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24話 ヴィーナス様に本物の魔法を見せつけられました

俺は、赤くなった顔を見られないようにそそくさと外に出た。

落ち着け、ヴィーナス様がこっちに来る前まで

平常心にならないと。

心臓の鼓動を落ち着かせる。「ふぅ〜」とゆっくりと深呼吸をしているうちにドアを開ける音が聞こえた。

振り返るとヴィーナス様は白いローブ姿に変わっており、ふわりと揺れる白いローブとヴィーナス様の金色に輝く髪は、女神らしい姿だった。


そんなヴィーナス様が優雅に微笑みながら俺に話しかけてくる。


「お待たせしました。どうですか?こっちの私も美しくて可愛いでしょ?」


その言葉と立ち振る舞いには気品と余裕が感じられる。


しかし、俺は、目を瞑りながら心の中ではほっと胸を下ろしていた。


……よかった教師姿より全然ドキドキしない。


俺は心の中でガッツポーズを決めながらヴィーナス様を満面の笑みで褒め称える。


「ヴィーナス様、やっぱり美の女神ですね。

ドキドキして気絶しちゃいそうです」



「そうですか、やっぱり着替えてきますね。

星くんがおかしくなるまでドキドキさせてあげます」


「ちょ、ちょっと待ってください!」


ヴィーナス様がくるりと踵を返しドアに戻ろうとしていた。俺は、慌ててヴィーナス様を止めに入る。


「本当にそんなことされたら今日が終わっちゃいますよ。さっきの仕返しのつもりでからかっただけなんで早く魔法の特訓しましょ?」


「ふーん、いいですよ。その代わり今回は魔法をかけないので正直に今の私の格好を見てどう思ったか答えてください」


「本当に言ったら魔法の特訓付き合ってくれるんですね?このことでからかったりするのなしですよ、あと本音で言うんで拗ねたりしないでくださいね」


「はい、わかりました。約束しますよ」


もう、なんで言う前からこんなに嬉しそうにしてるんだよこの女神様。

……ここで恥ずかしがったら、「意識し過ぎですよ」とか絶対言われる。

それが分かっているからこそ俺はまっすぐヴィーナス様の目を見つめて言った。


「教師姿よりはドキドキしないですけど……

最初出会った時から綺麗で魅力的だとおもってます。」


なんでこんな告白みたいなことさせられてるんだよ……ヴィーナス様の顔を見ていられなくなって視線を逸らす。


「はい!……これで満足ですか?いいですよね?」


だめだ、喉も乾いて言葉も出せないし、全身も熱い。


今まで、真正面から女性のこと褒めたことなかったのにここに来てからこんなんばっかりだ……


目を逸らした俺を覗き込むようにして見つめてくる。


「もう、しょうがないですね、魔法の特訓始めましょうか!ドキドキしないのはこれからさせていくので覚悟しておいてくださいね?星くん!」


そう言うヴィーナス様は、とても嬉しそうな顔をしていた。


……美の女神なんだからたくさん言われてるでしょ、なんでそんなに嬉しそうな顔ができるんだよ……絶対俺が恥ずかしがってる姿見て楽しんでるんだこの女神。


俺は、早くこの話題をきりあげたくて少し声のボリュームをあげて催促した。


「ほら、正直に答えたんですから早く魔法のコツ教えてください!」


すると目の前のヴィーナス様はゆっくりと歩きながら考えていた。


「そうですね……魔法って、突き詰めればイメージの再現なんですよ」


「イメージ……ですか?」


「そう。もちろん、高度な魔法には特別才能も訓練も必要ですけど、強いイメージを描けるっていうのも立派な才能なんです。だから、イメージ力がある人は、案外すぐに魔法を扱えたりもするんです」


その説明に自分も魔法を使えるのではないかという期待に胸を膨らませていた。


「え、じゃあ、アニメの魔法とかもイメージさえしっかりできていれば使える可能性があるってことですか?」


「そうです、ですがそれが一番難しいんですよ

自分自身で炎や水、氷が出せるわけがないと思ってしまったら一生使えません、だから魔法は一発勝負なんです!」


「一発勝負ですか…… 」


その言葉に少し不安を覚える。


不安になっている俺にヴィーナス様は優しく話かけた。


「星くん、案外、魔法を使える人っていうのは少し賢い人よりもおバカな方が使えたりするものですからリラックスですよ!」


ヴィーナス様……不安な俺を気遣ってくれた。


少しそのことに嬉しく思いながらも、え、俺のことバカだって言ってるよねこれ?

