第五話③
文化祭一日目の終了が近づく頃。
校内放送が流れた。
『まもなく本日の文化祭は終了となります』
その声を、生徒会室で聞いていた。
机の上には資料とパンフレット。
今日は一日、ずっと人が出入りしていたけど——
今は少し落ち着いている。
副会長が時計を見た。
「そろそろ閉会だな」
会長がうなずく。
「今日は大きなトラブルもなかった」
顧問の先生も言う。
「いい文化祭一日目だったな」
私も少しほっとする。
準備してきた時間を思うと、ちゃんと回っているのがうれしい。
綾香が隣で小さく言った。
「疲れたー」
「だよね」
「でも楽しかった」
「それは分かる」
私も笑う。
文化祭って忙しいけど、なんだかんだ楽しい。
そのとき、放送が流れる。
『これで文化祭一日目を終了します』
『来場者の皆様はお気をつけてお帰りください』
校内が少しずつ静かになっていく。
会長が立ち上がった。
「よし」
「片付け確認行くぞ」
「はい」
生徒会のメンバーが立ち上がる。
廊下に出ると、さっきまでの賑やかさが少し落ち着いていた。
模擬店は片付けを始めているし、教室からは机を動かす音が聞こえる。
文化祭一日目の終わり。
私と綾香は校庭を少し歩く。
ステージが見えた。
明日使うステージ。
今はまだ静かだ。
機材は黒いシートで覆われている。
「ここでやるんだよね」
綾香が言う。
「メモリコ」
「うん」
私はステージを見る。
明日。
ここに。
メモリア・コードが立つ。
「明日香」
「うん?」
「実感ある?」
「……ちょっとだけ」
本当に来るのかな、っていう感じもまだある。
でも。
明日はもう文化祭二日目。
ライブの日。
綾香が少し笑った。
「サウズの生歌」
「うん」
「明日香絶対泣くでしょ」
「泣かないって」
「絶対泣く」
私は苦笑した。
「そこまでじゃない」
そのとき。
後ろから声がした。
「坂城、近藤」
振り向く。
会長だった。
「明日の確認するぞ」
「はい」
私たちはステージから目を離す。
明日のことは、明日。
今はまだ。
文化祭一日目の終わり。




