第6話
「その資料まとめておいて。」
「また?人使い荒くないか?」
「そうかもね。けど、君は昨日、私をサポートするって言ったよね?なら、これくらいは頑張んないと。」
「へーいへい。」
会長と約束をした翌日の放課後、俺は会長と生徒会室に居た。
うちの学校の生徒会は、生徒会長のみを選挙で決め、
それ以外は有志のメンバーで構成されている。
つまり、なろうと思えば誰でもなれるのだ。
よって、俺も昼休みのうちに手続きを済ませ、今では
立派な生徒会役員だ。
「そういえば、会長以外のメンバーはどこに?」
素朴な疑問を尋ねてみた。
「えーっと、自分ひとりで作業した方が早いから、
いつも帰ってもらってる。」
(...まじかこの人)
人を頼れないのは流石にまずいと思い、こんな質問を
してみる。
「人を頼るのが怖いのか?」
受け取り方次第では煽りに聞こえなくもないが、
会長なら大丈夫だろう。
「まあ、うん。」
「そうか...。どうして...って聞き方はよくないか。
えっと...」
「大丈夫、言いたいことも、君の優しさもしっかり
伝わってるよ。」
なんか少し照れくさいが気にしないでおこう。
「私ってさ、『自己犠牲こそが美徳』的なことを
無意識のうちに持っちゃってるの。だから、周りの子が仕事で大変な思いをするくらいなら自分が頑張る方が良いと本気で思っちゃうんだ。」
「それって結局、コミュ障ってこと?」
「うるさいよ。」
会長はちょっとだけ怒っていた。
「まあ、徐々に慣れればいいさ。とりあえず、今は俺がいるから存分にパシってくださいな。」
「そうする。」
会長は少しだけ笑っていた。
(...っ)
「そういえば、会長が笑ってるとこ初めて見たわ。」
「そう?そんなに珍しいものでもないでしょ?
それに、この先何度も見るんだから。」
確かにこれからの1年で何度も見るだろう。
しかし、あれほどまでに追い詰められていた会長が
ようやく笑えたのだ。
俺は胸がじんわり温かくなるのを感じた。
俺は会長のこの表情を忘れたくないと思った。




