そう言って複数のうち一人がゆっくりと近づいてくる。それをレヴァンは感情のよく分からない冷めた目で男子生徒を見ながら、話の続きを待った。


「俺、アイヤネンさんやスピノラさんと仲良くしたいんだよねぇ……」


 よく見るとその少年はピアスをつけたり、真っ白の髑髏を模した趣味の悪い腕輪をはめていたりしていた。確か校則で禁止されてたような……腕輪はいいんだっけ、とレヴァンは呑気なことを考えていた。


「んで、君邪魔なんだよねぇ~」


 ヒヒヒ、と笑う姿はあまり楽しそうには見えなかった。後ろでおそらくは待機をしているだろう者たちも同じように笑う。ひひひ。ヒヒヒ。

 へえ、とレヴァンは頷く。話の内容がわかったわけではなく、話の区切りのような雰囲気だったので打った相づちだったのだが、


「はぁ? ほんとに聞いてんのか、おまえ?」


 途端に空気が悪くなる。どうやらレヴァンは失敗してしまったようだった。


「聞いてるよ。で、俺はどうすればいいの?」


 疑問そうな顔を作ってそう尋ねるレヴァンに、男子生徒たちは一層ニヤニヤを増す。そうだなぁ、とどうやらリーダー格であろうその生徒が少し考えるようにしてから、レヴァンへと顔を向けた。


「まず俺をアイヤネンさんに紹介して――」

「いやだ」


 相手が要求を言い終わらないうちに、きっぱりと断りの返事をするのはレヴァン。言われた側は、は? という顔をして固まっていた。


「……君さぁ、自分の立場わかってる?」


 しかしすぐに気を取りなおして目の形を変えてレヴァンを睨むこの生徒は、少しはこういうことに慣れているのかもしれない。

 先より険悪な空気でガンつけている生徒を前にして、レヴァンは困ったような笑みを浮かべて笑っていた。けれど、目はそうではなかった。


「自分の立場?」


 問い返すレヴァンが恐れをなしたと思ったのか、ガンつけはそのままでリーダーがひひっと笑った。


「そうだよ? 自分の状況わかってる?」


 やけに耳障りに感じる声でそう言うリーダーを、レヴァンはにっこりと意識的に微笑んで口を開いた。


「五人の生徒に囲まれてるってこと?」

「そうそう。だから君が取る行動はもう決まってるよね?」


 いつのまにかリーダーの後ろにいたはずの残りの生徒が、レヴァンを囲むように配置されていた。そして、その傍らにはそれぞれの招魔が控えている形である。


「五対一じゃぁ魔物でも無事じゃすまないよ? そんなことはわかりきったことだから、おとなしくやられて――」


 くれないかな、と続くのであろうその言葉を遮って、鼻で笑いそうになったところを懸命に抑えこみつつ、レヴァンは首をかしげた。


「? 五対一で無事じゃ済まないって……おまえらが?」


 レヴァンが作った不思議そうな顔に、今度こそ絶句する五人組。このレヴァンの言葉は、疑問という形をとってはいるが、


「――――ナメてんじゃねぇよテメェッ!!」


 ――事実上の宣戦布告だった。

 少々は鍛えているのだろう。風をかき分けながら、拳がレヴァンの顔面向かって飛んでくる。それを片膝の力を抜くことで自然にかわしてから、その両足に魔力を送った。


「くたばりやがれッ!」


 表面上友好的にしていた面の皮もすっかり剥がれ、リーダーの生徒が鋭い中段蹴りをレヴァンに向けて放った。さすがリーダー格というべきか、練度が高い。そして、近距離では体術のほうが効果が高いことをしっかりと理解しているようだった。

 ――アミナは無理かな~。フロルは……避けれる、かな?