なに、ずっとそういう風に思ってたの?


目の前のヴィーナス様はわざとらしく口を押さえてる。


「いいですよ、そんなリアクション取らなくて!

わざとらしさ丸見えです。

……でも、ありがとうございます」


お陰で少しリラックスできた。

俺は深呼吸をしてヴィーナス様に話しかける。



「ヴィーナス様、俺やってみたい魔法があるんです!」


「いいですね、どんな魔法ですか?アドバイスしますよ!」


俺は、小さい頃に見たアニメを思い出しながらヴィーナス様に伝える。


「炎です!」


「いいですね、炎なら身近にもありますし星くんでもイメージがしやすいと思います。私のおすすめとしてはイメージを高めるために言葉を使うのがおすすめです」


「ヴィーナス様、違うんですよ。俺が憧れたのは言葉じゃなくて……指パッチンでブワッと炎を出す魔法なんです」


そう言う俺にヴィーナス様は少し呆れた様子で言ってきた。


「いくつになっても男の子なんですね、でも難易度は上がりますよ?私、忠告しましたからね」


「そんなの承知の上ですよ!」


俺はイメージする、あの炎を、

何回見たと思ってる。

絶対俺はできる!燃え盛れ!

中指と親指を軽く擦り合わせ、そのまま勢いよく弾く。


「ぱふっ」


あたりには情けない音が静かになった。


——なにこれ、鳴らなかったよ……恥ずかしいできないのにやるんじゃなかった。


ご、ごまかさないと……


「ふっ、今日は雨の日だったか」


「いや、星くん、雨なんか降ってません」


し、知ってるし……


「そもそも、私みたいに指で音鳴らせてないじゃないですか!なんですか今の「ぱふっ」って論外ですよ。なんでかっこつけてできないことをやろうとしたんですか!」


「できるもん、指パッチンぐらいできるもん!」


嘘だ、俺は指パッチンができない。

ヴィーナス様が簡単にしてるから俺も出来る気になってただけど…..


ヴィーナス様は半眼で俺を見つめていた。


「へぇ〜、わざと失敗したんですか……

私を笑わせようとしてくれたんですか?

星くんは優しいですね?そんな優しさはいらないのでもう一回やってみてください」


心の中見えてるでしょ……ヴィーナス様。

なんで、そんな意地悪するの、

いや、出来るはず、これもイメージだ。成功する光景を思い浮かべろ!


「しっかり見ててくださいね」


もう一度俺は中指と親指を軽く擦り合わせ、そのまま勢いよく弾く。


「ぷすっ」


俺の指パッチンは鳴り響くことはなかった。

完全にヴィーナス様は肩を落として呆れている。


目の前の女神の顔が見れず俺は、下を向く。


「私、おバカのほうができるって言いましたけど

こんなおバカな人とは想定していませんでした。こんなのできるわけないじゃないですか!」


「なんですか、さっきからおバカ、おバカって

俺に対して失礼ですよ!」


「本当のこと言って何が悪いんですか?

私言いましたよね?

一発勝負だから、最初が重要だって。

あんな変な音でどうやって炎を出せるんですか」


「え、やり方を変えれば出せる様になるんじゃ」


「なるわけないじゃないですか、言いましたよね一発勝負だと!」


はは、まさか、そんなわけ俺はもう一度イメージをして今度は言葉を使って魔法を出そうと試みる。


「ほむら……」

「ファイヤ!」

「インフェルノ!!」


でない…本当にでなかった。俺が唱えても炎が出ることはなかった。


ヴィーナス様が頭を抑えている。


「諦めてください。

おバカな星くんには、魔法なんて無理だったんです。まずは……指パッチンの練習をしましょう?」


悔しい、何が指パッチンの練習をしましょうだ

全くもってその通りだけど悔しい……

せめて一つだけでも魔法が使える様になりたい。


「ヴィーナス様、もう、指パッチンで魔法は使わないでアドバイス通りに魔法を唱えます!

