第20話『最終嫁選抜戦、開幕。俺は逃げる準備を始めた』
魂共鳴で“惚れた記憶”が流れ込んできた翌朝。
俺の脳内にはまだ、王女の誇り、令嬢の嫉妬、掃除魔法の信仰が残響してる。
全部、俺に向いた感情やった。
それが怖い。
その時、ギルドから制度更新通知が届いた。
【公式通知:婚姻契約に関する最終制限】
【婚約者の上限:1名】
【選抜戦開始日時:本日午前10時】
【拒否不可/契約者間合意必須】
俺「……え、嫁、1人制限?何やこの鬼仕様」
リゼ:「はい。“魂契約の暴走”を受けての法的安定化処置だそうです」
俺「落ち着いて解決するって言うたやんギルド……なんで選抜戦になってんねん」
王城広場では、すでに選抜戦準備が始まっていた。
魔法演舞ステージ、契約ログ公開演台、好感度投影スクリプト。
舞台セットがほぼ婚姻式場+RPGバトル会場になってる。
セレスティア:王家式“魂律婚約魔法”の演舞構え
リリアン:外交式“逆ざまぁ契約演舞”で婚約誘導
ミーナ:掃除魔法で聖域を整え、神域信仰バフを稼ぐ
しかも魔法大学から“婚活セミナー教授”が実況に来てた。
「婚姻契約とは、魂と制度の共鳴です。本日は至高の演舞をお楽しみください」
「推しの魔法が心に刺さった方は、感情波を送ってください。契約ログに反映されます」
俺(もう制度バグりすぎて、世界観の保存効いてないやん)
観客席には、領民・貴族・魔法学徒・神域信者まで集まってる。
みんな“誰が嫁になるか”を見届ける気満々。
俺の人生、公開処刑みたいになってきた。
主人公=俺は、ひとまず逃げる準備を始めた。
地下図書館から領外の転移門、さらには辺境の“契約空白地”までルート選定。
逃亡用Excel、起動。
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◆逃亡計画シート001:婚約戦線回避ルート
[A列] 通過地点:神域→東領→地下図書館→魔力遮断エリア
[B列] 懸念要素:契約波追尾率→78%、好感度リンク→85%
[C列] リスク予測:ヒロイン出現率→99.2%、神域自動帰還命令→保留中
[D列] 感情干渉ログ:セレスティア→誇り波形、リリアン→嫉妬曲線、ミーナ→信仰バリア
[E列] 魔力波形:逃亡ルートにて折れ曲がり発生/感情波によるグラフ崩壊中
[F列] 神域契約:逃亡ルートに“忠誠干渉フィールド”を自動展開中`
俺「よし、まだ逃げ切れる……って、なんやこれ。波形がぐにゃぐにゃに折れ曲がってるやん。恋愛バフで心電図バグったみたいな形しとる」
Excel通知:【逃亡は領地契約違反です/魂バリアによりマクロ起動停止】
魂通知:【感情ログが逃亡ルートに干渉しました/出口:封鎖済み】
神様:「この波形、詰みやな。感情が折れ曲がってる。将棋で言うたら“二手詰め”や」
騎士団長:「領地、すでに婚約魔力で囲まれております。出口ありません」
リゼ:「魔法式婚姻選抜戦、本日10時開始です。推しを選んでいただく儀式へ」
俺「昨日まで魂共鳴で尊死しかけてたのに、今日は婚約戦線って…詰みの連続コンボやん」
俺「もう完全に詰みエラーやん……誰か、初期化魔法持ってきてや」
ざまぁ格言:
「逃げる者にも契約は届く。魂が選ばれた時、Excelすら降伏する」
お付き合いいただき、ありがとうございました。
これにて、第一部「ラブコメ編」は完結です。
そして、ここからが第二部「戦雲編」の開幕となります。
主人公が持つ「ゲーム脳」と「歴史知識」。
そのスキルが、本当の意味で牙を剥くのは、ここからです。
絶望的な戦力差、機能不全の指揮系統、そして見えない敵の本当の狙い。
炎上したプロジェクトを立て直すかのように、社畜軍師の静かな戦いが始まります。




