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ねえ、君、死ぬ前に私と将棋しようよ  作者: takemot
間章 僕と死神さんの非日常②
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第58話 ぼ、僕は一体何を……

 あれから約一時間。死神さんは、将棋をすることを諦め、眠ってしまいました。「スー、スー」というかわいらしい寝息が、ベッドの傍に座って本を読む僕の耳に届きます。


「……ふう。ちょっと休憩」


 僕は、本を読むのを止め、死神さんの方に顔を向けました。平日の午前中。普段なら、僕は学校で授業を受けている時間です。ですが、今、死神さんとこうして部屋の中にいる。なんだか不思議な気持ちです。


「…………」


 眠っている死神さんを見つめ続ける僕。すると、なんということでしょう。僕の手が、勝手に動き出したではありませんか。手の行く先。それは、死神さんの頭の上。


「…………」


 なでなで。なでなで。


「…………」


 なでなで。なでなで。


「……ううん」


 不意に、死神さんが寝返りを打ちました。


 その時、僕は、ハッと正気を取り戻しました。勢いよく自分の手を引っ込め、死神さんから顔をそらします。バクバクと早鐘を打つ僕の心臓。きっと今、僕の顔は、トマトのように真っ赤になっていることでしょう。


「ぼ、僕は一体何を……」


 急に死神さんの頭を撫でてしまうなんて、僕はどうにかなってしまったのかもしれません。もしかしたら、死神さんの風邪がうつって……。


「……えへへ。君、もっと褒めて」


 果たしてどんな夢を見ているのでしょうか。死神さんの寝言が、部屋の中に小さく響きました。

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