コント「ワンクリック詐欺救済コールセンター」
被害者「いや~、久しぶりに家のパソコンを使ってたら、ワンクリック詐欺にひっかかるなんてな~」
被害者「しかし、対処法をスマホで調べたら『ワンクリック詐欺救済コールセンター』? ってのがあったから助かったわ~。早速電話しよ」
『ぷるるるる、ぷるるるる』
被害者「う~ん」
『ぷるるるる、ぷるるるる』
被害者「……かからんなぁ」
アナウンス『ただいま、オペレーターが緊張で震えているので、しばらくお待ちください』
被害者「震えている音だったんかい」
オペレーター「ひゃい! たいひぇんおまちゃしぇいちゃすぃましちゃ!」
被害者「その噛み方、逆に難しいやろ……」
オペレーター「す、すみません! ……少し深呼吸しても、い、いいでしょうか?」
被害者「深呼吸で何とかなる噛み方か?」
オペレーター「すうぅぅぅぅ」
オペレーター「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
被害者「ロングブレスダイエットの長さだろ、それ」
オペレーター「…………ふぅ、落ち着きました」
被害者「落ち着くどころか筋肉緊張するやろ」
オペレーター「ちなみに、先程はドイツ語で『お電話ありがとうございます』という意味があります」
被害者「嘘つくな。まだ邪神を召喚する詠唱って言われた方が信憑性あるわい」
オペレーター「いあいあ~」
被害者「『いやいや~』って感じでクトゥルフ神話の詠唱を開始してんじゃねえよ」
オペレーター「あ、詳しい方なんですね、やはり私は王道を征く『アブホース』系ですかね」
被害者「電話越しとはいえ、初対面の人とそんな話で意気投合したくねぇわ」
オペレーター「それで、お客様。本日はどのような要件でお電話を?」
被害者「急に話を軌道に乗せんなや。ぐねぐねしながらキャッチャーミット入っても振れねえわ」
オペレーター「野球に関するお問い合わせなら『コールド負け救済センター』にお願いします」
被害者「そんなのあんのかい。というか負けてんだからどうしようもねぇよ、それは!」
被害者「ワンクリック詐欺にかかったんや! だから電話したんや!」
オペレーター「……えっちなサイト見てたんでしょ、このスケベ」
被害者「おちょくるな! 同じ男やろ!」
オペレーター「とりあえず、状況を教えてください。成人向けの動画サイトに入ったのは確定として――」
被害者「確定すんな。とにかく、2時間以内に5万円支払え、とかなんとか。払えなくはないんやけど……」
オペレーター「ああ、絶対払ってはいけません。こちらで処理させていただきますので――」
オペレーター「とりあえず、指定の口座に10万円振り込んでください」
被害者「お前も詐欺師だったんかい、いい加減にしろ」