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13話 ヴィーナス様といただきますをしてみた

黒歴史上映会が終わって、俺は疲れ果てていた。目を擦りながらヴィーナス様に言った。


「そろそろ眠りたいです」


「そうですね。だいぶ時間も経ちましたし、

今日はこの辺にして休みましょうか……」


パチンと指で音を鳴らすと


映画館の時とはまた違うひときわ目立つ扉が現れた。飾りが多くて、なんというか……やたら豪華な扉が現れた。


「ほら、星くん立ってください。

このままだとここで寝ることになりますよ」


「わかりました」


ヴィーナス様に促されて立ち上がり扉の前に向かった。


「特別に私の部屋へ招待しますよ」


ヴィーナス様が扉を開き中に入ると、俺もそのあとに続いた。


目の前に現れたのは想像していたものとは違い

とても質素な部屋だった。


え……ヴィーナス様、……この部屋…机、テーブル、ベッドしかないんですけどここで本当に暮らしているんですか?


少し不機嫌そうな顔をして答える。


「失礼な……キッチン、トイレ、シャワーもありますよ」


なんか、生活感がなくてホテルみたい……と考えていると


ヴィーナス様が先に部屋に入っていき、俺に声をかける。


「ほら、今日は疲れたでしょ……?

早く体、洗って寝ますよ!

先に浴びてきていいですから」


確かに、汗もかいたしさっぱりしたい

え、着替えってどうすれば……


「……服どうしましょう」


「待っててください。今準備するので!」


そうすると、指で音を鳴らすと真上から服が降ってくる


「はい、どうぞ、身体に合わせて作ったのでぴったりのはずです」


「それ、羨ましいですね。」

「それとは?」


「指で鳴らすと、何でもできるじゃないですか!

……俺もできるようにならないですか?」


「あーあ、これですか、どうですかね?

簡単なものならできる可能性もありますよ」


え、できるの……?


「今度、教えてくださいよ。」


「まぁ、時間もたくさんありますしいいですよ。

ただ、これに関しては才能なので出来なくても落ち込まないでくださいね」


俺も指で音を鳴らすと

炎とか雷出せるようになったりして……


呆れながらため息をつく。

「全く、いつまで経っても子供なんですから」


「魔法は男の浪漫ですよ!」

「はいはい、わかりましたから、行ってきてください。」


ヴィーナス様に促され、浴室に向かった。


おっふろ、おっふろ、バブルのお風呂~


口ずさみながら浴室のドアを開けた。

「おっ先~!……」


そこにあったのは……風呂じゃなくて、シャワーだけだった。


お風呂が……ない……だと、


え、神様ってお風呂に浸からないの?

これシャワー室じゃん。

あとで絶対、文句言わないと


シャワー浴び終えて一息つき

リビングにいるヴィーナス様に話しかける。


「ヴィーナス様、ありがとうございます。

上がりましたよ」


「もう上がったんですか?

もっとゆっくり浴びててもよかったのに、

男の子はやっぱり上がるのが早いんですね?」


ヴィーナス様は野菜を皿に盛り付けながら俺に話かけてくる。


「簡単なものですけど、ご飯できてますよ!

星くんの故郷の国の料理を再現してみました」


そこには、炊き立ての白米、わかめと豆腐が入った白味噌仕立ての味噌汁、キャベツの千切りその上に三枚の甘い醤油と生姜のいい香りがする豚の生姜焼きがあった。


え、すごい……めっちゃ美味しそう


「いつものパチンってやるやつで出したんですか?」


少し、笑みをこぼした。

「ふふ……何ですか?パチンってやるやつって……

いいえ、もちろん手作りですよ」


意外、料理ができない神様だと思ったのに……

「え、手作りなんてできたんですか?」


さも当然のように胸を張りながら言う。


「女神にできないものなんてありませんから、

……流石に土鍋でご飯を炊くのは時間がかかりますからお米は、炊飯器を出して炊きましたけど」


とてもいい匂いに俺のお腹が音を鳴らす。

やばい、聞かれた?……聞かれてないよね?


「……俺も、食べていいんですか?」


「もちろん♪星くんのために作りましたから。

実は……ここにきてから結構経っているんですよ?疲れていませんか?」


「いや、疲れてますよ、あんなもの見せられたら」

「確かに、それもありますが……!

さっきいた、真っ白な空間だと時間の感覚がわかりずらくなるんです」


じゃあ、時計ぐらい置こうよ……と考えていると。


「時計ですか……いいですね。明日置きましょうか」

「今まで、置かなかったんですか?

友神には置くように言われてるんですけど何となくでわかりますし……」


なんだかんだですごいよな、ヴィーナス様……

あそこにずっと1人でいてもおかしくならないんだから……


「あの、ヴィーナス様、俺がここにきてからどのくらい経ったんですか?」


ヴィーナス様が指で数えながら俺に説明する。

「星くんとメイドのお話をしたり、鑑賞会をしたりして、ざっと……4日ぐらい経ってます……」


思わず呟いてしまった。

「……ズボラなだけだった」


……5日過ぎた割には、今まで空腹を感じなかったけど……なんでだ?


