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『 第39話 レオンという名のログ』

契約統合まで残り70時間。

逃亡も戦闘も封じられ、完全に追い詰められたレオン。

しかし、仲間たちと共に最後の希望を探る中で、彼は重要なことに気づき始める。

運命に選ばれるのではなく、自分で選ぶということの意味を。

そして、静かに見守り続けた一人の想いが、すべてを変える。

王都の中央広場に設けられた臨時会議室。

魔法で防音処理された空間に、レオン、三人のヒロイン、そしてリゼが集まっていた。

水晶に表示されるカウントダウンは、容赦なく時を刻んでいる。


【契約統合まで残り時間:69時間23分】


「具体的な対策案は…やっぱり見つからんのか」


レオンが重い溜息を吐いた。

この数時間、五人で知恵を絞ったが、有効な解決策は出てこない。


セレスティアが資料から顔を上げた。


「契約法の条文を全て確認しましたが、一度成立した契約を無効化する方法は…」


「私も商法の観点から調べましたが、同様です」


リリアンも首を振る。ミーナは魔法の本を抱えて困り顔だった。


「魔法的な解除方法も、見つかりません…」


その時、リゼが手にしていた水晶を見つめながら、小さく呟いた。


「…待ってください。過去ログを詳細解析してみます」


過去ログに隠された真実


リゼの指が水晶の表面を滑ると、膨大な量のログデータが高速で流れ始めた。


「レオン様の過去の行動記録を全て解析中…あった」


水晶の画面に、一つの映像が浮かび上がった。

それは数週間前、レオンが崖から落ちそうになった子供を助けるシーンだった。


【契約候補検出:村の少女】

【好意レベル:MAX】

【婚約申請:発動寸前】

【結果:契約不成立】


「これや!この時、なんで契約が成立せえへんかったんや?」


レオンが身を乗り出すと、リゼが詳細ログを表示した。


【不成立理由:自己犠牲行為による契約拒絶】

【詳細:当事者が生命の危険を冒してまで他者を救った場合、契約システムは一時的に無効化される】


「自己犠牲…」


セレスティアが呟く。


「つまり、レオン様が命がけで誰かを助ける時だけ、契約が発動しないということですの?」


「そういうことになります。システムは『純粋な善意』と『恋愛感情の利用』を区別しているようです」


リゼの説明に、レオンは拳を握った。


「なるほど…ほな、俺が命を張れば契約は無効になるんか」


「レオン、危険よ」


リリアンが心配そうに言ったが、レオンの目には決意が宿っていた。


「でもな、これしか方法がないんや。俺が今まで受け身でおったから、こんなことになった」


ミーナが不安そうに袖を引っ張る。


「でも、どうやって…」


レオンは立ち上がった。


「婚約候補者全員と、一対一で向き合う。そして俺の本当の気持ちを伝えるんや」


決意の対話会


翌日、王都の大聖堂に特設会場が設けられた。

婚約候補者として登録された人々が、次々と集まってくる。

牛飼い娘のマリー、食堂のおばちゃん、清掃員のおじさん、犬の飼い主まで、実に様々な人々だった。


「皆さん、集まってくれてありがとう」


レオンが壇上に立つと、会場がざわめいた。

ヒロインたちは最前列に座り、複雑な表情で見守っている。


「俺は今まで、皆さんの好意を受け取るだけで、自分の気持ちをちゃんと伝えてこなかった。それは俺の間違いや」


レオンの声が会場に響く。


「だから今日は、一人一人と向き合って、俺の本当の気持ちを話したい」


最初に呼ばれたのは、牛飼い娘のマリーだった。緊張で顔を赤らめながら、彼女は壇上に上がってくる。


「マリーちゃん、俺はあの時、君の牛が可愛くて笑ったんや。でも、それは恋愛感情やない」


レオンの真剣な表情に、マリーは目を見開いた。


「君はとても優しくて、素敵な人や。でも俺は、君を恋人として愛することはできん」


マリーの目に涙が浮かんだが、彼女は小さく頷いた。


「わかりました…ありがとうございます、はっきり言ってくれて」


【契約ログ更新:牛飼い娘マリー → 申請取り下げ】


水晶に表示されたログを見て、会場がどよめいた。

レオンの正直な気持ちが、契約を無効化したのだ。


続いて食堂のおばちゃんが呼ばれた。


「おばちゃん、いつも美味しいご飯をありがとう。でも俺にとって、おばちゃんは大切な家族みたいな存在や」


「あら、そうだったのね。私もね、息子みたいに思ってたのよ」


おばちゃんが笑うと、彼女の契約ログも取り下げられた。


一人、また一人と、レオンは真摯に向き合っていく。

