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 この世界の四季は、四人の王とともに巡っていた。

 春の王が起きているときは、世界は春に包まれている。

 夏の女王が目を覚まし、春の王が眠りについたとき、夏が始まる。

 秋の王が目を覚まし、夏の女王が眠るとき、秋が始まる。

 冬の王が目を覚まし、秋の王が眠るとき、冬が始まる。

 そして春の王が目を覚まし、冬の王が眠るとき、春が始まる。

 そうやって巡っていく季節の中、小春こはるは春の王とともにいた。

 春の王と一緒に春を過ごしていたが、夏の女王が目覚める前に小春は眠ってしまったため、小春は春以外の季節をまだ知らない。

「小春はまだ春だけしか過ごせないのかもしれない」と、眠くてあくびばかりをする小春に春の王は言った。もう少し大きくなったら夏の女王や冬の王とも会えるかもしれないね、と小春の頭をなでながら春の王は続ける。

 それは春の王が眠気を感じる頃に、夏の女王が目覚めるように。また冬の王が眠気を感じる頃に、春の王が目覚めるように。二つの季節が重なる短い期間のときに小春が起きていられたら会える、という意味だったはずだ。

 だから小春が会えるのは夏になる前の気配や、冬が終わった名残だけのはずだったのに。


 小春は、冬そのものを見ることとなる。



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