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第0話 葦原の歪み
──葦原の歪み。
この国は、神々の国。
だが同時に、人の国でもある。
神は人を守るモノ。
人は神を敬うモノ。
そう信じられてきた。
それは、はるか昔に神と人が結んだ“契約”だった。
守る代わりに、敬え。
敬う代わりに、守れ。
だが、人が増え、豊かになり、選ぶことを覚えたとき。
──人々は神の存在を忘れ始めた。
神々は気づいた。
──調和が、崩れ始めている。
そんな中、神々の存在を忘れ、敬うことを忘れた人間に、一部の神々は怒った。
怒った神々は、神域を出て人間に災いを為し、その存在を誇示しようとした。
その怒れる神を、悪鬼と呼んだ。
神は、その歪みを“正すため”、その器足り得る人に役目を与えた。
その役目を請け負ったものは『さには』と呼ばれた。
神託者サニワは、神の声を聞き、その意思を人の世に伝える役目を負った者たち。
混沌へ向かう世界。
神々は今何を思う。
悪鬼は何を企む。
人間はどこへ向かう。
サニワに与えられしその能力、“神技”。
その刃はどこに向かう。
葦原中国は、静かに軋み始めている。
神と人、その狭間で。




