第2話
「教室にスマホ忘れるなんて最悪だな。」
俺は気怠げに歩いていた。
夕焼けに染まる校舎には俺以外誰もいなかった。
(こんな時間まで運動部は部活してんのか...)
運動部の声だけがうっすらと聞こえていた。
「えーっと、スマホ、スマホはー、あった!」
スマホを回収した俺はさっさと帰ろうとした。
廊下に出て少し歩くと
コツ、コツ
向こうから誰かが歩いてきていた。
(...誰だ?こんな時間に)
さすがは誰そ彼時といったところだろうか。
すぐ近くに来るまで誰なのか分からなかった。
その誰かは、完璧と言われている我が校の生徒会長、
碧山玲奈だった。
(会長がなぜここに?それにいつもよりも暗い顔を
している気がする)
会長は俺の存在に気づいた様子もなくゆっくりと足を進めていく。
(...何かがおかしい、あんな会長見たことない)
俺は歩みを止めて、考えていた。
(あの表情...どっかで...)
ふと俺はある日の兄の表情を思い出した。
「そうだ!かいちょ...う?」
もう既に玲奈の姿はなかった。
(どこいった?向こうに行ったのは確かだから...)
会長が向かった先にあるのは『屋上』だけ。
(まずい...あの人死ぬつもりだ!)
俺は咄嗟に走り出した。
彼女の表情は...兄の...自殺する前日に見せた
兄の表情によく似ていた。
だから放っておけないと思った。
やっと辿り着いた屋上のドアを開けると
今にも沈みそうな夕日と彼女の背中があった。
夜が夕日と共に彼女を連れて行ってしまう気がした。