 そんな感想を頭の隅で思いながら、レヴァンは軽く地面を蹴るようにして飛び上がった。


「「「な……ッ!」」」


 名前も聞いていない男子生徒たちがこちらを”見上げて”目を丸くした。その視線を感じながら、五人で作られた輪の中から抜け出した位置にトン、とレヴァンは軽い音と共に着地した。

 軽い跳躍で人を容易く飛び越える。この行為は重力制御の魔法が出来ていない現在、浄魔士でも困難を極めるもの。

 これは、レヴァンの魔物としての能力を利用したものだった。


「て、テメェ……何をしたッ!」


 腐っても浄法院生。レヴァンが見せた技能の異質さを理解していたリーダー格の男が目をむいて、叫ぶようにして尋ねる。それに対して、


「跳んだ」


 楽しそうに、馬鹿にしたように軽く笑いながら、レヴァンは答えた。

 そしてそれが、五人組の理性が保たれた最後の瞬間だった。


「ざけやがって……ッ!!」


 誰のものかもわからぬつぶやきを聞いたかと思えば、五人同時に攻撃を仕掛けてきた。

 しかし先ほどと違うのは相手との距離。広がった分、強力な攻撃も可能ということだった。――たとえば招魔のような。


「やれッ!」


 最初に攻撃を放ってきた招魔は闇系の魔物だった。影がそのまま形を変えたような小鳥である。

それが目を瞠るような速さで近づく。レヴァンはどんな攻撃か見極めようと集中していた。小鳥はレヴァンの目の前というところまで来ると、羽ばたく回数を極端に増した。


「うわっ」


 レヴァンがそんな声を漏らしたのは驚いたからだ。小鳥の魔物がバサバサ羽ばたいたことに、ではない。

 その直後、視界が完全な暗黒に閉ざされたことに、だ。

 闇属性補助型の招魔。羽ばたくときに粒子状の闇属性の魔力を飛ばすことによってそれが目を侵し、相手の視界を一時的に奪う、というこの招魔の固有技能だった。

 しかしこの能力はレヴァンには、効かない。


「よし、見えた」


 一秒を待たずに回復した視界を確認して、レヴァンは自らの横を過ぎようとした小鳥を裏拳でたたき落とした。

 驚愕に染まりきった契約者が呆然としているのを、レヴァンは無表情な目で確認してから、その存在を意識の外へシャットアウトした。


「この化物がッ」


 残りの生徒が放った悪態と共に残りの招魔が一気に襲いかかる。全て近接型のようで、素早く間合いを詰めてきた。

 招魔を前に出して契約者は後方で魔法を紡ぐ。浄魔士のセオリーだが、それは招魔が相手を足止めできる場合に限る。

 レヴァンは軽い足取りで一歩踏み出す。すると目の前にオコジョのような招魔がいた。それを造作もなく蹴飛ばす。

 ンキュッと鳴き声を上げながら飛んでいく招魔は、そのまま魔法を展開していた生徒たちへぶつかりにいった。


「んわッ! おい、ナシュ! テメエ、招魔をしっかりコントロールしやがれ!」

「わ、ワリイ……」


 仲間内で軽く揉めている様子をレヴァンは目に収めながら、レヴァンは魔力を解放する。

 『属性展開』。そう呼ばれる技能と同じことをしているのだが、レヴァンが起こしたものに属性は存在しない。ただ変換されていない魔力で周りの招魔、そしてその契約者がいる範囲を支配したのだった。

 それだけで、招魔たちは一時的に動きを止める。無属性で支配された空間に別の属性を働かせようとするなら、より強力な魔力の変換力が必要だ。しかし、この場の招魔にその力があるものはいなかった。

 そして、契約者の方。こちらも動きを止められていた。魔力の流れを乱されたせいで魔法陣が消えてしまったのだ。そして、それだけではなかった。

 基本招魔の攻撃は外的殺傷力しかない。炎なら物を焼き、氷なら物を凍らせる。しかし、レヴァンの展開は無属性。外的殺傷能力がない代わり、契約者たちの身体へ浸透してしまうのだ。

