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トーノブユース  作者: ふなつさん


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20/45

第五話③

文化祭一日目の終了が近づく頃。

 校内放送が流れた。

『まもなく本日の文化祭は終了となります』

 その声を、生徒会室で聞いていた。

 机の上には資料とパンフレット。

 今日は一日、ずっと人が出入りしていたけど——

 今は少し落ち着いている。

 副会長が時計を見た。

「そろそろ閉会だな」

 会長がうなずく。

「今日は大きなトラブルもなかった」

 顧問の先生も言う。

「いい文化祭一日目だったな」

 私も少しほっとする。

 準備してきた時間を思うと、ちゃんと回っているのがうれしい。

 綾香が隣で小さく言った。

「疲れたー」

「だよね」

「でも楽しかった」

「それは分かる」

 私も笑う。

 文化祭って忙しいけど、なんだかんだ楽しい。

 

 そのとき、放送が流れる。

『これで文化祭一日目を終了します』

『来場者の皆様はお気をつけてお帰りください』

 校内が少しずつ静かになっていく。

 会長が立ち上がった。

「よし」

「片付け確認行くぞ」

「はい」

 生徒会のメンバーが立ち上がる。

 

 廊下に出ると、さっきまでの賑やかさが少し落ち着いていた。

 模擬店は片付けを始めているし、教室からは机を動かす音が聞こえる。

 文化祭一日目の終わり。

 

 私と綾香は校庭を少し歩く。

 ステージが見えた。

 明日使うステージ。

 今はまだ静かだ。

 機材は黒いシートで覆われている。

「ここでやるんだよね」

 綾香が言う。

「メモリコ」

「うん」

 私はステージを見る。

 明日。

 ここに。

 メモリア・コードが立つ。

「明日香」

「うん?」

「実感ある?」

「……ちょっとだけ」

 本当に来るのかな、っていう感じもまだある。

 でも。

 明日はもう文化祭二日目。

 ライブの日。

 綾香が少し笑った。

「サウズの生歌」

「うん」

「明日香絶対泣くでしょ」

「泣かないって」

「絶対泣く」

 私は苦笑した。

「そこまでじゃない」

 そのとき。

 後ろから声がした。

「坂城、近藤」

 振り向く。

 会長だった。

「明日の確認するぞ」

「はい」

 私たちはステージから目を離す。

 明日のことは、明日。

 今はまだ。

 文化祭一日目の終わり。

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