耳からほどけて
『耳からほどける、秘密のリラクゼーション』
女性向けシチュエーションボイス台本
男性エステティシャン × 女性客
耳つぼマッサージ
想定上演時間:15〜20分(施術音・間を含む)
登場人物:男性エステティシャン1名
本編
(SE:静かなドアの開閉音、落ち着いた店内BGM)
「いらっしゃいませ。
ご来店ありがとうございます。
ご予約のお客様ですね、お待ちしておりました。
本日、担当させて頂きます〇〇です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
……ふふ。
そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。
初めてのお店だと、少し落ち着かないですよね。
担当が男性で、驚かれましたか?
ご安心ください。
お客様に無理をさせる事は、一切ありませんので。
では、こちらのお席へどうぞ。」
(SE:椅子を引く音、着席)
「本日は、耳のリラクゼーションコースで間違いなかったですか?
ありがとうございます。
こちらは耳の外側を中心に、指先でゆっくりとほぐしていくコースです。
耳の周りには細かな筋肉や神経、血管が分布していましてね。
普段あまり意識しない場所だからこそ、優しく触れられる感覚が
新鮮だとおっしゃる方も多いんですよ。
……ちなみに、お客様。
耳のマッサージは初めてですか?
……なるほど。
それでしたら、今日は一つ一つ説明しながら進めてまいりますね。
もし、くすぐったかったり痛みがあったりしましたら、
遠慮なく言ってくださいね。
耳はとても繊細な場所です。
強く刺激すればいいというものではありません。
むしろ……。
優しく、ゆっくり。
丁寧に触れていくことが大切なんです。
……ふふ。
では、リクライニングを少し倒しますね。」
(SE:リクライニングチェアの動作音)
「はい、これぐらいでいかがでしょう。
首は苦しくありませんか?
……はい。
では、目を閉じていただいても構いません。
これからのお時間は、どうぞゆっくりとお過ごしください。」
(SE:手指を温める音、タオルの衣擦れ)
「まずは右耳から失礼いたします。
……少し近づきますね。」
(右耳側から小声で)
「これから耳の外側に触れていきます。
最初は、耳輪と呼ばれる部分です。
耳の一番外側にある、くるんと丸まった縁のことですね。
この部分を、親指と人差し指で軽く挟みながら……。
上から、下へ。
少しずつ、移動していきます。」
(SE:耳を優しく揉む音・20秒)
「いかがですか?力加減は問題なさそうですか?
……はい。では、このまま続けますね。
耳輪は軟骨を皮膚が覆っている部分ですので、
強く引っ張る必要はありません。
指の腹で、ゆっくりと…。
……そうです。
力を抜いて。僕にお任せください。」
(SE:ゆっくりとしたマッサージ音・25秒)
「……ふふ。少しくすぐったかったですか?
申し訳ありません。
今、ほんの少し肩が動きましたので。
耳は、普段あまり人に触れられない場所ですからね。
最初は、敏感に感じられる方もいらっしゃいます。
ですが、少しずつ慣れてくると……。
こうした軽い刺激を、心地よく感じることもあるんですよ。
……いかがです?
先ほどより、落ち着いてきましたか?
それはよかった。
では、もう少しだけ。
ゆっくり、ほぐしていきますね。」
「次は、耳の上の内側にある、少しくぼんだ部分に移ります。
こちらは、神門と呼ばれる場所です。
神門は、心を落ち着ける目的で使われることがあります。
当店では、あくまでリラクゼーションの一環として、優しく刺激していきます。
では……。
こちらに、そっと指を当てますね。」
(SE:軽い圧迫音・10秒)
「……いち、に、さん…。
はい、離します。
もう一度。ゆっくり……。
いち、に、さん。
痛みはありませんか?
ここは、力を入れすぎないことが大切です。
ご自分でされる際も
強く押して痛みを我慢するよりも、心地よいと感じられる程度で十分です。
ほら、触れてみてください…。そう、そこです。
ふふっ…。
きちんと力を抜いてくださっていますね。
そうやって、素直に身を委ねていただけると……。
とてもやりやすくて助かります。」
(SE:軽いマッサージ音・20秒)
「……おや。少し眠たくなってきましたか?
