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ブルメルン2

「その符割りはなくさないようにしてください。門番の兵士さん曰く、私達の目的や容姿、申告した職業などの情報と紐付けされているそうです」


壁の中に入ることができたロア達は、正面に見えた大通りを歩いていた。左右には木と煉瓦、漆喰など、雑多な材料を使用した建物がこれでもかと密集している。

鎧戸を開け放ち、頬杖をついて通行人をじろじろ眺める者もいれば、軒下で木を加工したり、馬具を磨いたり、刃物の手入れをしていたりと、様々な稼業に精を出す住人もいる。彼等にとっては街に入ってきた旅人や周辺の村落の住人は珍しくもないのだろう。庭をうろつく犬でも見るようである。それが、ロア達一行が通りがかる時だけは、一度は外した視線をぎょっとしたように戻すのだ。


「それにしても壁の中に入るだけでお金取るなんて酷くない? しかも一人一人からよ。がめついんだから」

「おそらく他所者だからだろう。近隣の者は自分の村を出るときに鑑札を発行してもらうのではないか。そしてそれがあれば金を払わなくていいのかもしれん。実際俺達の後ろの奴はさくっと許可が出ていた」

「だからってお釣りも出さないなんて!」

「支払いがあれでできただけで十分ではないか」


ぷりぷり怒るローズを宥めるロア。

メリヤは苦笑いだ。


「それより急ごうぜ。つか、時間足りないんじゃないのか? もう昼過ぎてるし」


パドルが頂点を過ぎた太陽を見上げながらぼやく。


「まずは荷車や台車を探そう。今のままでは持てる量に限界がある」

「そんなの誰が曳くのよ。馬でも買うの?」

「俺が曳く。この身体なら問題ない筈だ」


ローズに答えたロアは、メリヤに馬車屋を探すよう伝えた。

しかしパドルが指を振って口を挟む。


「ちっちっち。そんなのを自分達で探してたら日が暮れちまうよ。こういう時はな、現地のガキを安く雇って案内させるんだ」


パドルにしてはまともな意見だ。


「なんで子供なのよ? 大人でもいいじゃない」

「穴が小さくて済むからだろう」

「え……?」

「案内させた後は、殺して埋める。ーーそうだな、パドル?」

「ちげーよ! 人を凶悪犯罪者にすんな!」


パドルは息を荒げて否定した後、


「こういうのはさ、金に困ってる奴がやるもんだが、街中で金に困ってる大人と、金に困ってる子供、どっちがまともか、どっちが可哀想か、ちょっと考えたらわかるだろ?」

「確かにそうだな」


ロアは目から鱗が落ちた思いだ。


「子供は金を稼ぐ手段も限られている。言わば、より弱者。大人にも同情すべき理由の輩はいるだろうが、子供はほぼそうだ。つまりなるべくそちらを助ける。まさかお前にそんなことまで考える知能があったとは……」

「俺の評価どんだけ低いのよ……」


メリヤはロアとパドルの意向を受け、そういった場所がないかを通りすがりの街人から聞き出した。もちろん謝礼として粒金を与えることも忘れない。砂粒並みの大きさだが。

その光景をローズはもやもやした顔で見ている。


「なんか頭痛くなってきたわ」

「聞き出せましたよ、皆さん」


と、街人と話し終えたメリヤ。歩き出しながら、


「家や奉公先から逃げ出したり、親が流行病などで亡くなって住む場所を失った子供達が集まっている地区があるそうです。彼等はお金を貰ってこっそり外壁に細工をしたり、ロープを垂らしたりして外の人達を招き入れているため、街の住人からは嫌われているみたいですが……」


大通りの先には丘がある。その周辺はひときわ高い壁を備えていたが、長さはそれほどでもない。メリヤの向かった先はそこから大きく外れた、南東よりの外側の壁に近い場所だった。

