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ねえ、君、死ぬ前に私と将棋しようよ  作者: takemot
第2章 僕と死神さんと、それから……
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第55話 ……さて、何のことかな?

「死神さん、一つ聞いてもいいですか?」


「どうしたの?」


 将棋部の活動終了後。先輩とは自宅の方向が違うので、帰り道は、死神さんと二人きりです。つい先ほどまで、たわいもない話に花を咲かせていた僕と死神さんでしたが、不意に会話が途切れてしまいました。そこで、僕は、ずっと気になっていたことを、死神さんに聞いてみることにしたのです。


「僕って、死神さんが先輩との将棋に負けたから、将棋部に入ることになったんですよね」


「そうだね」


「これは単なる予想なんですけど……。もし死神さんが勝ってたら、死神さんは、僕に『将棋部に入部するように』って言う予定だったんじゃないですか?」


 そう。実は、あの時、ほんの少しだけ違和感があったのです。死神さんは、先輩との将棋の前に、こう言いました。


『将棋で勝った方が、弟を好きなようにできる』


 もし僕を将棋部に入部させたくないだけならば、『あなたが負けたら、弟のことは諦めてもらう』でよかったはずなのです。ですが、死神さんはそうしませんでした。死神さんが勝った場合に、僕に命令できる権利を取り付けようとしたのです。それはつまり、僕に何かをさせたかったというわけで……。しかも、先輩が僕たちのアパートに来る前日、死神さんは、自身が僕の負担になっていると考えていて……。


 もちろん、これは、僕の勘違いかもしれません。死神さんは、『まずは膝枕から……』とも言ってましたしね。単に、僕を好きなようにしたかっただけという可能性もあります。


 僕の言葉に、死神さんはピタリと足を止めました。


 僕もつられて足を止め、死神さんの方に体を向けます。目の前にいるのは、優しく微笑む死神さん。沈みゆく夕日に照らされるその姿は、どこか幻想的な雰囲気を漂わせていました。


「……さて、何のことかな?」


 死神さんは、小首を傾げながら、とぼけたようにそう告げるのでした。

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