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11話 ヴィーナス様、それ録音してたんですか!?

ヴィーナス様と俺は新しく切り替わる映像を黙って見つめていた。


「学校の映像に戻りましたね」

「そうですね。これは……休み時間だと思います」


 10年近く前のことなんて、覚えてるわけがない。

……さっきのよりやらかすことなんてそうそうないだろと考えていると何かノートに書き込んでいる俺の姿が見えた。


ヴィーナス様は少し感心した様子で話す。


「休み時間まで、勉強だなんて……なんだかんだで真面目ですね、何の勉強をしてるんでしょう?」


……おかしい、俺がそんな真面目だった記憶がない。周りを見てもテスト時期ではなさそうだしそんな勉強することあったかと首を傾げているとヴィーナス様はリモコンを操作し、カメラの位置を変更する。


画面の中に映ったのは———


……俺の“推しキャラノート”。


そこには、俺の好きなキャラクターの絵を貼り付けたものとプロフィールまとめた文章がびっしり書き込まれていた……


なんか……見覚えあるわこれ。

授業中に先生に没収されてみんなの前で暴露されるやつだ……


いや……さっきのやつよりは全然いいけどこれはこれできつい。


ヴィーナス様は呆れたように眉をひそめ、ため息をついた。


「こういうものこそ、お家でこっそりコソコソやるものなんじゃないですか?」


からかいでも何でもない正論が胸に突き刺さる……


「……おっしゃる、通り……です……」


「これじゃあ、直前に褒めた私がバカみたいじゃないですか。なにがなんだかんだ真面目ですか!」


「ぐぅの音もでない……」


ヴィーナス様はリモコンを構えた。

「もう、結末もわかりましたし、次、いきますか。」


リモコンを持ち、早送りしようとするとなぜか手が止まった……


「ヴィーナス様……?」疑問に思い、声をかける。

 女神は画面を見つめながら、ぽつりと聞いて来た。


「あの?このノートって……“推しキャラ”が載っているんですか?」


当然の事を聞くヴィーナス様に首を傾げながら

「はい、そうですよ」と答える。


「“推し”って“好き”って意味なんでしたっけ?」


「そうですけど……さっきからどうしたんです?

早くラストにいきましょ?」


その時だった。

背後から、ぞくりとするような静かな笑い声が漏れ聞こえた。


「ふ、ふふ……このノートの中身……

ゆっくりと見ていきましょうか……星くん?」


「いやいや、おかしいですよね?

これは、黒歴史鑑賞会であって推しキャラノートの鑑賞会じゃないじゃないですか!」


巻き戻しをしようとするヴィーナス様を慌てて止めようとする。


「何言ってるんですか!これも立派な黒歴史鑑賞会じゃないですか?」


だめだ……こうなったらこの神もう止まらない

———スイッチ入っちゃった。


何で、そんなにルンルンなんだよ……?


「どれどれ……どんな女の子がいるのかなっと。

共通する点はなんですかね?」


映像をズームしてノートの内容をゆっくり見ていく。


「ふむふむ、身長はバラバラ……

髪型も統一感なし……。

星くん……この子達の性格は?」


「みんな可愛いです」


「そんなの、これ見たらわかります。

知りたいのは性格です!」


え、1人1人答えていくの?

まぁ、マジで共通点ないし早く終わるならいっか……


「そこに書いているの何人ですか?」


「……4人ですね、この子から教えてください」

「……頭のいいお姉さん系です」

「この子は?」

「優しいお嬢様系です」

「次!」

「揶揄い系の幼馴染」

「ラストは?」

「頑張り屋の後輩」


ヴィーナス様は、腕を組みながら考えこむ

「ん〜……年齢も関係性もバラバラですね。

心の中をのぞいても嘘をついている様子はありませんし……」


俺は座席のドリンクホルダーからコーラを手に取る。


「だから言ったじゃないですか。共通点がないんですよ、マジで」

言い終わると勢いよくコーラを飲み始める。


ないよ、ヴィーナス様、考えても無駄だから!


「何かあると思ったんですけど……

何かないですかね……?

あっ……!?わかりました、わかりましたよ!」


何がわかったんだ……?

眉をひそめながらコーラを飲み続ける。


「みんな、胸が小さいんです!!」


ぶふっ!!


予想にしていなかった言葉に飲んでいたコーラを吹き出してしまう。


「ちょ……ちょっと!?

大丈夫ですか?お行儀悪いですよ……

あとで掃除してくださいね?」


星の頭の中には一つの疑問が浮かんだ。


いや、嘘だ……冗談でしょ?……

思わず、ヴィーナス様に聞いてしまう


「俺って貧乳がタイプだったんですか?」


「いや、そんなこと知りませんよ、

ただ、胸が大きい子は、いないんでそういうことじゃないんですか?」


認めない……認めないぞ、

もしそうだったら俺は……


「いいですか、俺は貧乳が好きなんじゃなくて、好きになった子がたまたま貧乳だっただけです!」


「たまたま?全員……貧乳なのに?」

「はいそうです」


その瞬間だった。

後ろから、ぴたりとヴィーナス様の体が密着してくる。

背中に押し当てられる少し柔らかい感触。

呼吸の熱すら、耳にかかってくる距離で——


「ねぇ、私のことも……好きなんですか?」


顔なんて見えなくてもわかる。

絶対、今、意地の悪い笑顔をしてる。

てか、当ててくんな!

……やばい、これ反応したらダメだ。


「は…はぁ!?な……なんでそうなるんですか!?」

「いや、だって、星くん、貧乳が好きなんですよね?」


だからたまたまだって言ってるじゃん

完全にいじりに来てるな……

この女神は……抱きつけば俺がおろおろすると思ったんだろ?