清掃員のおじさん、兵士たち、市民たち。全員に対して、感謝の気持ちと、しかし恋愛感情ではないことを正直に伝えた。


ヒロインたちは、そんなレオンの姿を見つめながら、複雑な気持ちを抱いていた。


「レオン様…とても真剣ですわね」


セレスティアが小さく呟く。


「ああ、あんなに真剣に向き合ってくれるなんて…」


リリアンも感動していた。


「レオン様、かっこいいです」


ミーナが目を輝かせている。


リゼの告白


対話会が終わりに近づいた頃、水晶のログを確認していたリゼが、奇妙なことに気づいた。


【契約申請状況:47件中46件が取り下げ済み】

【残り:1件】

【申請者:不明】


「おかしい…」


リゼが眉をひそめる。


「申請者が一人だけ、ログに表示されていません」


レオンが振り返る。


「誰や?まだ話してない人がおるんか?」


その時、リゼの水晶が激しく光り始めた。システムが矛盾を検出したのだ。


【エラー:申請者データ破損】

【原因:申請拒否による論理矛盾】

【詳細調査中…】


突然、ログの詳細が表示された。


【申請者:リゼ・ヴァルシュタイン】

【申請状況:意図的拒否】

【拒否理由:対象者の自由意志を尊重】


会場に静寂が落ちた。レオンがリゼを見つめる。


「リゼちゃん…」


リゼは水晶を手から落とし、震え声で告白した。


「私は…申請しませんでした」


「なんで?」


「レオンは…誰かに選ばれる器じゃない」


彼女の目に涙が浮かんだ。


「自分の意志で、誰かを選ぶ人だから」


その言葉に、レオンの胸が熱くなった。


「私が監査官になったのも、レオンの契約を守るためでした。でも、守るべきはレオンの契約じゃなくて…レオンの自由だったんです」


リゼの告白に、システムが大きく揺らいだ。


【論理矛盾検出:契約システム根幹エラー】

【原因:愛情による申請拒否】

【システム安定性:危険域】


システムクラッシュ


水晶から異音が響き始めた。UIが激しく点滅し、文字が乱れる。


```

契約成立…ERROR…拒否…CONFLICT…

愛情###自由意志###統合不可能###

```


レオンは立ち上がり、崩壊していくシステムを見つめた。


「俺は…俺の意志で選ぶ」


その声は、会場全体に響いた。


「俺を選んでくれた人たちには感謝してる。でも、俺の人生は俺が決める」


【システム音声混乱中】

『契約…統合…不可能…当事者…意志…強制…できません…』


レオンはヒロインたちを見回した。


「セレスティア、リリアン、ミーナ、そしてリゼ」


四人が息を呑む。


「俺はまだ、誰を選ぶかわからん。でも、俺が選ぶ時は、必ず俺の意志で選ぶ」


その宣言と共に、システムが完全にクラッシュした。


【システム強制終了】

【契約統合:中止】

【全契約ログ:削除】


静寂の中、レオンが微笑んだ。


「これで自由や」


新しいスタートライン


システムが停止した後、ヒロインたちがレオンの前に立った。


「レオン様」


セレスティアが上品に頭を下げる。


「わたくしは、もう一度レオン様に好きになってもらえるよう、頑張りますわ」


「私も」


リリアンも珍しく素直に言った。


「今度は押し付けじゃなくて、ちゃんと恋をしてみせるわ」


「私も頑張ります!」


ミーナが元気よく手を挙げる。


最後にリゼが、涙を拭きながら言った。


「私も…もう監査官としてじゃなく、一人の女性として」


レオンは四人を見回して、心から笑った。


「ありがとう、みんな。今度は対等や」


王都に夕日が沈む中、五人は新しいスタートラインに立っていた。

契約に縛られない、本当の恋愛が始まろうとしている。


破壊された水晶の欠片が、夕日を反射してキラキラと光っていた。


ざまぁ格言:

「運命のログに、俺が署名した覚えはない。」

ついに契約システムを破壊しました!リゼちゃんの告白シーンはどうでしたか?

静かだけど、一番重要な愛情表現やったと思います。


「選ばれる」から「選ぶ」への転換、これがレオンの成長の集大成ですね。

システムに支配された恋愛から、自由意志による恋愛への変化。

ハーレム系の根本的な問題に一石を投じられたかな?


ヒロインたちも「もう一度好きになってもらう」宣言で、健全な恋愛関係のスタートラインに立てました。

これからは本当の恋愛模様が描けそうです。


次回からは、どんな展開にしようかな?自由になったレオンと、新しい関係を築く四人の物語、楽しみにしててください!


読んでくれて、ありがとうございます!

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