第2話 運命のタイマン──ここで会ったが100日目
※和風×現代ファンタジーです。
「決着をつけようぜ」
その声を聞いた瞬間、翔は面倒な一日になると確信した。
その声に、翔は振り向きもしなかった。
翔と同じ高校の一年生、大森鉄喜。
高校生離れした体格と怪力で街の不良達にも恐れられる大森鉄工所の跡取り息子だ。
入学式の日に喧嘩を売り、返り討ち。
それ以来、復讐の機会を狙い続けていた。
今日でちょうど──百日目。
鉄喜が、復讐だけを考えて生きてきた日数だ。
「お前か……」
鉄喜はそのぶっとい腕を回しながら、翔に歩み寄り、翔を見下ろした。
「決着なんてもうついてるだろ、でくのぼう」
翔は目線も合わせず手を振り、鉄喜の横を通り過ぎようとした。
「なんだと、赤毛のチビ猿め! ありゃお前の不意打ちだからノーカウントだ!」
翔は鼻で笑った。
「言い訳だな」
そう言ってまた通り過ぎようとする翔に向かって、鉄喜は拳を振り被った──
「じゃあ、これもアリだろうが! チビ猿め!」
異常な反射神経と身体能力を持つ翔は、不意打ちで振り下ろされた拳をひらりと交わすと、鉄喜の腕を掴み、そのまま地面に投げつけた──
「いってえな! このやろう!」
「もういいだろ」
「まだ終わってねえ!」
めんどくさそうに翔が拳を構える。
「しつこいんだよ、でくのぼう。入学式の時から思ってたけど、なんでオレなんだよ」
鉄喜はその巨体を起こし、再び翔に詰め寄った。
「オレは、お前と友達になりたいんだよ! チビ猿が!!」
そう叫ぶと鉄喜は翔めがけて突進した──
「え? 友…だち…?」
翔は跳び箱を飛ぶように鉄喜の上を飛び越え、振り向きざまにお尻に蹴りをお見舞いした。
「くっ、ちょこまかと!」
翔はキョトンとして鉄喜の必死の形相を見つめた。
「お前、友達に…なりたいのに──」
翔の反応に構わず鉄喜は大きな拳を再び振り下ろした。
翔はその拳をギリギリで交わすと、今度は鉄喜の顔面に跳び膝蹴りを叩き込んだ──
「──なんで?」
倒れると思った鉄喜は、思いの外打たれ強く、その場で踏ん張り、翔の足を掴んだ。
「なっ」
「なんでじゃねえ。友達になりたいから決着つけるんだろうが!」
鉄喜はそのまま勢いよく翔を地面に叩きつけた──
「グっ、この野郎…」
舞い上がった砂埃の中、すぐに立ち上がった翔だったが、全身が痺れていた。
「こいよ、チビ! 決着だ」
腰を落とし大きな腕を広げて構えた鉄喜に距離を縮める翔。
次が最後の一撃になる。
そう感じた翔だったが、突然鉄喜は怯えた表情で後退りし始めた。
「あ……あ……あれ……」
わずかに空に残る陽の光に照らされた影が、ゆっくりと形を変えていく。
翔が振り返ったその瞬間、
この町は、人の知る世界ではなくなった。
次回から一気に動き出します!
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