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2 赤い神と双子

 私のよく知る神社が、お社がボロボロになってしまった。

 そして、当たり前のように歩いていた道路が、町が……無くなってしまった。

 まさかこの世界には私だけ?と思っていたところに出会ったのは、髪も瞳も真っ赤な青年だった。

「あ?……おい、どうしたぁ?つか、お前『人間』だよな?……ちょっと違うような気がするが……おい、聞いてんのか?」


「!は、はい!聞いてます!」


「ふむ……」


 背の高い、青年は耳にはピアスだらけだし、首にはネックレスも付けていて指輪の数も多い。ごくごく普通の恰好……をしているように思う。シャツに、ダメージジーンズっていうのは……えっと、個人の好みもあるからどうこう言えないのだけれど……その、ごくごく普通のヤンキーっぽい人。ただ、髪と瞳が真っ赤だ。染めている?瞳はカラコン?でも、これほどまでに赤い色が出せるだろうか……。

 まじまじと青年を見ていれば、同じく口元に片手を添えてまじまじと見下ろしてくるヤンキー青年。


「お前、なんでこんな所にいる?悪霊や怨霊騒ぎを知らない田舎者……ってワケじゃねえよなぁ?」


 は?悪霊?怨霊?


「えっと……それって、幽霊とかってヤツ……ですよね?え、見たことないです」


「はあ!?知らねえのかよ!?このご時世だぞ!お前一体どこの……シッ、静かに!」


「?どうしたんですか?」


「いいから静かにしてろ、バカ!」


 いきなり小声になったヤンキー青年を不思議そうに見上げることしかできなくて、ぽかんとしているとバカって言われた!な、初対面のくせにバカは無いでしょ、バカって!!


「……はは、こりゃあちょうどいい。一般常識が無さそうなお前に悪霊をしっかりと見せてやるよ。しっかり目開いておくんだなあ!」


 ヤンキー青年は面白いモノでも見つけたかのように口端を上げて笑うと数メートル先をじっと見ている。私も何かあるのかな?と思ってヤンキー青年の視線の先をじっと見ていると……特に何も無い。


「あの……?」


「……ボケっとすんなよ。お前みたいなボケボケしたヤツはアイツらの好物だからよぉ。しっかり気ィ引き締めておけよ」


 一体なに?

 と、ヤンキー青年が頭でもおかしくなったのかと思っていたけれど、途端にゾワリと背筋が震える気がした。なに、この寒気は……っ!?

 すると視界の先には、ボワッと何処からともなく現れたナニか。炎?でも、何かに燃えているわけでもない。空中でフヨフヨしている……?生き物?


「見えるか?見えるよなぁ?アレが悪霊。そんでもって……コレが、俺様の能力!炎よ、焼き払え……!」


 あ。

 さっき見えた燃え盛る炎!

 って、このヤンキー青年の手から出ている!や、火傷は!?熱くないの!?

 青年の手からあらわれた炎は視界の先をフヨフヨと漂っている『悪霊』というものを言葉の通りに炎に包んで焼き払ってしまったらしい。炎が消えた後には何も残っていなかった。


「ふん!どうだ。驚いたかよ?って、おいおい、なんだぁ!?」


「手、手!火傷とかしていませんか!?……って、あれ……」


 慌ててヤンキー青年の手を取って手のひらを確認してみるものの火傷一つ起きていなかった。あんなに燃え盛る炎。少しでも触れたら火傷じゃ済まないかもしれないのに……一体、どういうこと?


「火傷ぉ?何バカなこと言ってんだ、お前は。なんで自分の生み出した炎で火傷なんかするんだよ?」


「生み出した?」


「能力っつったろうが……つか、神を見るのは初めてか?……初めてっぽいな」


 カミ?髪?髪の毛なら毎日のように自分で見ていますが……。

 紙……も、新聞でみている……。

 神……え、『神様』ってこと!?