進めば進むほど家屋の質が下がっていく。もはや通りは初めからそう造られたものではなくなっており、建物と建物の間に偶然できた比較的大きな隙間だった。石は崩れ、屋根は傾いでいる。足元は穴が空いており黒い水が溜まっていた。


「なによここ、最悪。狭いし暗いし汚いし。おまけになんか変な臭いもするし」

「……すまん。屁が出た。だって人間だもの」

「最悪!」


三人はロアから距離をとった。

しかしパドルはロアの後ろを歩いていたのだ。臭いから逃れることはできない。


「なんてこった。なんてこった!」


そう言って地面に唾を吐く。


「俺は今ならこの世界にいるどんな奴にも優しくできるぜ。あんた以外ならな」

「そんなことより誰とも出会わないのはどういうことだ。人の気配は感じるのだが」

「そりゃあんたを警戒してるんだよ。そのデカさだからな。俺達だけだったらとっくにつぶらな瞳に囲まれてるさ」

「……つぶらな瞳か」


ロアは背負った盾を動かして、ズシリとした重さのかかる位置をずらすと、おもむろに小さな声で歌い始めた。口を隠す鎖の下から、穏やかで重々しい声音が流れ出す。



男の名はパドル


死をも恐れぬ戦士なり


子供たちが集まってくる


その赤い頭を目印に


路地の裏から集まってくる


その長い武器を見んがため


見上げる眼差し


つぶらな瞳


笑って男はこう言った


早く集えや子供たち


英雄パドルのお出ましだ





男は武器を振り回す


死をも恐れぬ戦士なり


集まってきた子供たち


その赤いものが目印に


路地の裏へと走り出す


その長い武器から逃げるため


つぶらな瞳が


潰れた瞳


最後に男はこう言った


オールじゃないよ


パドルだよ




しばらく歩くと広場に出た。中央に井戸があり、屋根から滑車がぶら下がっている。あばらの浮いた犬が数匹、寝そべってなにかの骨を噛んでいた。

痩せた女が五人ばかり、井戸の横で洗濯をしており、周囲にできた水溜まりで、三、四歳くらいの女の子が二人、水遊びに興じている。

子供は無邪気そうにはしゃいでいたが、女達は疲れた顔をしていた。ロア達が近づいても、取られる物などない、襲われる価値などない、と言わんばかりに動じない。

ロアは子供の小指の先ほどの粒金を五つ取り出して掌にのせた。それを女達のほうに差し出す。


「お前達に訊きたい事がある」


空気を読んだメリヤが女達に向かって言葉を繰り返す。

女達は警戒心をいっぱいにロアを見上げ、視線を外さずに手を伸ばして粒金を受け取った。そして言葉を放つ。


「なにが訊きたいのか、と言っています」


メリヤが通訳し、ロアがそれに頷くと、正面の女は訝しげにしたが、相手の事情など自分達には関係がない、と気にしないことにしたようだった。


「まず、この街を案内してくれる者を探している。金は払う。可能なら、金を稼ぐ術を持たず、困っている子供から選びたい」


ロアは正直子供でなくともよかったが、パドルの望みでもある。それに、金を持ち逃げしたり、騙そうとする者がいるかもしれないことを考えると、思考が稚拙な子供の方が楽かもしれない、と思ってそう言った。

女は最初、自分が立候補したそうな顔をした。しかし後半の台詞を聞くと、残念そうに眉を寄せ、ある方角を指差す。


「あちらに進むと、身寄りのない孤児の集団がいる、と言っています。あまり治安がよくないそうです」


ロアは満足そうに首を振り、粒金を一つ差し出し、覚えている言葉で礼を言う。

女が今度は素早く取る。それを見て、隣にいた別の女がずいと前に出るや、早口で捲し立てた。


「他に訊きたいことは、と言っています。今度は私が答えると」

「領地で働く使用人を探している、と言え。衣食住は保証する。あまり年寄りは困るが、子供じゃなくてもいいーーいや、身体が小さい奴がいいな。健康的だが、あまり飯を食べない奴だ。いない? いや、探せばいる筈だ。性別はどちらでもいい。ただ、領地は遠く、島なので家に帰りたいと泣く者は駄目だ。仕事を覚えるまでは島から出られない。慣れたら街に連れて行くこともある。しかし、自力で島から出る分には自由にしてよい」


