国王様と面会そして……
人物ファイル
№003
『ルジー・ロイス(グレイ)』
生物的特徴
性別:男
種族:人間
年齢:32歳
外見的特徴
身長:180.3㎝
体重:66㎏
服装:革製コート
髪の色:赤色
瞳:空色
性格的特徴
性格:自由奔放、気分屋。
グレイにとっての自分:いい加減な大人。
他人から見たグレイ:不思議な男。強いやつ。
好きなもの:うまい酒。
嫌いなもの:甘すぎるお菓子。
経歴的特徴
出身:[時の王国]一般地域鍛冶屋。12歳で聖騎士学園に飛び級入学。19歳で公爵の座についた天才。25歳で[時の王国]から消えて行方不明に。アダスと出会い「グレイ」と名乗る。
家族構成:兄のカレブのみ
物語的特徴
一人称:俺
二人称:あいつ、お前(もしくは呼び捨て)
抱えている悩み
変なもの(魔王)に好かれたこと。
人間関係
他人との関係は:守る対象。
その他
武器:大剣、闘気術の技術強化思案中…
まだ朝日が入り込んでない城の長い廊下をアダスはただ歩く。
そして、王女の部屋の扉を開ける時には空は白みを帯びていた。
「・・・ケイト!」
部屋には数えきれないほどの光の粒が飛び回り、部屋の中心に集まり、人の形へとなっていく。
光が弾けて茶色い髪が跳ねる。
また光が弾けて見覚えのある白い服が翻る。
光が消える頃にはアダスの目の前にはケイトがいた。
「・・・・・ダス?」
瞼が開き緑の瞳がアダスを捉える。
「・・・アダス、アダス~!!」
ガシッ!
「ぬおっ!?」
顔を涙でグシャグシャにしたケイトがアダスの首に抱きついた。
首が絞まるくらいに。
「ヒック……怖かった。ヒック、光りも音も何も無い黒い空間にただ漂っていて自分が死んだように思えて怖かったよ~……」
「・・・・・そうか、」
・・・首が……
そう思いながらも泣きじゃくるケイトの頭をアダスが撫でる。
「・・・俺も、俺も怖かった。ケイトが目の前で散って消えた時は……心がえぐれたかと思った。」
・・・い、息が……
アダスがケイトの肩を掴んで首から引き剥がし、深呼吸をする。
「・・・ケイト、俺はもうお前を失いたくないんだ。だから、俺のそばにいてくれ。」
「・・・アダス……」
ケイトの頬が赤く染まる。
そう言えば、ケイトは女だった……ん?今の感じで俺が言ってることはまるで…
「いや~、青春してるねぇ~。」
「んなっ!?」
「ふえぁ!?」
アダスが驚きのあまり急いでケイトの肩に置いた手を引っ込める。
「おっと、邪魔だったかな?」
ニヤニヤして腕を組んでいるグレイが部屋の扉に寄りかかっていた。
「なかなか良い話を聞かせてもらえて…叔父さん感動だぜ!」
グレイが親指を立てウィンクする。
「あわわわわ……」
横でケイトがさらに顔を赤くして頭から湯気をたてている。
「い、いつからそこにいたんだ?」
「あぁ?秘密に決まるだろ。」
たち悪いぞこの叔父さん!!
アダスが腰の刀に手を伸ばす。
「まぁまぁ、落ち着けよ。俺はただ国王がお前達にに会いたいと言うから呼びに来たら……バッタリってな感じだ。」
「・・・・・はぁー…」
ため息をついてアダスが刀に伸ばした手を戻す。
くいくい……
横でケイトが裾を引っ張ってくる。
「ん?」
「・・・・誰?」
「あぁー…そういえばケイトはいなかったから知らないか。そこに寄りかかってるお…」
「初めましてではないけど、どうもケイト姫。」
グレイが素早くケイトの手を取って膝を折り、深くお辞儀する。
「えっ!?……あの…」
いきなりのことでケイトがついていけてない。
「俺はアダスの叔父に当たるルジー・ロイスといいます。」
「・・・へっ?アダスの叔父さん?」
「俺は貴女がまだ赤ん坊だった頃、たった一度だけ会ったことがある……」
「おい、いつまで手を握ってんだよ。国王が呼んでるんだろ?」
アダスがケイトとグレイの間に割って入りグレイに言う。
「急がなくていいのかよ?」
「ん~、まぁ、早い方がいいかな。」
グレイの顔がニヤついてる。
「・・・んだよ?」
「まぁ、二人ともついてこい。」
そう言ってグレイが部屋から出ていった。
[時の王国]にある<時の城>は王国の最上階、まさに民を見下ろす所に立てられている。
一般階級の人間が<時の城>に入れるのは国のために全てを捧げた情報屋に嫁ぐか、
騎士の階級まで上げ、国境警備で武勲を手に入れるか。
それとも夏に王国で行われる武道大会で上位五位に入り、五等爵に決闘を申し込んで勝つか……
しかし、王の間に入り直接王と対面できるのは王国最強と唄われる公爵のみ許される。
その王の間に入る扉の前にアダスがいた。
「・・・・・。」
「アダスどうしたの?」
横でケイトが心配して声をかけてくれたが、今のアダスはそれどころじゃなかった。
・・・やべ~、何で今さら緊張してんだよ俺!?