 魔力は人間にとって異邦の力。熟練した浄魔士も大きな魔力を扱うことは出来ない。そのため、


「畜生が。俺がやる!」


 そう言ってリーダーが指を掲げて、魔法陣を描こうとした瞬間、


「ガハッ」


 軽めの吐血で膝を付いた。

 それを信じられないような目で見て、固まってしまった他の生徒達にも説明するため、レヴァンは口を開いた。


「俺の属性展開を受けて、おまえらの身体は魔力に侵されてる。体への負荷が限界になってるんだ。それ以上魔法を使ったら体中血まみれになる」


 恐怖に染まった五人組をつまらなさそうな顔で見て、レヴァンは入口の方へ踵を返す。相手の招魔が動きを取り戻す前にこの場を去るためだ。


「安心していいよ。明日には魔力も抜けていつものように魔法は使えるようになる」


 レヴァンがそう付け足しながら入口の扉を開けたとき、リーダーが苦しそうに喘ぎながらもつぶやいた。


「この……化物……が……」

「……その化物に、たかが人間五人で勝てるとは思わないほうがいいよ」


 そう言って自嘲げに唇を片方だけ吊り上げると、レヴァンは屋上を後にした。



   **********************



「いてぇ……」

「どしたの?」


 机に突っ伏してつぶやいたレヴァンに、フロルが様子を尋ねてくる。


「ちょっとした筋肉痛でさ」

「…………治癒、使う?」

「いや、いいよ。ありがとう」


 治癒魔法は人体の改変であるため、最も難しい魔法に数えられる。しかし、アミナの習得した治癒は丁寧でちょっとした傷なら完治するほどの力を持っていた。やさしい申し出だったが、レヴァンはやんわりと断った。

 魔力を肉体に込めた翌日は大抵こうなる。自業自得ということで自分を納得させていた。


「でも珍しいね? どんなに動いても筋肉痛なんてしないのに」


 そんなフロルの言葉にドキッとしながらも、レヴァンは顔を見られないよう突っ伏したまま常通りの言葉を心がけて言った。


「昨日、深夜練習しててさ。ちょっと調子に乗りすぎたよ」


 そこでぐったりとしてみせる。そんな様子に、少女二人はくすっと笑った。


「老化じゃないの~?」


 ニヤニヤしながらからかってくるフロルの言葉にレヴァンが「なんだとぅ」と反発すると、アミナは少しもじもじとした様子で口を開いた。


「…………おじいさんになって、も……仲良し」

「なんか、アミナの言葉が心に染みるよ……」


 レヴァンが何げに感動している横で、フロルは何故か、しまった、という表情を浮かべていた。

 その意味を知るためにレヴァンがフロルに声をかけようとしたところで、教官が教室内に入ってくる。出席確認の時間になったのだ。


「全員いるな? おい、席に着け」


 机の上に座って楽しげに談笑していた男子生徒が自らの席へ戻るのを確認してから、教官は生徒たちを見回した。


「……?」


 その際、レヴァンの方を見て笑みを浮かべたのだが、レヴァンにはそんなことをされる覚えがなく、困惑したような表情を浮かべた。

 しかし、思考を展開する間もなく、教官が連絡を開始した。


「編入生を紹介する」

「「「…………え?」」」


 いつものこと、と言えばそれでおしまいなのだが、教官の突然の発言に生徒たちは耳を疑った。

 浄法院は、招魔を呼び出せる、つまり魔力にある程度の耐性がある少年少女を浄魔士として育て上げる――浄魔士の認定試験があるため、そのまま浄魔士になれるわけではないが――施設である。魔力耐性は突然変異ではないので、編入なんてする者など存在しないはずなのだが、教官は確かに編入生と口にした。


「入ってこい」


 教官の一声に教室内の緊張が高まる。その直後、緊張がそのまま驚愕に変わった。見慣れない生徒が並んで教壇の方へと上がった。編入生は二人いた。

 一人は、燐光でも放っているのか、淡く輝いて見えるような薄金色の髪の少女。スラリとした足は眩しくて、男子生徒の大半は目を細めていた。


「「えい」」

「痛ぁ! なにするんだよッ」

「別にー」

「…………なんでも、ない」


 他の男子と同じく目を細めていたレヴァンは、フロルたちに涙目で反抗しながらつま先を抱えるようにしてうずくまった。

 レヴァンが「くそぅ……なんでこんな目に……」と呟きながら目を教壇の方へと移す。そこに立っている少女を再び視界に収める。そこでレヴァンは違和感を感じた。どこかで会ったような気がしたのだ。思い出しそうになかったので、もう一人の方に目をやった。