脱出しようとする奴が空を飛べるといいが、と思いながら話す。しばらくの間は島から出られない、という風に受け止められるよう話したのは、そうしないとさすがに誰もこないだろうからだ。状況次第では島から出さないとは言いにくい。それに、アンマンパンとの話もある。まったくの嘘というわけでもなかった。


「いつまでに探せばいいか、と言っています」

「夕方までだ」

「………」

「……なぁ、さすがにそれは無理くさくないか? というか、さっきあんな形で入ったのに夕方門から出て行けるのかよ? しかも集めた奴等を連れて」

「考えてみればそうよね。そもそも買い物する時間あるの、これ? しかもさっきの兵士は今から募兵の立て札を用意することに決まったって言ってたわよね。色々理由をつけて募兵に応じなかったとしても、立て札が立ってからじゃないと拘束されるんじゃないの?」


パドルとローズが口々に問題点を指摘してくる。

それを受けて、ロアの頭脳が唸りをあげる。

ロアはかっと目を見開いた。


「……心配するな。きちんと考えてある」

「絶対今考えたでしょ、あんた」


ローズは白い目だ。

ロアは気にせず、腕を組んでメリヤに話しかける。


「さっきの話をここら辺りに広められるだけ広めるように言え。明日の夕方、門の外の通りを西に進んだところで待ち合わせる。連れて行く人数は最大で十人だ。それ以下しか集まっていなくても全員連れて行くとは限らない」

「自力で壁の外に脱出させるのかよ。雇う前から人使いの荒さが垣間見えるぜ……」

「俺達に雇われるのだ。そのくらいの才覚は欲しいということだな」

「たぶん犯罪者しか集まらないわよ、それ」

「……お前達はさっきから文句ばかりだ。もう少し建設的な意見を言えないのか?」


ロアは鼻息を荒くして二人にそう言った後、冷たい表情になった。


「だいたい犯罪者が集まったからなんだと言うのだ。島にあがってしまえばこっちのものだろうが。泣こうが喚こうが暴れようがどうにもならん。島から投げ捨てられたくなければ従うしかないのだ」


ククク、と笑う。


「……アンマンパン達にはどうやって伝えるのよ? 今日の夜って約束してるんでしょ?」


ローズは諦めたような溜め息を吐く。


「大丈夫だ。お前達も心の奥に意識を向けてみろ。自分のドラゴンと繋がっているのがわかる筈だ。呼びかけに相手が応じれば意思を伝えることができる。つまりエド達が飛び立たず、死んでもいないという事実だけで、俺達が無事で、助けも求めていないという推測がたつ。まあ、全員揃って昏倒してたらわからんが、そこまで穿った見方はすまい。アンマンパンもその結論に達するだろう」

