第13話「ギルドが嫁一人まで規約を出してきた」
王都ギルド本部──
素材売却の報告に来ただけだったのに、受付嬢が妙に緊張していた。
「レオン様ですね。こちら、ギルドからの通達です」
渡されたのは、分厚い書類の束。表紙には、でかでかとこう書かれていた。
──『婚姻は一人まで』『婚約はギルド承認制』『魅了スキルは報告義務あり』
「……は?」
「ギルド新規約です。あなたの周囲にヒロインが多すぎるため、恋愛制限を設けます」
「Excelで恋愛管理しろってか?」
「規約ですので」
「魅了スキルは自然発生型だぞ。俺、被害者だぞ?」
リゼが契約書を確認していた。
眼鏡の奥の瞳が、冷静に条文を読み解く。
「この規約、法的拘束力ゼロです。ギルドの内部通達にすぎません」
「つまり、ざまぁの予感ってことだな」
そこへ、ヒロインたちが集まってきた。
ミーナが制服の裾を握りながら言った。
「私なんて……生まれてから村の外にも出たことなくて……でも、選ばれたいです」
笑うと、田舎の小川みたいに穏やかだった。
魅了スキル、微妙に効いてる(14回目)。
リリアンが、静かに言った。
「婚約破棄された私が、ようやく心を開いたのに……また制度に邪魔されるんですか?」
「俺は、契約じゃなくて感情で選ぶつもりだよ」
魅了スキル、効きすぎてる(15回目)。
セレスティア王女が、ギルド幹部を睨んだ。
「ギルドが婚姻に口出す? 王国法に違反してますね」
「レオン様は王女枠です。ギルドの規約は適用外です」
「……俺、王女枠とかいう人生初のVIP待遇中」
神様まで現れた。
「恋愛は神域の自由だ。ギルドが口出すな」
「神様が言うなら、もう終わりだな」
俺は書類を破り捨てた。
「嫁一人? 王女枠、契約枠、感情枠、神域枠、全部あるぞ──ざまぁ。」
幹部たちの顔が引きつっていた。
ざまぁの醍醐味はこの瞬間だ。
リゼが静かに言った。
「契約上、ギルドは恋愛に干渉できません。これ以上の通達は、法的に無効です」
「じゃあ、俺の魅了スキルは自由ってことだな」
「……ええ。ただし、使用者が自覚していれば、ですが」
俺は笑った。
「俺、被害者だからな。魅了スキルは勝手に効く。俺はただ、最短で気持ちよく勝ってるだけだ」
ヒロインたちがそれぞれの距離で俺を見ていた。
ミーナは頬を染め、リリアンは視線を逸らし、セレスティアは静かに微笑み、神様はなぜか拍手していた。
魅了スキル、効きすぎてる(16回目)。
今日のざまぁ格言:
『恋愛は自由。契約は武器。ギルドは黙ってろ』