 今度は男子生徒で、道着のような修行着を身につけていた。

 しかし、レヴァンが注目したのはそこではない。

 柄の悪そうな鋭い目つきとその上にある赤黒い髪。これを見た途端、レヴァンは立ち上がった。それと同時に向こうもレヴァンに気づいたようだった。


「おまえ! なんでこんなとこにッ!」


 指を突きつけるレヴァンを嫌なものでも見るようにして、


「うるせぇよ…………ぐあ!」


 返事を返したところを教官に殴られていた。……グーである。


「自己紹介をしろ、馬鹿者が」


 拳をちらつかせる教官を見たためか、赤髪はしぶしぶと正面を向く。そして、となりの美少女と共に自己紹介を始めた。


「カナン・パルメルです。これからよろしくお願いしますね?」

「……ハンス・パルメルだ」


 二人の簡潔な自己紹介を聞いて、生徒がざわめき始める。

 それに答えようと思ったわけではないだろうが、教官が補足説明を加えた。


「そこの二人は兄妹だ。とある理由によって編入することが決まった」


 そう言って、教官は壇上の二人ををちらりと見た。それを受けてカナンという少女はにっこりと笑う。へー、と聞こえてくる声には単なる納得と、カナンへの興味が同じぐらいの割合含まれていた。

 と、そこで、


「あの二人、もしかして……」

「…………気づい、た?」

「あ、やっぱり? アミナも気づいたんだ」


 隣の席でなにやら二人の会話が始まる。レヴァンにはその会話が、壇上の二人を知っているものに聞こえ、気づけば尋ねていた。


「どういうこと? 何の話?」

「いや、何の話というか……」


 フロルがどう答えようものかと迷うような素振りを示すと、壇上の教官が生徒たちへ向かって再び口を開いた。


「言っておくが、この二人は『一緒に学ぶ仲間』として編入したわけではない」

「お二人はあのパルメル兄妹ですか?」


 教官が意味深な発言をした直後、フロルが割り込んだ。壇上の二人がわずかに目を見開いたのがレヴァンには分かった。


「ほう。さすがだな、アイヤネン」


 そう感嘆と称賛の言葉を漏らした後、教官は生徒全員に向けて答えを明かした。


「知っている者もいるかもしれないが、この二人はすでに浄魔士の資格を持っている。貴様らのモチベーション向上のためにしばらくここに通ってもらうことになった。講義と実習は参加させるが、同じレベルとして考えるなよ」


 教官のその言葉にピタっと生徒たちは動きを止める。「俺たちと同い年だろ?」とつぶやく生徒もいれば、まじまじと観察するものもいた。

 しばらくしてざわめきが収まってきた頃、一人の生徒が質問を発した。


「グループはどうするんですか?」


 そういえば、と気づいたように生徒たちがざわめきを取り戻す。


「パルメルさん、俺らのとこにおいでよ!」

「いや、私たちのとこがいいわ! そうよね、カナンちゃん」

「あ、なにてめ気安げに呼んでんだよ!」

「そんなことアンタに関係ないでしょ」


 すべて声をかけられるのは、少女の方のパルメル。困ったように笑うカナンの隣で、ハンスは冷静に教官の方を見ていた。


「静かにしろ」


 そう一言教官が言うだけで言い合いはなくなる。

 やれやれといった様子で教室中を見渡すと、教官は発表した。


「あー……では、アイヤネンのグループに二人とも入ってもらう」

「「なんでそんな奴と同じチームに……痛ッ!?」」

「うるさい。口答えするな。決定事項だ」


 とっさに文句を言おうとしたレヴァンとハンスを、教官がそれぞれチョークと拳で黙らせた。


「カナン。この馬鹿をしっかり連れてこいよ?」

「はい。師匠」

「……師匠はやめろ。ここは教育機関だ」

「あ、すみません、教官」

「おい、師匠! カナンに言わないでくれ!」


 悲痛に聞こえる声を上げながら、訴えるハンスを鮮やかに黙殺。そのまま視線をポカンとする生徒たちに向け、教官は口を開いた。


「話は終わりだ。今日は午前に合同実習を行う。グループ毎に集合しておけ」


 そういってからいつにも増して早足で出て行く教官を、ハンスはそんな、という目で見送っていた。




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