「あ、あああ、あなた、『神様』!?」


「なんだ、その反応」


「だって、見た目は……その……ごくごく普通っぽくて……」


「見た目?……いや、お前がどんな神を想像しているのか分かんねえけどよ……たぶん、それ間違い。神っつっても見た目は普通の『人間』と変わんねえよ」


 『やれやれ』と説明することも疲れた様子のヤンキー青年(神様)は、腰元に手を当てて溜め息を吐いている。えー……だって、こうして見ていてもどう見たってヤンキーじゃん。


「つか、こんな所にずっといたら悪いモノが引き寄せられちまうから移動するぞ」


「悪いモノって?」


「……さっきみたいなヤツら」


 何でも説明させるな、とばかりに鋭い視線を向けてくるが……やっぱりヤンキーだ。

 さっき感じたようなゾワゾワとした感じは今はしない。やっぱりあの時感じた嫌な感じはさっきの悪霊のせいだったのだろうか。

 何処に向かって歩いているのか分からないけれど、移動していくヤンキー青年の後を追って私も移動していった。その方向は、私がやってきた鳥居とは真逆。つまり、どんどん遠くへと移動しているみたいだけれど……無事に、帰れるんだろうか……。


「悪霊も何もかも知らねえとかって……どーすんだよ……。つか、お前名前は?」


水鏡葉乃芽みかがみ・はのめです」


「……ハノメ?」


 私が名乗るとヤンキー青年は足を止めて振り返り、まじまじと私の顔を覗き込んできた。き、気まずい。こんなにまじまじとヤンキー風の人に見られることって無いから変に緊張してしまう。


「お前がぁ?はは、有り得ねえだろ。……お前、ちょっと動くなよ」


「は?」


「動くな。動いたら怪我だけじゃ済まねえからな」


 そう言うヤンキー青年は片手を私に向けて、手のひらを私の目の前に向けてきた。もしかして、さっきの炎!?

 あの燃え盛る炎に私も焼かれてしまうのだろうか……とビクビクしていてとてもじゃないけれど動くことなんてできなかった。

 数秒?数十秒ぐらいだろうか、ヤンキー青年は私の前から手を退かすと小さく溜め息を吐いた。


「気のせい、か……。つか、お前も紛らわしい名前してんじゃねえよ!」


「な、名前に文句なんか付けないでください!私の家族が付けてくれた名前なんですから!」


「あのなあ……こっちはいろいろと問題抱えてんだよ。それで、お前の名前を聞いてみろ。……いろいろ騒がれるだろうから俺が良いって言うまで自分の名前を名乗るんじゃねえぞ」


「は?はぁ……」


 溜め息を吐きたいのはこちらだ。

 何も分からないのに、その上、名前を言うな?なんで!?もう……変な世界……には来てしまったみたいだし、このヤンキーは何を考えているか分からないし……悪霊とかもいるみたいだし……物騒な所ね。


「そろそろ、か……。おーい、双子!聞こえてんだろ?道を開けてくれ!」


 双子?道?

 道なら目の前に続いているじゃない。


「あの……道なら、そこに……」


『『ご苦労様です。カグツチ様。そして……ハノメ様。どうぞ、こちらへ』』


 なに、これ……声が、二重になって聞こえてくる!

 あ、でもヤンキーは確か双子って呼んでいた?だから二人揃って声を揃えて言っているの?それにしても合い過ぎて、ちょっと怖い……。


「……おい、行くぞ」


 ヤンキーが向かう方向は、とにかく眩しかった。光が差している?

 目元を手で影を作ってやらなきゃ到底、目が眩んでしまいそうな道をヤンキーの後に続いて行った。


「……着いた」


「……き、綺麗……!」


 眩しい道を進んだ先には、この世のものとは思えないほど綺麗な庭が広がっていた。綺麗に整えられている木々、いろいろな花、そして池があって、蓮の花も咲いている。そこは、平安時代の貴族様たちが集って宴会とか楽しんでいそうな場所だった。花見もできるし、美味しい食事やお酒なんかがあれば貴族たちは大喜びしてしまいそうな場所。

 そして、ちょうど桜?の花びらが舞う下に、座っている白髪の二人……子どもかしら?双子なのか、見た目はそっくりね。童水干わらわすいかんっていう如何にも平安時代の子が着ているような服装をしていた。

 ヤンキーと私がその双子の近くへ歩み寄ると、小さな双子たちも立って頭を下げて挨拶をしてくる。


『『カグツチ様、お疲れ様でした。そして、お初にお目にかかります。ハノメ様。我々は、イザナギとイザナミと申します』』

 風水って住宅のなかで、なにを何処に置くと良いか……って話もあるようですね。ですが、今作の風水はちょっと変わったバトルもの……ば、バトルまで行くかは不明ですが……。木火土金水の属性、がそれぞれ活躍するストーリーになっていきます。……その予定です。


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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