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ねえ、君、死ぬ前に私と将棋しようよ  作者: takemot
第3章 僕の知らない死神さん
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第79話 ……半分正解ね

「どうしたら将棋の相手が見つかるかなってずっと悩んで。私や夫も将棋を覚えようとしたんだけど、仕事が忙しいせいもあって満足に勉強できなくてね。結局、何も解決しなかった」


「…………」


「でも、ある日突然、あの子が言ってきたのよ。『一緒に暮らしたい男の子見つけた』って」


「それは……僕のこと……ですよね?」


「そうね。本当に驚いたわ。私も夫も意識が飛んじゃって」


 口元に手を当てながら、クスクスと笑うお義母さん。


 さすがに、一人娘がいきなりそんなことを言い出したら、驚く以外の選択肢はないでしょう。死神さんは、相手の意識を飛ばすのが本当に上手ですね。


「あなたは知ってるかしら?」


「何をですか?」


「あの子が、あなたと一緒に暮らしたいって言った理由よ」


「……はい。僕の大切な人になるため……です」


 死神さんは、僕に将棋で勝ち逃げされることを許しませんでした。そして、自殺をする予定だった僕の魂を回収しないことで、僕と将棋を指し続けることを望んだのです。ですが、僕が自殺したいという苦しみを抱え続けたままでは、楽しい将棋にはなりません。だからこそ死神さんは、僕の苦しみを取り除こうと、僕の大切な人になることを決めたのです。


 きっと、死神さんが僕と同棲を始めたのも、僕の大切な人になるためで……。


「半分正解ね」


「……半分?」


「ええ。残り半分の答えは、もう出てるわ」


 お義母さんは、優しく微笑みながらそう言いました。


 残り半分の答え。それは、僕の口からすぐに飛び出しました。なぜなら、お義母さんが最初に語っていたことなのですから。


「死神さんが、僕のことを大切に思ったから……ですか?」


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