もう一度教えてください」



悔しかったけど、それ以上に魔法を使える様になりたかった。

真剣さが伝わったのか真面目な顔したヴィーナス様がもう一度アドバイスをしてくれた。


「ちゃんと聞いていてくださいね?

まず、星くんはしっかりイメージしやすい様に

魔法を使う時は言葉で唱えてください。

あと魔法を唱える際はしっかりイメージして、自分なら絶対できると思い込ませること。

まず、おバカな星くんはこの2つだけを徹底してくださいわかりましたね?」


ねぇ、おバカって言い過ぎじゃない……?


反論したかったが、なんだかんだで教えてくれた手前ヴィーナス様に反論することはできなかった。


「……わかりました」


この後も、ヴィーナス様が使っていたドアを出現させる魔法や水、雷、風を出す魔法などたくさんのものを試したがどれも使えなかった。

 

そんな俺を見てヴィーナス様が呟いていた。


「これは、魔法云々って言うより星くんの知能が足りてなかったのでは…..」


俺は悔しさで唇を噛み締める。


この女神さっきから俺のことずっとコケにしてる、……絶対見返してやる


何か何かないか……?


あの女神をギャフンと言わせるそんな魔法。

あるはずだ、俺は足りない脳をフル回転させた。



「あった!」


つい言葉を出してしまった俺にヴィーナス様がビクッとさせていたがそんなことはどうでもいい。見つけた。


「なんですか、いきなり声を出して」


「散々俺をバカにしてくれましたね?

謝るなら今のうちですよ?」


だめだこの魔法……成功する未来しか見えない、そしてヴィーナス様が恥ずかしがる姿がしっかりとイメージできる。



「謝りませんよ、なんで私が謝らなければいけないんですか」


「まぁ、いいですよ、でもヴィーナス様ならわかるでしょ?俺の考えていること、これからやろうとしている魔法がどんなものか」


ヴィーナス様の頬がピクリと引きつり、咄嗟に片手で胸元を、もう片方の手で下腹部を押さえるように覆った。


「……そんなことしたら絶交ですよ?

まぁ、星くんにできるわけないからどうぞ?

やれるものならやってみては?」


この魔法の言葉はどうしよう、やっぱりかっこいい方がいいよな、よし!


俺は右手の手のひらを開きヴィーナス様の前に構える。


もう一度イメージを固める。


イメージだ、確かこの系の魔法は器用さとか幸運値が必要だったと思ったけど……

そんなの関係ない、運に頼るな“自分”の力でパンツを掴み取れ、できる!



「俺の右手よ希望を掴み取れ!

スティィィィーーーール」と叫び、右手を思いきり握る!すると俺の右手に金色の眩しい光が灯った。

すると俺の右手に金色の眩しい光が灯った。

その光に目を開けていられず目を瞑りながら唱え終える。すると、俺の手には柔らかい布の感触があった。


やった、ヴィーナス様のパンツをとった!


「ははは!ヴィーナス様、返して欲しかったらバカにしたこと謝ってください!」


おれは、握ったパンツを振り回しながらヴィーナス様に言った。


ヴィーナス様は何故か呆気に取られた様な表情をしてる。


ん?なんでそんな顔してるの……?


「いいんですか、返しませんよ?

家宝にしますよ?」


「はい、家宝にしてもらっても構いませんが、

その振り回しているもの一回よく見てみては?」


え、なに?どういうこと……


ヴィーナス様に言われた通り、握っているパンツを見るとそれは、ヴィーナス様のものとは考えられない紺色のトランクスだった。


もう一度手で感触を確かめる。



これ……俺のパンツ……

このゴワゴワ感、なんで気づけなかったんだよ

そう考えていると


“パチン”と音が鳴った。


一瞬、ヴィーナス様の方に気を取られているうちに今まで手元にあったはずのものがなくなっていた。


「これが本当の“魔法”ですよ。星くん♡」


そこには、女神、いや……悪魔が口元を歪めながら俺のパンツを嬉しそうに掲げていた。

次回の更新は5/6を予定しています。

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