ヴィーナス様を少し小馬鹿にするような口調で話す。

「いやぁ〜ヴィーナス様は貧乳じゃないんでしょ?」


さらに追い討ちをかける。


「も……もしかして貧乳っていうじ、自覚が……?

大丈夫です!!ヴィーナス様は、巨乳ですから

あ〜〜危なかったなぁ……もし、ヴィーナス様が貧乳だったら好きになっていたかもしれません

よ〜?」


顔は、見れないがこの空気は間違いない……


おっ、おおお?

ピキってるな……?


待って、ヴィーナス様、抱きつく力強くなってる

ねぇ、痛い、痛いです。

背中がヴィーナス様の肋骨に思いっきり当たって……

なんか、さらに力込めて抱きしめてきてるし!


痛っ、ほんとに、痛いってば……!



ヴィーナス様がゆっくり声をかけてきた。


「星くん……ちょっと立ってもらえますか?」


「……なんですか!?や……やるんですか?受けて立ちますよ!」


 ヴィーナス様の膝の上から立ち、シャドーボクシングの真似をしながら身構えながら振り返ると


目の前のヴィーナス様は、笑顔でゴソゴソと服から何かを取り出した。


「これな〜んだ……?」

……携帯?

いや、それにしては小さいか?


「……いや、わかりませんけど。勝負なら受けて立ちますよ」


「勝負したら私の瞬殺なのでやりません

それよりも良いものを聞かせてあげますよ…」


「何ですか?俺の勝利記念に何かプレゼントですか?……いい心が——」


「ぽちっとな」


———ザッザザ……


……なんだこれ?


ノイズの後に声が聞こえてくる?


ヴィーナス様の声?

いや、俺の声も聞こえる。


——……ホシイ


 ほぉ、いいですね!いいですよ!

やってあげますとも、他にもあればもう一つくらいなら叶えてあげますよ?何か囁いて欲しい言葉とかありますか?


スキッテ……イッテホシイ


———ザッザザ……と再生が終わり、あたりが静かになる。


ヴィーナス様は悪魔的な微笑みを浮かべた。


「星くんの愛の告白です。聴いて頂けましたか?」


ビクッと一瞬だけ跳ね、ピタリと動けなくなる。

「……なに、これ……?」


録音されていた現実を受け入れられずにいた。


魔法をかけられているわけでもないのに体を動かすことができない。

徐々に肩だけがじわじわ震え出す。



「……いやいや、映画館で録音するとか何考えているんですか?犯罪ですよ……!?犯罪!!」


「いえ、この時、映像見てませんし……

それに撮影OKって言いましたよね?」


「いや、そんなことはいいですよ。

神様だからって……!!こんな……あんた、神様じゃねえよ!鬼…鬼畜……悪魔!!」


「いえね?……私も星くんに聞かせるために録音したわけじゃないんですよ?」


ヴィーナス様はしれっとした顔で続ける。


「ちょっと凹んだ時やイライラした時に聞いたら元気になれるかなって?」


何が「元気になれるかなって」可愛らしくいいやがって……!

絶対、凹む時なんかないだろ!この性格だぞ?

絶対凹ますほうじゃん……


でも……これって確か

ふとした疑問をヴィーナス様に尋ねる。


「この時の状況って、俺の意識ほぼなかったですよね?本当は……ヴィーナス様が無理やり言わせたんでしょ……?」


ヴィーナス様は真面目な顔になり静かに答える。


「確かに、おまじないの効果はちょっと強めになりましたけど、私、思っていないことを無理矢理言わせることはしないですよ?」


……なに、じゃああれは俺が心の底ではヴィーナス様に好きって言って欲しいって思っているってこと……?


いやいや……いやいや!?

ここまできたら、やるぞ俺は……


一瞬目を瞑り、その間に脳をフル回転させる。

———このカードは使いたくなかったがしょうがない……


悲しげな顔を作りヴィーナス様に話しかける。


「それ……多分なんですけど、ヴィーナス様のことが好きだから……とかじゃなくて」


 なんで……自虐しなければいけないんだと言う気持ちをグッと抑え、続ける。


「……あまり人に好きって言ってもらったことがなくて……だから無意識で人からの愛が欲しくてそう思ったのかもしれません……」


……この言葉は嘘じゃない!!


くらえ!

これで終わりだ。

さらにヴィーナスに話しかける。


「その……魔法って、どういうものでしたっけ……?確か欲に素直になるっていう魔法ですよね?」


 ゆっくりとヴィーナス様のほうに、頭を深々と下げ謝罪をする。


「ヴィーナス様……ごめんなさい。勘違いさせてしまいましたね……もし、凹むことがあったらこの録音を聞いて元気を出してください」


「……ふーん、そういう言い訳をしますか。

あくまで私のことを好きって認めないってことですね」


「まぁ、いいでしょう。私のことが好きなのは星くんの行動でわかってますから……!

好きだってしっかりと自覚するのも時間の問題ですよ?」


「そんなこと言って、……実は俺にメロメロなんじゃないですか?」


 ヴィーナス様は冗談でしょ?という冷ややかな目向け鼻で笑った。


「……はんっ」


えぇ、そんなに……?

ちょっとショックを受けていると


ヴィーナス様はため息をつき、いつもの表情に戻る。

「ほらなんでちょっと凹んでるんですか?

そろそろ次に行きますよ!」


ヴィーナス様は元の席に戻っていく。


「ほら、早く立ってないで私の膝の上に戻って来てください。」


俺にぽんぽんと膝の上を叩いて座る様に催促する。


ヴィーナス様の膝の上に戻りながら

ふと、考える……


……何で俺こんなに必死に否定してたんだっけ?


 恥ずかしいから……?いやそれもあるけど……

それだけじゃなくて———


そんなことを考えている内に次の映像が流れ始めた。


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