ケイトはもともと王族で城に住んでるから何も感じないのだろうけど、グレイは……
「だらしねぇな。こんなことで緊張するとは……まだまだ精神の修行が足りてないみたいだな。」
「くっ………。」
チッ、言い返せねぇ。
グレイのことルジー・ロイスは行方不明になる五年前のこと。
[時の王国]でたまに行われる武道大会で優勝の美を飾り、先代の五等爵に決闘を申し込んだ。
普通なら無謀なことなのだがロイスは一人で打ち倒したのだ。
そして、ルジー・ロイスは正式に公爵の地位を手に入れた。
まさに究極の下克上。
一般階級から公爵の座を手に入れたロイスは一般階級の国民から『英雄』と呼ばれた。
だから公爵であるロイスが王の間に来慣れているのは当たり前だ。
・・・何だ……今ここで一番普通なのは俺だけか………浮いてるな。
アダスのテンションが下がっていくなか、グレイが扉を拳で叩いた。
「国王様、連れて来ましたよ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
しーん……
「あれ、いないのか?」
「・・・入りなさい。」
いるんかい!?沈黙長すぎだぞ!!
長い沈黙の後、扉の向こうから聞こえる声にアダスは心の中で密かにツッコンだ。
グレイが扉を押し開いた。
温かい光を灯す蝋燭を無数に立てる天井のシャンデリア、
歴代[時の王国]国王の肖像画が飾られた広い壁、
部屋の中央には大昔、王国の土台となる山の頂きにそびえていた<神木ナギ>で作られた玉座に五代目国王のレイト五世が座っていた。
国王は目尻が少し笑っていて優しさを感じさせる顔の持ち主だった。
この人が国王か……
「数時間ぶりですわ。」
国王の横には王女レイナがいた。
(うわっ……僕にそっくり!)
アダスの横にいたケイトが小さな、本当にぎりぎり聞こえるくらいの声で呟いたのをアダスは聞いた。
「よく来られた若き者達よ。・・・ロイスも難儀であった。」
「ハッ、ありがたきお言葉で。」
グレイが似合わない言葉を使いひれ伏す。
グレイに習ってアダスとケイトもひれ伏した。
「さて、そなたがロイスの甥……」
「ルジー・アダスです。・・・お見知りおきを。」
「うむ、なかなか礼儀を知っているようで感心だ。初めて会った頃のロイスとは違くて安心だ。」
「・・・・・」
グレイが額に汗を浮かべながらこちらを見ないで壁に飾られている肖像画を眺めていた。
「こやつロイスは、いきなり国内に現れたかと思うと遠慮なしに城に我が物顔で入り込み五等爵を我の前で叩きのめし、『俺を用心棒として雇ってください。』なんて、半分脅迫の挨拶だったな。」
何やってんだよこの叔父さんは……
「コホン……国王様、今は俺のことはほっといて話をされては?」
「うぬ、そうだな。昔話は後にしよう。」
国王がケイトを見つめた。
「そなたが我の、王族の子孫か……我が娘レイナによく似ておる。」
「まことにそっくりですわ。まるで鏡を見ているみたいで面白いですわね。」
国王の横にいたレイナが微笑み、ケイトの方に歩み寄る。
「お父様、少しのお時間この子を私がお借りしてよろしいですか?」
「・・・えっ?いやっ、その……」
「我は特に構わんぞ。今話すことはアダス殿とロイスなのでな。そもそも、ケイト嬢と話がしたいのはレイナ、そちの方ではないか。」
「そうでしたわね。・・・ではケイトちゃん行きましょうか。」
「僕はアダスと一緒が……」
「殿方のお話の邪魔はいけませんよ。」
がっしりと腕を掴まれ、ケイトが引きずられていく。
「僕は――……」
「女の子が『僕』なんて言うんじゃありません。さぁ、早く行きましょう!」
「いーやーだー……」
ズルズル…
ケイト、すまん!なんか見てるの方が面白いからほっとくわ。
引きずられていくケイトに向けてアダスが合掌した。
南無南無…
「では、我々も話を始めようか。」
国王がアダスとグレイを見つめる。
「・・・・・。」
「・・・二人共、とりあえず姿勢を楽にしてはどうだ。」
「「はい。」」
先程までピシッとしていたグレイが一気にだらけた。
「・・・ところで国王様、俺、自分に何か話があるのですか?」
「うぬ。そなたに二日後、王国で行われる武道大会に参戦してもらうことになったと伝えようと思ったのでな。」
・・・ん?ぶ、武道大会?
「・・・・・はい?」
「あぁ、伝えるの忘れてたわ。」
グレイがしまったと顔をしてアダスに言う。
「では改めてここで言うぞ。今朝、武道大会のエントリーにお前の名前を書いて出した。」
「いやっ!何かってにしてんだよっ!!つーか俺はケイトともとの時代に帰り……」
・・・あ、……か、帰れるのかな?
アダスは時代の戻り方をグレイに聞いていなかったことを思い出した。
「まぁー落ち着け。この一週間、正確に言うとあと六日間の間は、お前達はもとの時代に帰れる。」
グレイがアダスの肩に手を置く。
「だから……いい思い出作りにりに大会出ようぜ。」
「何が思い出作りだぁーっ!!」
「・・・国王様。アダスはやる気満々だそうです。」
「うむ、それは良かった。」
「何かってに解釈してんだっ!そして何が良かっただぁ!良くねぇよ!?」
怒りのあまりアダスは身分を忘れ思いっきりツッコミを容赦なく入れた。
「・・・・・ではロイスよ。早速大会に向けてアダス殿を鍛えなさい。」
「仰せのままに。」
「だ、誰も俺の意見を尊重する気はないのか……」
アダスは肩を落とした。




