第1章・「彼女が死んだ」
SNSを騒がせる人気アーティスト『月城琴音』別名歌姫と呼ばれる彼女と彼女に憧れ追い続ける少年『七瀬渚』
同い年でありながら自分の彼女への差を感じ劣等感を日々抱いていた。そんなある日一件のネットニュースが流れる。それは彼女の病気による引退だった。
彼女と主人公、そして業界の闇に迫る物語。
息を呑んだ。
頭の中が真っ白になり、何故か悲しみよりも先に驚きが溢れ出た。
このSNS社会において「有名人」と呼ばれる存在は多数存在する。
その彼らは些細な事で多くの人間に笑顔を与え
些細な事で多くの人間に悲しみを与える事が出来てしまう。
それはYouTuberであろうと役者やアイドル、アーティストであろうと たとえ、
「歌姫」と呼ばれる存在であろうと。
『月城琴音』15歳にしてアーティストとして売れテレビにも多数出演していた。
今や彼女の事を知らない人はほとんどいないだろうと思える程に
彼女の曲は、社会現象と言っても良いほどの話題を集め、SNSでは常にトレンド入りを続けている。
そんな彼女に多くの人たちが魅了されていた。
もちろん、僕もだった。
「彼女が死んだ」
とある日、僕はいつも通り自室でアコースティックギターを両手に持ち、手慣れた手つきで各部に指を当てた。
小さく息を吐く様に呼吸をし、弦を弾く。
左手で弦を押さえ、右手に持った黒色のピックで軽やかに弦を打つ。
何度も弾いた。
何度も練習して弾き続けた彼女の曲が脳裏に焼き付いている。
もう何時間が経過したのだろうか
気がつけば5時間ほどが経過していた。
ギターを弾く手を止め、右手でギターを持ちゆっくりと床に置き、背にあるベッドに寄りかかった。
感じる達成感、それと劣等感。
彼女はまさしく天才だ。
僕はどんなに練習しても彼女には届かない。
曲は全て弾けても音圧とかが全く違う、完全とか全く言えない。
同い年にしてこんなに違うのかと常々思わされる。
ため息と同時に横になった。
「ピコンッ」
頭元から一件の通知音が鳴った。
何かと思い置いてあったスマホに手を伸ばす。
真っ暗な部屋微かに見通すスマホの明るい光
「ま、眩しい、、、。」
明るさに一瞬両目を閉じる
ゆっくりと目を開いた。
一件のネットニュースだった。
第二章・「出会い」