ふふ。もちろん、眠ってしまっても構いませんよ。
僕の説明も、無理に聞いていただく必要はありません。
ただ……。もし、まだ起きていらっしゃるのでしたら。
もう少しだけ、お付き合いくださいね。」
(SE:指先で耳の内側を優しくなでる音)
「続いては、耳甲介という部分です。
耳の穴の周りにある、お椀のようなくぼみです。
ここには、少し興味深い特徴があるんですよ。
お客様は、迷走神経という名前を聞いたことがありますか?。
迷走神経は、自律神経に関わる神経の一つで、
心拍や消化など、さまざまな体の働きに関係しています。
実は、耳の一部にも、この迷走神経の枝が分布しているんですよ。
まぁ今回は、難しい話はこのぐらいにしておいて、
今は、心地よさを大切にしていただければと思います。
それでは、耳の穴には入らないように、周囲を優しくなぞっていきますね。」
(SE:耳の内側をゆっくりなでる音・30秒)
「……いかがですか?
先ほどの耳輪とは、また違った感覚でしょう?
……ふふ。そうですね。
少しくすぐったいかもしれません。
このあたりは、刺激を繊細に感じる方もいらっしゃいますので。
強く押さずに……。指先を、ゆっくり滑らせて。
……そう。
ほんの少しだけ。
……もう一度。……ゆっくり。
……優しく。……はい。」
(SE:小さなマッサージ音・20秒)
「……お客様。
今、少し息を止めていらっしゃいませんでしたか?
ふふ。
そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。
深く息を吸って……ゆっくり吐いて。
そうです。
今度は、僕の声に合わせてみましょうか。
吸って……。
……吐いて。
もう一度。
吸って……。
……ゆっくり……吐いて。
……はい。とてもいいですね。
先ほどより、肩の力が抜けてきたように見えます。
……このまま、もう少し続けましょう。」
(SE:マッサージ音・30秒)
「それでは、耳たぶに移ります。
耳垂とも呼ばれます。
軟骨がなく、柔らかな脂肪組織などでできている部分ですね。
ここは、指の腹で軽く挟んで……。
小さな円を描くようにほぐしていきます。
……失礼いたします。」
(SE:耳たぶを優しく揉む音・20秒)
「……くるくる。……ゆっくり。
……くるくる。
……ふふ。
どうされました?
……ああ。
思っていたより、くすぐったかったんですね。
少し触れ方を変えましょうか。
……こちらは、いかがでしょう。
耳たぶは、ほんの少し力加減を変えるだけでも、感じ方が変わりますからね。
お客様にちょうどいい加減を、探していきましょう。」
(SE:柔らかいマッサージ音・20秒)
「ちなみに、耳たぶには、眼点と呼ばれるツボがあります。
目に関係する場所として扱われているんです。
お仕事では、パソコンやスマートフォンをよく使われますか?
……なるほど。
それは、目を使う機会が多そうですね。
目を閉じて、こうして静かに過ごす時間そのものが、よい休憩になるかもしれません。
……ですから。
今だけは、画面も、お仕事も、忘れてください。
何も見なくていいんです。……僕の声だけ、聞いていてくださいね。」
(SE:マッサージ音・25秒)
「……おや。今、少し笑われました?
ふふ。
お客様が、こうして安心した表情を見せてくださると。
僕としても、嬉しいんですよ。
……それでは、もう少し。
耳たぶを、そっと包むように……。
……はい。
……気持ちよくなってきましたか?
……それは何よりです。」
(SE:施術者が反対側に移動する衣擦れ)
「右耳は、ひとまずここまでです。
次は、左耳を施術していきますね。
……失礼いたします。」
(左耳側から囁く)
「今度はこちらの耳を、ゆっくりほぐしていきましょう。」
(SE:耳輪を揉む音・25秒)
男性「右耳と同じく耳輪を、まずは、外側から。
……ゆっくり。
……優しく。
……そうです。
お客様、肩こりが気になるとおっしゃっていましたよね。
耳つぼの中には、肩や首に対応するとされるツボもあります。
今日は、その周辺を軽くほぐしていきますね。」
(SE:耳の内側を指の腹で揉む音・20秒)
「こちらの耳の方が少し…コリコリしてますね?
ふふ、そうですね。
耳の軟骨は、場所によって硬さが違います。
ですから、硬いところがあるからといって、体のどこかが悪いとは限りません。
無理に柔らかくしようとせず、自然な力加減で触れていきます。
……はい。
このまま。
……ゆっくり。
……ゆっくり。
……ふふ。
もう、だいぶ慣れてきましたね。
最初はあんなに緊張されていたのに。
今では、すっかり任せていただいて。
……ありがとうございます。
いえ、信頼していただけるのは嬉しいことですから。」
(SE:マッサージ音・30秒)
「では、左耳の神門にも触れていきますね。
先ほど、右耳でもご説明したツボです。
そう。耳の上部にある、くぼみのあたりですね。
……こちらです。軽く触れますよ。」
(SE:指で軽く押す音)
男性「……いち。……に。……さん。
……はい、離します。
……ふふ。
……心地よいですか?