「そこなんです!どう説明したらいいか……

……あっ、星くんの世界にある植物、あれみたいな感じです!」


「……植物ですか?」


「うーん……あくまでイメージの話ですよ?

植物って水があれば育つでしょ?

でも、それだけじゃちょっと足りなくて……

太陽の光とか、栄養剤とか……いろんなものがあったほうが、植物って元気に育つでしょ?」


「確かに……」


「ここいる私たちも同じなんですよ。

空気を吸っていれば何とかなるけど、ご飯とか娯楽とか、心が満たされるものがあった方がずっといい……そんなイメージです」


「イメージできました。だからヴィーナス様もご飯を作ったり、映画を見たり、……おれをからかったりするんですね?」


「わかってもらえましたか!

でも……一言余計ですよ?」


 この世界は俺のいた世界と根本的に違うんだと改めて実感していると——


「まあ、ぼちぼち。この世界のことも話しましたし、温かいうちに食べてしまいましょ?」


「ヴィーナス様はシャワー浴びてこなくていいんですか?」


「えぇ、ご飯食べてからでいいですよ。

ほら席についてください?」


ヴィーナス様と向かい合って席についた


どこかそわそわしているヴィーナス様から一つ提案をされた。

「星くん、あれやりますよ、あれ!」


「……あれって何ですか?」


「食べる前にやるやつですよ!」


あれか!


互いに少し笑ってから揃って手を合わせた


じゃあ、いきますよ……?心の中で考えヴィーナスを見る。


———『「いただきます」』


ヴィーナス様が満足そうに笑っていた。


「誰かと一回いただきますって言ってみたかったんですよね」


久しぶりに誰かと一緒にいただきますしたな……

なんか、こそばゆいけど、ちょっと楽しいな。


「俺も、最近はずっと1人だったので…悪くないですね……こういうの」


「昔から星くんの姿はみていたのでご飯を食べる時に手を合わせていただきますって言うのは知っていたんですが誰かと一緒に言うのは初めてだったから楽しいですね」


そっか、“いただきます”って日本だけだよな……


普通にヴィーナス様と話せるから忘れてたけど、

この人は神様だからこう言った習慣はないのか……


ちょっと照れくさいな……

冷める前にご飯食べないと!味噌汁茶碗を手に取る。一口すすると……もう動けなかった。やばい、これ……


少し不安そうにしながら聞いてきた。


「星くん……ご飯の味はいかがですか」


「……あっ、これやばいです。

めっちゃ美味いです、今まで食べた中でいちばん美味しいです。」


それを聞いたヴィーナス様は、先程まで不安そうにしていたのが嘘だったかのように満面の笑みになり、自信満々にしゃべりかけてくる。


「そうでしょう?そうでしょうとも……!!

女神たる私が作ったのですから当然です。」


まじ美味い、これ、やばい

語彙力がなくて表せない、シンプルな料理なのに何でこんなに美味しいの?


「ヴィーナス様、これ毎日食べたいです」

白米をかきこみながら言う。


俺が夢中で食べてるのを見て、ヴィーナス様が笑った。

「わかりましたから、ちゃんと飲み込んでから喋ってください。詰まっちゃいますよ?」

少し照れくさそうに言った。


「まあ、そんなに言ってもらえるなら?

毎日作ってあげて……も、——いえ、やっぱり毎日はめんどくさいです。せめて交代制で作るならいいですよ。」


ご飯を食べる手を止めヴィーナス様に尋ねる。


「……一人暮らしの男飯ですよ、

俺、こんなに美味しくできないのにいいんですか?」


頬をかきながら、少し照れくさそうにヴィーナス様は言った。


「……さっきは、偉そうに言いましたけど最初は分量を間違えたり、焦がしたりで散々だったんですよ?」


 ヴィーナス様でも最初からなんでもできるわけじゃないんだ、こんなに美味しいんだもん、たくさん作ったんだよな……


俺は、努力しているヴィーナス様に、なんだかすごく……感心してしまった。



そう思った瞬間、イタズラっぽく笑ってこう言ってきた。


「星くんは、努力してる女の子にグッとくるんですもんね?」


「え、嘘だったんですか……?」


「……どっちだと思います?」


こんなこと言うけど、ヴィーナス様のことだから、ちゃんと努力したんだろな……


俺は、まっすぐ見つめ、はっきり言った。

「努力したと思いますよ?だっておれ、努力する女の子、大好きですから!」


さっきのお返しですよヴィーナス様、心の中でヴィーナス様に伝えた。


「……これは、1本取られましたね。

じゃあ……そう言うことにしておいてください」


その時のヴィーナス様の耳は少し赤く染まっていた気がした。


「それより、次の当番は星くんですよ!」


「わかりましたよ……さっきも言いましたけど期待しないでくださいよ?……不味くても知りませんから!」


「誰かに作ってもらうのがいいんじゃないですか、……自分で作ると美味しいって感じしないんですよ」


こんなに美味しいのに……と考えているとヴィーナス様は続けて言った。


「明日のメニュー考えておいてくださいよ?

星くん、楽しみにしてますから。」


「……頑張ります」


これは、責任重大だ。頑張らないと…心の中で決意する。


……でも、不思議と嫌じゃなかった。


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