「へー。……本当だわ。これは便利ね」

「んじゃ少しはゆっくり買い物できるってことだな。俺はもう既に帰りたいけど」

「その通りだ。今日は最高級の宿に泊まり、金に糸目をつけずに飯を食い。夜は街に繰り出すとしよう」

「うほっ、マジかよ。俺、あんたについてきてよかった」


予定が決まったところで、メリヤを促して説明させた。

その後、女達に小さな粒金を二個づつ配る。


「明日、案内を頼んだ子供に話が広まっているか確認させる。もし広まっていなかったら、この辺り一帯は全て燃やす。ーー伝えろ」

「は、はい」


ロアは本気だった。そしてそれが伝わったのか、女達は硬い表情で首を縦に振った。

話が終わると、三人から金の入った袋を集め、地面に一度ぶちまける。

輝く黄金が小さな山を作った。


「ーーちょっと! 何やってんのよ! とうとう頭に筋肉が回ったの⁉︎」


ロアは慌てるローズに、人差し指を一本立てて口の前あたりに持ってくる。静かにしろ、のジェスチャーだ。


「………」

「………」

「………」


黄金を前に沈黙する面々。

側で見ていた女がゴクリ、と唾を飲む。

頃合い良しとみたロアはおもむろにしゃがみこみ、再度袋に金を入れ直した。

そしてわけがわからない、といった顔の三人にそれを配りながら、


「俺達は監視されている」


と言って、笑い声をあげた。


「教えてもらった方に歩いていれば、案内人が自らやってくるだろう」










「ーーおいおい、ほんとに来ちゃったよ」


パドルが信じられない、といった感じに呟く。


「いくら金が欲しいとは言え、ロアの姿を見て襲うか普通」


目の前で行く手を塞ぐように立ちはだかっているのは七人の少年達だった。手には短剣、石、棍棒、投網などを持っている。

ロア達が立ち止まって様子を窺っていると、後ろからも七人が現れて退路を塞いだ。


「金と女を置いていけ、と言っています」


メリヤがそう言った。

それに、ジトっとした目を返すローズ。


「あのぉ、まだこいつら何も喋ってないんですけどぉ」

「あら、私としたことが」


メリヤは口を隠してほほほ、と笑った。


「パドルは後ろを頼む。ローズは前だ。俺が合図をしたらジャンプしろ」

「了解」

「あいよ」


パドルは背中から短槍を、ローズは剣を取り出す。

ロアはメリヤを抱えて、反対の手にメイスを持った。


「今だ! と言いました!」


掛け声と共に前後から投網が投じられて、メリヤが叫んだ。


「そこは言わないでいいとこだから! 『水の鞭(アクア・ウィップ)』!」


ローズが剣を振ると、剣先から飛び出た水が鞭のようにしなり、網を切り裂く。二度、三度と斬り返すと網はバラバラになった。

パドルは無言でスキルを使ったようだ。正面広範囲の敵を押し退ける《チャージ・スラスト》だろうか。網は吹き飛んで少年達を搦め捕った。


「ーー跳べ!」


ロアは叫んで《アンガー・スタンプ》を使った。ゲーム内では地形に対して使用する鈍器スキルで、目の前の空間を押し潰して周囲にノックバック効果の付随する衝撃波を発生させる。ダメージ値はLV20で至近三百パーセント、あとは距離により低下していく。

メイスの打撃部が地面を砕いた。

ずん、とロアを中心とした周囲三百六十度に走った力は、まず横にあった家の壁を木っ端のように吹き散らし、前方と後方にいた少年達もまた、距離による威力の減衰を受けてなお残る衝撃に足を浮かせて飛んでいく。