それなら、もう一度。
……いち。……に。……さん。
……はい。いいですね。」
(SE:マッサージ音・20秒)
男性「……こうして、静かな場所で瞼を閉じていると。
普段より、声が近く感じられませんか?
……ふふ。
そうですよね。
今はお客様のお耳のすぐそばにおりますから。
少し声を落としたほうが、聞き取りやすいでしょう?」
(SE:ゆっくりしたマッサージ音・30秒)
男性「……気持ちいいですか?
……はい。よかった。
無理にお返事いただかなくても、大丈夫ですよ。
声を出すのも面倒なくらい、ゆっくりしていただいて構いません。
……そう。そのまま。
……ゆっくり。
……力を抜いて。
……はい。お上手です。」
「続いて、耳の後ろに移ります。
ここには翳風と呼ばれる、経穴があります。
耳たぶの後ろ、顎の骨と耳の後ろの骨の間にあるくぼみ付近ですね。
耳つぼというよりは、一般的な鍼灸でも使われるツボの一つです。
ただ、首や耳の周辺は繊細ですので、
軽く触れて、周囲を優しくなでる程度にしておきますね。」
(SE:耳の後ろをなでる音・20秒)
「……すーっと。
……上から、下へ。……ゆっくり。
……もう一度。
……すーっと。……はい。
このあたり、いかがでしょう?
……ふふ。
気持ちいいですか?
よかった。こちら側は特にお好みのようですね。
……ああ、申し訳ありません。
少し、くすぐったかったですか?ふふ」
(SE:マッサージ音・25秒)
男性「……それにしても。
お客様は、普段から随分と頑張っていらっしゃるんでしょうね。
……でも。
頑張る事と、休むことは、どちらも大切ですから。
ここでは、誰かに気を遣う必要もありません。
無理に笑う必要もありません。
今はただ、ご自身が心地よいと思うことを、大切にしてくださいね。
……ふふ。
余計なお話をしてしましましたね。
では、お詫びに……。もう少し丁寧に、ほぐしていきますね。」
(SE:耳の後ろから耳たぶへ、ゆっくりしたマッサージ音・30秒)
「それでは、仕上げに入っていきます。
最後は、両耳を手のひらで包むようにして、ゆっくり温めますね。
……少しだけ、手を近づけます。」
(SE:手のひらで両耳を優しく包む音)
「……はい。
いかがでしょう。
……温かいですか?
……よかった。
このまま、しばらく。
何もせずに、静かにしていましょう。」
(SE:静かな環境音・30秒)
男性「……ゆっくり。
……息を吸って……吐いて。
……そうです。
もう一度。
……吸って……吐いて。
……はい。とてもいいですね。」
(SE:手のひらをゆっくり離す音)
男性「……さて。
最後に、耳全体を軽くほぐします。
外側から、内側へ。
上から、下へ。
今日触れてきたところを、もう一度、確かめるように……。
……ゆっくり。……丁寧に。」
(SE:両耳のマッサージ音・40秒)
男性「……お客様。
最初と比べて、ずいぶん
気持ちよさそうなお顔をされていますね。
……あ。
申し訳ありません。
つい、口に出してしまいました。
でも……。
そういう表情を見られると、
きちんとリラックスしていただけたんだな、と。
嬉しくなります。ふふ」
(SE:ゆっくりと手を離す音)
「……はい。
お疲れさまでございました。
本日の施術は、これで終了となります。
……おや。
まだ、目を開けたくないですか?
ふふ。
構いませんよ。
急いで起き上がる必要はありませんから。
もう少し、そのままでいてください。」
(5秒ほど間)
男性「……いかがでしたか?
初めての耳マッサージ。
……そうですか。
それはよかった。
……僕としても、とても施術しやすかったです。」
(少し間)
「疲れが溜まったときは、どうぞまた、いらしてください。
そのときも……。僕が、丁寧にお客様を気持ちよくさせていただきます。」
(SE:タオルを整える音)
男性「……ふふ。
そんなに名残惜しそうにされると。
僕まで、もう少し施術していたくなってしまいますね。
……なんて。失礼いたしました。
では、ゆっくりと目を開けてください。
……はい。
お疲れ様でした。」
(少し間)
「……お客様。最後に、一つだけ。
今日、こうしてご自身のために時間を作られたこと。
とても素敵だと思います。
誰かのために頑張ることも大切ですが……。
ご自身を労わることも、どうか忘れないでください。
……またお疲れのときは。
いつでも、お待ちしております。
本日は、ありがとうございました。」
― END ―




