七つの質問 side 岸田
間章として読んでください。
指田 黎人死亡・3日後
「指田 黎人。中学三年生。放火魔をあと一歩まで追い詰めるも返り討ちにあって死亡。死因は腹部にナイフを刺されたことによる、出血多量。物騒な世の中ですね、先輩」
「あ、あぁ、そうだな」
これは俺が死んでからの『元の世界』での話である。
「そういえば知ってます?」
「何をだ?」
「この子ことですよ!」
「この子?指田 黎人か。それなら、今お前が話したじゃないか」
「違いますよぉ!この子の周りで起きた出来事ですよ。覚えてませんか?局地的な超大型地震、サマーボムなんて言われてる、震災のことを」
「それなら知ってるさ。犠牲者は数百人を超え、今でも復旧がほとんど進んでいないらしいな」
「彼、その生き残りなんです。それが、また……理不尽な世界だと思いませんか⁉︎」
私の名前は、岸田 愛華。スタイル抜群の美人婦警、とまでは言わないけれど、そこそこ可愛い警察官だ。
私は、現在、ある事件を追っている。3日前に起きた放火事件だ。
理由って言う理由はないが、何か臭う。言ってしまえば刑事のカン的なやつだ。
「私、この事件がとっても怪しいと思うんです」
「怪しい?」
「はい、とても。何かが裏にある気がします」
「お前は……刑事ドラマの見過ぎだ」
「もう、茶化さないでくださいよ」
◇◇◇
指田 黎人死亡・数秒前
「え⁉︎」
血が、血が止まらない。クソッぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。あと一歩だったのに。
まだ、まだ、まだ、死ねない!
俺は薄くなり続ける意識を懸命に持って体制を起こそうと試みる。
「蓮…さん」
ふと蘇る、蓮さんとの日々。
『君!君は異世界へ行ったら何になりたい?』
『君!君は世界に神がいると思うか?』
『君!君は天国があると思うか?」
『君!君は圧倒的な財力があったら何がしたい?』
『君!君はハーレムに憧れるのか?』
『君!君は逆ハレームに憧れるのか?』
『君!君は人が死んだらどこへ行くと思う?』
七つの質問。
もうちょっとまともな質問してくれよ。ったく。
俺も死んだら墓に行くのかな?
『異世界に行くに決まっているだろう』
そして異世界に行くのかな?
すいません蓮さん。約束、破っちゃって。
次回からは転生編です。
頑張ります!