表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねえ、君、死ぬ前に私と将棋しようよ  作者: takemot
間章 僕と死神さんの非日常②
61/142

第61話 ……ありがとうね

 僕は、クルリと死神さんに背を向けました。顔が熱くて仕方がありません。『あなたのことが大切です』なんて、ほとんど愛の告白のようなものじゃないですか。僕は死神さんに本心を伝えたかっただけであってですね。別に、愛の告白がしたいなんて……。したい、なんて……。


「……ありがとうね」


 僕の背後から聞こえた死神さんの声。そこに、先ほどの弱々しさは微塵も感じられませんでした。ベッドの反対側を向いている僕の目に、死神さんの顔は映っていません。ですが、きっと優しく微笑んでいるのでしょう。そんな気がするのです。


 再びの沈黙。


 不意に、僕の頭の中には、ある疑問が浮かんできました。


 僕は、死神さんにとって大切な人なのかな……?


 死神さんは、僕にとって大切な人です。ですが、その逆はどうでしょうか。もし死神さんが僕のことを大切な人だと思っていないのだとしたら、僕は死神さんの負担でしかありません。そんな関係、僕は嫌なのです。絶対に。


「あの……死神さん」


「…………」


「……死神さん?」


 僕は後ろを振り向きました。僕の目に映ったのは、スヤスヤと眠る死神さんの姿。その表情は、とても穏やかでした。まるで、何かから解放されたかのように。


「……まあ、いいか」


 今はまだ、知らなくてもいいことなのかもしれません。きっと、時がたてば、答えは見えてくるでしょうから。


「さて、今から何しようかな?」


 その答えを知った時、果たして、僕は何を思うのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