崩壊した小屋のような家のあった場所で、端材を振り払って血を流す男が立ち上がる。そして青筋を浮かべて喚き始めた。


「なんてことするんだ、と言っています。怒っているようです」

「ーーふん」


ロアはメリヤを下ろし、粒金を一つ男に弾いた。


「解体してくれてありがとう、と言っています。家を建てるそうです」

「あーあ、こんなにしちゃって」

「つーか、金がもったいねえ」

「死んではいない筈だ。骨が折れたりしていない奴から適当に見繕おう」


ロアはパドルとローズにそう言うと、自身も転がっている襲撃者を調べ始める。


「この状況でなお反撃してくる奴は殺して構わないな」


隠し持っていたナイフに手を伸ばした少年の首をこっそり捻る。

ロアとパドルが二人づつ、ローズが一人選んできた。

メリヤに五人を並ばせる。

髪を刈り上げたのが三人。眉の上まであるのが一人。眉の下まであるのが一人だ。後ろ髪は皆、短い。


「さぁて、どれにしようかな」


ロアは覇王の頭骨を右手にし、先端の髑髏を、少年達によく見えるように撫で回す。そうしながら、右から左へ、左から右へとゆっくりと往復した。

少年達は、顔の見えない大男の行動を固唾を飲んで見守っている。痩せた顔は青白かった。

ロアがメイスの先を少年達の顔の横に並べ、様々な角度から調べだすと、引き結んだ口からカタカタと音がし始める。

左側から時間をかけて調べていたロアは、四番目の、髪が眉の下まである子供の前にくると顎を掴み、右に左に、上に下に動かしながら形を確認し、


「ふぅぅむ」


と、感心したように唸った後、こう呟く。


「今度の材料はこいつにするか」


メリヤが通訳すると少年の股間から温かい水が流れ落ちてきた。








子供はアンジーと名乗った。少年ではなく少女だった。髪はもちろん身体つきも少年のようだ。飢えた犬のように痩せていた。

彼女は今、井戸を挟んだ反対側で、シャツ一枚の姿になって洗ったズボンを絞っている。


「それでおじさん達は幾らくらい出すつもりなんだい? たんまり持ってるんだろ? と言っています」


洗い終わったアンジーの問いかけをメリヤが橋渡す。顔も洗ったのか、藍ががった黒髪から水滴が滴っていた。

怯えていた彼女はロア達の説明を受けるとあっという間に上機嫌になっていて、自分のペースを取り戻したらしいことがわかる。


「金なら心配するな。この案内の仕事が終わった時、お前は一、二年は働かなくても暮らしていけるだけのものを手にしている」


ロアの宣言をメリヤから聞いたアンジーは、騙されないぞ、といった顔をした。しかし口元は脳の指令を裏切ったようで、弧を描こうと努力している。

だがロアの台詞には続きがあった。


「そして次の日には、金を全て奪われ、冷たい死体となって裸で路地裏に転がっているだろう」


これは別に嘘ではない。一連の流れを見ていた者達は、明日ロア達と別れたアンジーを間違いなく放っておかないだろう。ロアが大金を渡さなくても変わらない。アンジーは衣服を剥かれ、金を隠していないか調べられる。

アンジーにもそれはわかったらしく、顔から血の気が引き、元々不健康そうだった顔色がますます悪くなっていた。


「どうやら使用人を一人ゲットしたようだ」


しかし、メリヤから雇用について聞いたアンジーは迷っている。

おそらく自分の値段を釣り上げようとしているのだ。ロアは確信した。孤児として生き延びていただけのことはある。さすがの強かさだ。

これは気合いを入れねばならんな、と思った。


「俺はケチではないつもりだ。とりあえず前金を渡しておこうか」


アンジーに手を出させ、井戸の周りの泥を丸めてポンと置く。


「………」


アンジーは怒らなかった。青い目を細めて、じっと掌の泥団子を眺めている。それは、ガラクタだと言われた玩具の価値を信じる子供の目だった。

小枝のような指で泥をほじくり返すと、中から黄金の輝きを放つ玉がまろび出る。

さっと泥を払って大事そうに懐に隠す。そうして勝ち誇ったような笑みをロアに向けた。

レンズの向こうに見えるロアの眼球に血管が浮き出る。


「やるな、アンジィぃぃ。この技を初見で見破るとは……。どうやら、この私の真の力を披露する相手が現れたようだなぁぁ」

「はいはい。負け惜しみ言ってないで早く出発するわよ。時間ないんだから」

「いったいなんのキャラだよ、それ……」


呆れた様子の二人はそう言うと、大通りに向かって歩き出した。メリヤも後ろを気にしながらついていく。


「………」


ロアはユーモアを解さない二人の生き方を嘆き、天を仰いだ。

アンジーはそんなロアを不思議そうに見上げている。

しばし、照りつける太陽が二人の影を広場に灼きつけ、それはまるで一枚の絵のようであった。



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